見よう見まね
光の鎖を出して砕いた欠片が周囲に広がらないように展開しながらラテスへと向かわせる。
「その鎖……前見た時に思ったんだけど面白いわよね。力を封じて動けなくさせる。私に対する態度がなってない存在相手は丁度いいわ。だから真似てみたの」
ラテスの周辺の空間が歪んで鎖が飛び出してきた。私が放った光の鎖と同量の鎖が私達の間で激突する。大量の鎖同士がぶつかり合い、弾かれ合う力で鎖の向き先が変わり四方八方に拡散する。
「抑えるっ!」
決意を声に出して私自身が出した鎖を引き止めると同時にラテスの出している鎖にも絡みつかせて動きを止める。
天井が崩落して既にボロボロだった室内に追加で無数の穴が出来上がった。
既にかなりの騒音が響き渡り、外から見ても分かるほどにマンションの一部が損壊しているだろう。騒ぎになって人が集まってくるのは時間の問題だ。
「器用ねぇ、私にはまだそこまで出来ないみたい。絡みついているステラの鎖を取れないわ」
「そんな一朝一夕で完璧に真似されたらヘコむわよ」
「同じ神なのよ。同じ事が出来て当然くらいに思ってよ」
「そこまでの心の余裕はないわ。少なくとも今は」
ラテスに対して次の手を打ちたいがラテスの鎖がまだ実体化しており、それを抑えるために私の光の鎖も出し続けなくてはいけないため動くに動けない。
「器用に動かすのはまだ出来なくても力づくなら出来そうかな?」
ラテスの鎖が今一度周囲に広がろうと動く。抑えつけようとするが力はラテスの方が上回っているようで全てを抑えつけられない。鎖同士が擦れ合う音と部屋に空いた穴から吹き付ける強い風の音が五月蝿く響く。
「そんなに頑張らないでよぉ」
不服そうに声を漏らすラテスだが、表情は喜んでいる。
「抑えつけないとマンションを壊すでしょ、あなた」
「うん」
笑顔の相手を殴りたいと思ってしまったのは初めてかもしれない。
短い更新でスマヌゥ




