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自動車

短い更新で申し訳ない。

 車という移動手段を勇者殿の世界に来て毎日のように見てはいるけれど乗ったことは無かった。理由としては運転出来ないのが一つと目的に行くのなら私自身で移動した方が早いからだ。なのでタクシーやバスも使う必要性を感じなかった。日中帯の移動についてはほぼ都内だけなので電車で済んでいたこともある。

 乗る理由が無かった私だったけれど今、車の後部座席に乗って流れていく景色を見つめている。普段の視界よりも幾分低い視界の景色は新鮮に感じる。


「どこへ向かっているんだっけ?」


 運転席に座る赤崎君に声を掛ける。


「東京と山梨の県境に向かっています。目的地自体は山梨県内ですね」

「そこに共食いのアジトがあるのよね」

「かつてのアジトですね。俺達に倒された後は使用していないはずですが……」


 赤崎君は慣れた手つき車を運転し悩む様子もなく道を進んでいく。助手席に座っている頼子ちゃんは睡魔と戦っているらしくてうつらうつらとしている。


「広瀬、ちゃんと起きろ。仕事中だ」

「あっ、はい……すいません。ちょっと大学の宿題が大変で……」

「体調が悪いなら休んでいても良かったんだぞ」

「大丈夫です。ちょっと眠たいのと車の中だと振動がちょうどよくて眠気に誘われてるだけなんでぇ……」

「それは大丈夫とは言わない。ステラさんがいなきゃハードコアな音楽でもかけて起こしている所だ」

「先輩、ハードコアとか趣味でしたっけぇ?」

「趣味じゃない。適当に言っただけだ」

「ですよねぇ。先輩、音楽とかはやりの歌とか興味ないですもんねぇ」

「仕事に影響ないからな」

「ワーカーホリック先輩なんですからぁ」

「そんなつもりはない。普通に仕事が忙しいだけだろ。休みはちゃんと取ってる」

「だったら今度遊びに行きましょうよ。私の方が休みの調整できますから先輩の休みに合わせられますよ」

「遊び? 都内ならいいか。もしもの時に現場にいけるし」

「そういうところがワーカーホリックなんですよぉ」


 前座席で仲睦まじく話す二人の会話を聞きながら私は自分が所謂お邪魔虫なのでと思い始めた。

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