学生食堂
「ところで頼子ちゃんはこの大学の学生なの」
「は、はい。そうです。さぼりが多くて単位やばいですけど」
「てっきりあの警備会社に勤めてるのかと思ったけど」
「一応はバイト扱いですね。みんなから大学卒業はしておけって言われて。おかげで大学生活送れていたんですけど、最近はバイトが忙しくて」
「仕事は夜だものね。日中に勉強するのは大変よね、寝不足とか」
「午前とかほぼ寝過ごします。でも、バイトがバイトなので結構多めに見てもらってはいます。そうじゃないともう単位落としてますよ、私」
「国立だったわね、この大学」
「そうです。実は入学する時も推薦にしてもらったりとバイト先からいろいろと面倒を見て貰っていて……なので余計にバイトは休めないんですよね」
警備会社は国の外部局と言っていたので国が関わっている場所には口が利くのだろう。危険な仕事をしているのだからこれくらいは当然かもしれない。
「赤崎君ももしかしてここの学生だったりするの?」
「一応は。ほとんど大学に来てないので実際は中退しているかもしれないですけど」
「彼もバイトなのね」
「インターンシップ扱いらしいです、先輩の場合」
「聞きなれない言葉が出てきたわ。インターンシップって?」
「えっと、私も詳しくないんですけど学生が興味ある会社の事業内容に理解を深めるために実際のその会社で働いてみることらしいです。バイトとの違いとか聞かないでくださいね。私、分かりませんから」
「目的の違いくらいって感じね。実際はいろいろと違うんでしょうけど。まあいいわ。気になったら個人的に調べてみる」
「お力になれずに」
「いいのよ。これから少し立ってもらうから」
「なんでしょうか? この前のお詫びもありますし言ってください」
「そういうつもりじゃなかったんだけど。お願いしようかしらね」
私がこの大学に来た目的の一つは香織が通うかもしれない大学を見ておこうという興味だが、もう一つ興味があった。それは学生食堂だ。大学について調べていくと学生食堂の料理が美味しいというネットの記事が出てきた。しかも学生向けであるので安いとのことだ。
学生食堂は一般人でも入れるところがあるらしく、この大学の学生食堂もその一つだった。
噂の学生食堂の料理を食することが一番の目的で私はここにいる。
「学生食堂に行きたいんだけど案内してくれないかしら」
「学食ですか? いいですよ。もしかしてウチの学食の噂を聞いて来ました?」
「ええ、美味しくて安いってネットで人気になっていたわね」
「そうなんですよ。どれも本当に美味しくて安くて。ご飯食べるためだけに大学に来たいくらいです」
「そんなに?」
「そんなにですよ。種類もありますから飽きませんし。そういえば先輩も学食ではたまに姿を見ますね」
「赤崎君も食事にだけ来てたりするのかしらね」
「いや、まさかそんな……ありえそうです」
実際の学生も絶賛ということで私の中の学生食堂への期待がかなり大きくなった。




