隕石が当たる確率
オフィスビル、隕石により消失。
あれから一睡も出来ずに見ていた朝ニュースはこの話題で持ちきりだった。どのチャンネルを回してもタイミングは多少違えど同じ内容を放送している。当時ビルは無人で人的被害はなかったとニュースで報道されているのを聞いて私は胸を撫でおろしている。真上からの攻撃の直前にビル内に人がいないか確かめていたが、万が一にも誰かがいた可能性があった。
私のせいでこの世界の誰かが命を落とすことなんてあってはならない。そんなことになったら私は勇者殿に顔向け出来ない。
清隆とは周辺の被害を一通り確認した後に別れた。ようやく捕まえた手掛かりが消えてしまったが清隆はへこたれた様子はなく、またパトロールしましょうと言っていた。あの前向きさはさすが勇者ということだろう。
帰ってきてから張っていた緊張が被害者がいないと分かったことで切れて眠気が一気に襲ってきた。ソファに倒れこんでこのまま寝てしまおうとした所でスマホの着信が鳴った。
眠いので今は無視して起きたらかけ直そう。
せめて誰からの電話確認しようとディスプレイを見ると香織からだった。何の用だろうか。着信が長く鳴り続けたので私は観念して電話に出た。
「もしもし……」
「ようやく出た! 今まで寝てたの?」
「今まで起きててこれから寝るところよ」
「また海外ドラマ? 私が言えたことじゃないけど夜生活はやばいわよ」
「最近は多少改善する方向に向かってたんだけどね。昨日はいろいろあって」
「ふぅ~ん、そうなんだ」
「で、朝から何か用かしら?」
「今日の午後にまた遊び行かない? ほら、ステラの服を選んであげるわよ」
「……あー、そういえばそんな約束もしてたわね」
「ちゃんとしてたわよ」
「分かったわ。午後から起きれると思うし……具体的な時間は?」
「学校が終わってからだから4時に原宿で」
「原宿ね。これは香織のおしゃれセンスに期待していいのかしら?」
「あんまり期待されすぎると困るけどね。ステラはなんでも似合うから大丈夫よ」
「あえてリクエストすると動きやすい服でお願いするわ」
「フリフリなワンピースとか似合いそうだけどダメ?」
「そんなのを着れるほど乙女じゃないわよ」
「確かにねぇ。あ、そういえば今朝のニュース見た? 隕石だって! 日本にも降ってくるんだね」
「あーうん、知ってるわ」
これだけニュースになっているのだから香織がこの話題を話してくるの当然だ。出来るならこの話題をしたくないので別の話題に切り替えようと考えるが、睡魔が邪魔をして上手く頭が回らない。
「ビル一つ無くなるってすごいわよね。隕石に当たるって確か宝くじで一等当てるよりも確率低いんじゃなかったっけ?」
「よくそんなこと知ってるわね」
「昔何かのテレビで見たのよ」
香織との電話を終えるとスマホをテーブルに置いて全力で寝る体制に入る。寝やすい恰好へ着替えるべきかと考えが浮かんだが、睡魔の方が強く私はそのまま眠りについた。




