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第六十八話 塔の中の姫君その3

できましたならば、作品の評価をお願いします。


評価があれば、遣り甲斐がもっと増えますので。

「軽いものですが、お昼をどうぞ。」と言うと、シュネッサは奇妙なゼラチン状の何かを陶器の皿の上に盛り付けてよこした。

 匙で掬って口に運ぶと、混然とした風味であり、食物だとわかっていても正体はわからない。

「鶏と魚のスープゼリーです。多少スパイスとハーブは入っておりますが、後に残る香りはございません。」シュネッサはそう言う。

「見事なお手前なの!」とアローラは喜んでいる。多分、エルフ好みの味なのだろう。だが、人間に取っても十分以上に美味しい。確かに、口の中にギトギトと何かが残ったりはしない。

 満足そうにシュネッサはアローラの賞賛を受け取った。


「それにしても、もしもの時のための武器なのに、弓を持ち行かれるのですか?」とシュネッサは驚いている。

「接近戦だとレンジョウが居るの。それとね、あたしも学んだんだよ。近距離での弓の使い方を。」アローラはそう言う。

「どこで学んだんだ?」と俺が聞くと、アローラは”はれ?どこだっけ?”と言いながら首を捻っていた。


 ****


「六番目が次々と奇行に走り始めてると聞いたが?」

「いえ、それ程でも。ただ、絵本も小説も読まなくなり、先程まではDVDで映画を眺めていましたね。」

「何の映画だね?」

「”指輪の王”でしたか?三部作のファンタジー映画でした。中でも、オーランドとか言う俳優の演技には感銘を受けた様で、何度も繰り返して再生していました。」

「サッパリ訳がわからんな。」

「一喜一憂する意味があるのかしら?まだ分岐点に達してから数時間しか経っていないのよ。」

「だからだよ、こんなに早く分岐点からの影響が生じる筈無いんだ。」

「それもそうね。なるほど・・・。」

「やはり、この方法には問題があるんだろうか?」

「どうかしらね。インストーラーとして優れているのは間違いないんでしょうけど。」

「次の分岐点に近付いている。」

「早過ぎるな、展開の全てが。」

「CTPまで後39時間・・・・オンコース。」

 その報告を聞いて、皆が少し汗をかいていた。やはり、展開が早過ぎる。


 ****


「なるほど、私には太刀打ちの方法がありません。お見事です。」シュネッサが言うの。

「俺も同じだ。驚きだな・・・・。」レンジョウも褒めてくれたの。

「でしょう?でしょう?」あたしも鼻高々なのよ。

「ダンスでなら、同様の動きを見た事はあるが、実戦でここまでの動きを狭い部屋で行えるとは。」

「しかし、接近戦は接近戦。相手の武器から僅かの距離です。危険な方法である事はお忘れなさいませんように。」シュネッサの忠告ありがとうなのよ。

「うん、わかったの。今回は仕方ないけど、普段は避けるわよ。」あたしはそう言ったし、そのつもりだった。


 だってね、レンジョウがそれは心配そうにシュネッサの言う事に同意してたから・・・・。


 ****


「フルバートの貴族達には、アリエル姫の様に”魔法感知”(ディテクトマジック)を使う者はおりません。居たとしても、アリエル姫の様に、何千と言う魔道具を一度に感知する等は到底適いません。あの方は本物の大魔術師ですが、ここにいる魔術師ギルドの長であっても、アリエル姫の足元にも及ばない実力なのです。」

「精々が目の前の者の魔道具がどれか、目の前にある何かが魔法を帯びた物かどうかを見分ける程度でしかないのよね?」

「そのとおりにございます。」


「あ・・・・。」アローラが何か思いついた様だ。

「どうした?」と聞いたら、「もしかして、途中で遭った奴、あたしの透明を見抜いたんじゃなくて、魔道具の魔法のオーラを見つけたのと違うかしら?」

「たしかにその方法ならば、アローラ様の位置を見抜けたかも知れませんね。とすると、彼等の主君は”魔法感知”の感覚を、部下と共有していると言う事になります。なるほど、大した術者ではありますわね。」シュネッサも同意するところがあった様だ。俺にはさっぱり呑み込めないが。

