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予知

「来栖君ですね」

「君付け!? あんたの方が年下だろ」

「え? すいません、先輩よりも若く見えたので年下だとばかり」

「赤崎君は実年齢よりも大人びて見えるから若い子はみんな年下認定されそうね」

「そうなんですよ、ステラさん。先輩ってこの頃ちょっと大人びてきて前より凛々しくなったというかですね」

「あー、ステラから名前を出しておいてなんだけど赤崎君の話題は後。今は来栖君の方が優先」


 頼子ちゃんが赤崎君の話を始めると長くなってしまう。


「で、ですねー。すいません、つい」


 頼子ちゃんは一度咳払いをして気を取り直す。


「来栖さんが自己紹介してくれたので私の番ですね。私は広瀬頼子っていいます。先程言いましたけど生野さんの大学の先輩です。今年で四年生ですね」

「大学四年生ってことは22歳か。浪人とかしてなきゃ」

「まだ21ですよ」

「……なら俺の方が年下だ。さっきは否定して悪かった。でも君付けは止めてくれ」


 来栖君は自分の発言の間違いを素直に謝る。真面目な子だという印象は持っていたけれど思っていたよりも実直な子だ。


「では変わらず来栖さんと呼びますね。来栖さんは生野さんを見守っているって話でしたけど、大学の中でもですか?」

「あの子が自分の部屋にいる時以外は基本的に見守っている。何時何があるか分からない」

「危険な目に会うかもってことですよね。それは生野さんが原因ですか?」

「違う。あの子は関係ない……関係ないはずだ」


 来栖君ははっきりしない言い方でそう願うようにつぶやく。


「危険が迫っているけれど原因も曖昧。何時どんな危険かも分からない……これって来栖さんの被害妄想? いえ、危険なのは生野さんだって言うなら表現が違いますね……うーん」

「生野さんに危険が迫っていると思った理由は何なのかしら」


 口を出すと来栖くんが嫌悪感を出してくるかもしれないから黙っていようと思ったが疑問がつい声に出てしまった。私はしまったと口を手で覆う。


「……信じるかどうかは知らないが」


 私の予想外に来栖君が話を勧めてくれた。


「予知夢を見た。あの子が殺される夢だ」

「っ!?」


 衝撃的な言葉に私も頼子ちゃんも顔を強張らせる。


「夢を見たのは三年前でそれから定期的に見続けている。しかも予知夢は同じ内容じゃない。あの子が殺されるのは一緒だが、場所や時間帯が毎回違う。こんなの見たらずっとあの子を見守るしかないだろ」

「殺されるということは事故とかじゃなくて通り魔でもなくて明確にあの子を狙ってということ?」


 こう言っては元も子もないが人が事故に合う可能性を考えれば予知夢を見るまでもなく誰でもいつかは合ってしまう可能性はある。生野さんがいつか交通事故に合ってしまうから見守っているでは言い分としてはストーカーとそれほど違いがなくなってしまう。


「事故じゃない、通り魔でもない。明確に殺意を持ってあの子が殺される。そういう夢だった」


 来栖君の奥歯を強く噛みしめる。嫌な夢を思い出した嫌悪感と生野さんの安全を確保しなくてはという焦りからだろうか。

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