アフタートークの始まり
ラテスとの戦闘から一週間ほど経った。
地下室で最後に会話して以降、私は来栖君にも生野夫妻にも会っていない。
乃絵ちゃんには会って今回の件を説明しようとしたけれど、鈴野さん達から既に事情説明されていたのと部屋ごとマンションが大規模半壊してしまった対応で乃絵ちゃん自身が忙しくて会えていない。何か手伝えることは無いかとメールで聞いてみたけれど清爛警備保障の人達も手伝っているので大丈夫だと断られてしまった。
私は手伝いを断られると自分が思った以上に精神ダメージを受けるようで少しへこんだ。
来栖君と生野夫妻が現在どうなっているのかは気になっているけれど、赤の他人である私がこれ以上関わり合うことではないと自制している。可能な限り幸せな時間を過ごして欲しいとだけ願っている。
願いながら過ごした一週間は本当に久しぶりにのんびりできた。
清爛警備保障から帰ってきた日は即ベットに飛び込んでそのまま丸一日寝ていた。前日はラテスに睡眠を妨害されたこともあってか想像以上に寝てしまっていた。起きた翌日も特に何もする気が起きずにベットの上から動かずにテレビのリモコンを操作して撮り溜めしていたテレビ番組をずっと消化していた。
さらに翌日は少し出かける気になったのでスーパー銭湯まで足を伸ばして一日お風呂に漬かりながら過ごした。
お風呂上がりの火照った体で飲むビールは何であんなに美味しく感じるのだろうか。CMで良く聞くのど越しというものより感じる。食事についてもそれほど特徴がないカレーライスが普段の数倍は美味しく感じる。不思議だ。
四日目はまた一日部屋で過ごした。鈴野さんを始め関係者から何かしら連絡があるかと思っていたけれど私のスマホは着信を告げることはなかった。
仕方なくずっと前から見たかった海外ドラマを最終回までイッキ見をしていた。序盤から中間は良かったが、中間から後半へ向かってシナリオクオリティが下がっていってしまったのでいつの間にか寝落ちして五日目の昼に目を覚ましていた。
五日目は寝不足気味だったこともあり、一度買い物に出かけただけで部屋で過ごして早めに寝てしまった。
六日目、香織から遊びの誘いが来た。一緒にお茶とショッピングをしないかという誘いだったので二つ返事で了解して翌日会うことになった。
そして本日、行き付けとなっている喫茶店に先に着いた私がアイスコーヒーを飲んでいると香織が乃絵さんと一緒に現れた。
「ステラ、久しぶり」
「久しぶりね、香織。顔を見るが数カ月ぶりな気がするわ」
「そんなに経ってないわよ。ニ、三週間くらいじゃない?」
「ステラ的にここ数週間が濃密だったのよ」
「濃密ねぇ……まあ、その辺を今回聞きたかったのよ。乃絵も聞きたがっていたし」
「乃絵さんも?」
事情説明を受けているはずの乃絵さんが追加で私に聞きたいことがなんだろうと疑問に首を傾げた。