「ここも引き払う潮時かも知れませんね。そう言う事ならば、アローラ様達が飛んで来られるのも見られていたのやも知れませんし・・・。」その通りだった様だ。


 ****


「全ての窓の鎧戸の内側に鉄格子を備えておりますし、足場にできる張り出しもございません。正面の扉にも鉄格子が。左右の壁が抜かれた場合の仕掛けもごろうじろ・・・とは参りませんね。さあ、地下室に急ぎましょう。」とシュネッサは促した。


 唐突な代物がそこには存在した。地下室の更に奥、そこには古い階段の様なものがあった。

「元来の旧市街がこの街の市街下にございます。規模的には大した事のないものですが、まだそこを通って別の場所に向かう事はできますので。」

 そこは地下なのに薄っすらと光っていた。ところどころにある石柱の様な何かが放つ光だった。

「ああ、それらはミロールで産する”夜光石”ですわ。あちらでは極ありふれた物なのです。」とシュネッサが口にした刹那・・・頭上で大きな音がして、地響きが起き、俺達の入って来た通路の方から硫黄の臭いがする煙が吹き込み、あちこちでパラパラと何かが落下する音がした。


「火薬を使ったのか?しかも大変な量を?」と俺が聞くと、「迂闊に炎の魔法を使う者がいけないのですよ。炎の魔法と火薬が触れるばかりか、近くを通過するだけでも酷い事になるのは常識ではありませんか。」と肩を竦めている。なんてこった・・・。


 ****


”うはー!大変な連中だ。多分事前に逃げたんだろうが、去り際に火薬を仕掛けて行きやがったんだ。だから、魔導士の連中が鉄格子を溶かす為に炎の魔法を使った途端にこのエライ騒ぎだ。”

 元建物だった何かは、倒壊した上に崩落し、大量の瓦礫を街路に晒している。周囲には衛兵と魔術師達の死体がゴミの様に散乱している。馬鹿丸出しだよな。

「どうする?」と隣のレイヴィンドに問い掛けて見る。奴はいつもの様に愉快な顔とは正反対の仏頂面で、「可能なら追い掛けよう。無理なら仕方ない。」と返事をして来た。

「逃げたと思うか?」と聞けば、「当然だろう。」と短く答えるだけだ。


「仕方ないな。」と一声発して進み出て、瓦礫を持ち前の腕力で掻き分け始める。「これかな?」としばらくして扉を掘り出したのでレイヴィンドに意見を聞いてみる。

「それだろう・・・しかしな。」とレイヴィンドは答えた後、「衛兵ども、ここに扉を見つけたぞ!」と一声掛け、ようやく死体(またはその一部)を回収した後に、衛兵が集まり始めたのを見届けてから、俺の手を取って小走りでそこを離れ始めた。

 こいつは偏屈だが、マジで頭良い奴なんで、俺は頼りにしている。本人にそれを伝えると、また不機嫌になるので直では言わない事にしているが。


「ここに隠れろ。」と辻を一つ曲ってからレイヴィンドがそう言うや、再び轟音が響き、周囲に叫喚が満ちる。

間抜け落し(ブービートラップ)だ。あれを開くのは、俺達の役目じゃないからな。」とまあ、奴の手並みはいつだってこんなもんだ。おかげで俺は毎度助かってる。これも口にしちゃいけないんだが。

「降り口が埋まってなきゃ良いけどな。」俺が口にするのはそう言う事だけだ。


 ****


「二回目ね、思ったよりも早い。」シュネッサが呟く。お互いの姿が見えないと不便では済まないので、今はコートは脱いでいる。

「私には不要なものですね。」と言うや、シュネッサは一瞬姿を消して見せる。

「ダークエルフの行う特別な修行の成果で、魔術によるものではないのです。」と彼女は言う。

「この秘密をお教えできないのが残念ですわ。でも、女には他人に言えない秘密が必ずございますものね。アローラ様と同じで♪」その言葉にアローラは露骨に取り乱した。


 ****


「随分離されているな。」レイヴィンドが言う。

「お前には追尾は無理だろうな。行くなら俺だけって事になる。」

「大丈夫なのか?私の援護なしでは、最低でも2対1になる。案内役がどれ程の腕前かは知らないが、厄介な奴と一緒ならお前でも危ないだろう。」


「多分、ここに居た奴はあの殺し屋エルフと、ヒドラの心臓を掴み出してた凄げぇ奴だろうな。じい様からの連絡と考え併せれば、そんな答えになる。」

「・・・・。」

「とにかく、一当てしてくる。黙って逃がしたら、その時点で情報収集に失敗しただけに終わってしまうからな。」

「相分かった。しっかり努めて来られるがよろしい。」とレイヴィンドは言い、「危なくなったら、これで連絡しろ。」とベルトに吊るす皮紐で括られた小さな水晶玉を手渡して来た。

