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深夜コンビニ独奏

 コンビニに入るとレジいた田畑君と目が合った。どうやら外にいた私と香織を見ていたようだ。


「仕事中に他所見?」

「この時間帯はお客さんもいませんし、ちょっとくらいは大丈夫ですよ。あの子がまた来てて気になったので」

「香織の事ならもう心配ないよ。いや、根本的な事は解決していないけど、そっちにステラが介入していいものか……」


 香織が家出をしている理由自体はまだ聞いていない。聞けば教えてくれそうな雰囲気ではあるけれど聞いても人間関係のすれ違いが問題であればステラでも解決できるか分からないし、そもそもお節介である可能性がある。望まれたことはしようとは思うけど、あまり積極的に介入するのは控えたい。可能ならこの世界の人達だけで問題が解決されることを祈っている。


「正直、ステラさんが現れた時はまたステラさんとどこかに行くのかと」

「さすがに二度も深夜に未成年を連れまわしたりはしないわよ。前回は不可抗力というかそれしか手段がなかっただけ」

「実はあの後、すぐに警察が巡回に来たんですよ。もう少しタイミングがズレてたら補導されてたかも」

「それは日頃の行いが良かったのかな。あの時の香織が補導されるのは避けたかったし」

「随分仲良しみたいですね。ステラさんは本当にコミュ力高いですよ」

「コミュ……コミュニケーション力ね。聞きなれてない略された単語はまだ違和感があって直ぐに頭に入ってこないのよ」

「ステラさん。日本語上手なんで日本人じゃないこと普通に忘れます」

「香織にも言われた」


 いつまでも雑談しているわけにもいかないので夜食を選ぶために商品棚へと向かった。

 今の気分としてはお昼に米を食べたので夜食は麺類な気分だ。カップ麺ではなく生麺の蕎麦やうどんを求めて棚を移動していく。常温で管理された目的の棚にはこの時間帯にしては豊富な商品が並べられていた。

 この手の商品は容器が大きいので何度も食べているとすぐにゴミ箱が一杯になってしまう。麺類にはまっていた時期にそれを実行してゴミ箱から容器が溢れてしまったことがある。燃えないゴミも燃えるゴミと同様に週二回収集してほしい。

 蕎麦とうどんを交互に見比べて冷やしたぬきうどんを手に取る。蕎麦は肉蕎麦とかき揚げ蕎麦が残っていたが、夜という事もあり少しでも胃として軽い商品を選んだ。コンビニチェーンのうどんはどこも一緒かと言われれば違うと私は言いたい。見た目がまったく一緒のうどん麺にしても弾力が全て異なる。噛み応え、もちもち食感、コンビニごとの特色がちゃんとある。つゆにしても鰹節の種類からして違うので当然うま味が異なる。一番わかりやすいのトッピングだ。同じ冷やしたぬきうどんでも半熟卵が入っているモノやワカメが入っているモノと見た目で分かりやすい。


「あくまで個人的にだけど、半熟トッピングは黄身の味とつゆの味が合わさって濃くなっちゃうのが少し苦手なのよね」


 ここのコンビニのは天かすとおろし大根、ネギというシンプルなトッピングなので好き。

 うどんを手にしてレジへ向かうとレジ横のホットスナックに視線が映る。揚げたチキンがケースの中で最後の一個として存在を示すように置かれていた。


「田畑君、揚げチキンひとつ」

「揚げチキン一つですね」


 注文した直後にこんな夜中に脂っこいモノを食べたら駄目だ、胃に優しい冷やしたぬきうどんを選んだ意味が無くなってしまうと後悔の念に苛まれた。だけど、既に袋にまで入られた品をキャンセルはできずにそのまま会計をすることにした。

 帰り道、若干冷える夜風を身に浴びながら食べる油したたる揚げチキンは特別美味しかった。

帰りながら食べるホットスナック(肉まん、チキン)美味しいです。

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