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バカンスへ
冒頭部分の追加になります。
女神である私は自分の世界を救うために別世界から勇者殿を召還した。
私は勇者殿に力を授け、一緒に世界を救う旅に出た。
旅の途中で掛け替えのない多くの仲間に出会い、私は女神としてただ座していた頃には知り得なかった多くのことを体験し、自らの未熟さを思い知った。
世界を救う旅は楽しい旅だった。
笑顔が溢れた旅だった。
喧嘩が多かった旅だった。
世界を救う戦いは辛い辛い戦いだった。
多くの命が失われた戦いだった。
心が折れかけた戦いだった。
だが、勇者殿達は旅を終え戦い抜き、私の世界を救ってくれた。
勇者と旅の仲間達へは感謝いくらしてもしきれない。彼らが望むなら私の世界でのあらゆる幸福を与えることも出来た。しかし、彼らはそれを望まず、あるがままの人生を送ることを望んだ。
勇者殿は自分の世界に帰ることをよりも私の世界で過ごすことを選んだ。
誰もが平和になった世界で皆が戦いの傷を癒やす最中、女神である私は……異世界へバカンスに来ていた。
勇者殿が元々居た世界。地球の日本という場所へ。