「ああ、わかった。」と俺が答えると、奴は無言で階段下まで苦労して降りた後、街路を走り始めた。


「まあ、こんな事もあろうかと・・・って意味で持って来たんだよな。」腰に差した細身の剣。頼りない武器で威力も命中も大した事ないが・・・・。加速の能力を備えている。

「行くぜ!」俺は階段上から飛び降り、魔法のオーラを感じる方向に向かい、俺は韋駄天走りで建物の上を次々飛び移って行く。


 ****


「何か来たの!」アローラが警告する。シュネッサも「建物の上を走って来る?」と驚きを隠せない。

 立ち止まり、警戒のために敵の来る方向を見定め・・・るまでも無かった。建物の上に、変な奴が飛び降りたからだ。


 そいつは膝を立ててこちらを見下ろしたかと思うと、アローラが瞬間的に弓を引き絞って放ったのを”見て”建物の屋上に伏せた。矢は避けられて外れた。


 ****


「まあ、まだ危ないって訳じゃないが相手を確認したぜ。エルフの小娘、人間の危ない奴、最後の一人はダークエルフの女だな。追尾を続ける。」とレイヴィンド宛に屋上で腹這いになりながら短く通信を送る。

「さて、もう一度。」と思って街路を再び眺めたが、奴等の姿はどこにもない。足音も聞こえ・・・な。

 すぐ横の建物の切れ間に”青いオーラの塊がスッと浮かんで”来た!・・・ヤバい、斜め前方の左右から挟まれてる!奴等空中を浮いているんだ、しかも透明になって!

 幅5メートル、前方2メートルの左右に連中は浮かび、屋上に多分脚が接触した。

 両方の靄の様なオーラが人型を取った、片方が弓を番える形に、もう片方が両腕を曲げる形に、そして左側から靴音が聞こえると思った瞬間。左側が突っ込んで来た!凄い速度だ。右側で弓を張る音がするがまだ放たない。


”わぁ!”と喉の奥で叫んだ。全力で回避したが、あの一撃を食らったら一体どうなってたんだ?と思う間もなく2発やって来た。

 同士討ちを避ける為か、殺し屋娘は矢を放って来ないが、良く見えない奴の打撃を避けるのは超速度で超敏捷を誇る自分してもが至難の業だ。至難の業だが・・・俺ならできる!

 銀の剣を引き抜いて、しっかりと左の相手の方向にかざして牽制する。この剣、片手用で長さが全く足りないし困ったものだ。責めて、もう20センチ長ければ余裕をもってカウンターに使えたろうに。

”俺が使うのには少しな。”と思うが、この剣を手挟んでなければ追尾もできなかったのだ。あれこれ望むのは単に高望みでしかない。


 まさか、ここまで攻撃的だとは・・・。予想外だ。”逃げる方法を考えた方が良い。このままじゃ負ける。”そうタキは考えた。


 ****


”危険だな。相手がその気になったら、タキでも危ない。”レイヴィンドはそう思う。

”あ奴は存外淡泊な男の様だが、今回の任務は隠密の探索らしいし、尾行者を撒けないと思ったら、倒しに来る可能性は高い。”そう判断もする。だから走る、仲間の為に必死で急ぐのだ。


「レイヴィンドよ。」と呼ぶ声がする。間違いない、我が君の直々のお呼び出し。

「ははっ、我が君。臣レイヴィンド、ただいま急ぎの用にて走りおります最中にございまして。」と走る脚を止めずに返事をする。

「苦しゅうない。タキの危機を余も存じておる。しかるに、その場所は余の詳しき知覚も及ばぬ場所故、汝の目で見た視覚を借り受け、魔術の援護を行うものである。」と言うお言葉を頂戴した。

「勿体ない限りにございます。では、今は急ぎの最中にありますれば、後程にまた。」

「良い、許す。」その言葉を受けて、更にレイヴィンドは急ぐ。


 ****


 唐突に、目の前のボンヤリした青いオーラの塊が正確な姿を結び、銀の鎖鎧にゴツイ籠手を嵌めた例の男と、赤い鎧に身を包んだエルフ娘が視界に入る様になった。

 次に起きたのは、男の頭上から紫色の電光が怒涛の様に降り掛かり・・・。レイヴィンドが来てくれたのだ。こんなにも早く!


 右に居るエルフ娘、あいつは接近戦になればどうにもならないだろう・・・と俺は考えた。だから、そちらに突進するが・・・。

 エルフの小娘は、距離を詰めつつある自分に対して一矢を放ち、それを必死で避けた尻から、矢筒に手を伸ばして次の矢を取り出した。

 奴は、後ろ足で滑る様に脚を捌いたかと思うと、全力で距離を詰める自分よりはもちろん遅いのだが、それでも凄い速度で後退し、横に細かく動いたりもした。

”こんな動きをする弓兵が居るかよ、普通!”と焦るが、弓に矢がいやにゆっくりと番えられて行くように感じられ、最後に目の前に迫った俺の目の前で矢が放たれた。

 俺はそれを必死で左横に避ける。脇腹に盛大な火花が散り、矢は俺の鎧の横を食い破りながら通り抜けた。


”ちくしょう!これでもう矢は放てないだろう!”と思ったが、そんな俺は甘かった。最後の瞬間、俺はあっけに取られてエルフの小娘を見た。

 それは何と言えば良いのだろう。小娘の顔は前の様に殺気に満ちてはいなかった。小娘の瞳は冷酷な光を湛えていなかった。小娘の雰囲気はあの身も凍る様なもんじゃなかった。

 してやったりと言う笑いを含んだ表情、瞳には悪戯っぽい光が浮かび、雰囲気は無邪気で快活で・・・好ましくさえ感じるものだった。


 そして、俺は空中に浮いているエルフ娘の前で、建物の天井から足を踏み外して、四階の高さから不意を突かれたままに転落していくのだ。


 ****


「これ以上の接近はやめよ。手出しをすれば、却ってタキを危険に晒しかねぬ。」陛下の助言のとおり、私はそこで立ち止まり、物陰に隠れた。

 タキの奴は、建物の下でのびている。さて、どうなるのやら。


 ****


辮髪(べんぱつ)だと?しかもなんだこいつの恰好は。」

 額を銀のハチマキみたいな兜らしき物が覆い、房のある何かの装飾が顔面にタスキの様に掛かっている。カンフー映画の悪役みたいな奴だなと思う。

「こいつだよ、前に殺し損ねた奴は。今からでも殺しとく?」とアローラが言うが「やめておけ。」と制止する。

「この者はタキと申す者で、モルドラの有力な勇者の一人です。」シュネッサも暗に殺せと唆している。


「いや、殺さない・・・・。」何故だろう、こいつは・・・。

 その時、奴の身体がピクリと動いた。俺は奴の手の中の剣を掴んで、近くの溝に投げ込んだ。

 ハッと目を覚ますカンフー野郎。だが、アローラの手の中の剣がスッと伸びる。

「動いちゃダメなの・・・。」とアローラが注意する。逆らえば多分グサっと剣が刺さるだろう。


「動けねぇって。酷く身体を打ち付けたんだ。」と奴は言うが。

「見てたぞ、お前は落下寸前にちゃんと受け身の体勢を取った。」俺がそう言うと苦笑いをしていた。

「ホントに参ったって。それにしても、何で俺を殺さない訳?」と奴は聞いてきた。

「いえ、今からそうするつもりですので。」としれっとシュネッサが口にすると、タキはあんぐりと口を開いた。

「やめろよ、シュネッサ。」と言うと、お甘い事でと返事を返し、小さく肩を竦めた。


「あんたがレイヴィンドが言ってた凄え奴なんだな。俺も見たさ、あんたがヒドラの心臓を掴み出したのを。」タキが熱っぽく口を開く。アローラは黙って目を丸くした。

「うむ・・・。」俺は思わず唸った。こいつはあの場所に居合わせたのか・・・。

「オークどもをぶちのめし、盗賊どもを叩きのめし、ヒドラをおっそろしい手口で殺す。」そこでタキはニヤリと笑い、「だから、俺としては、そんな奴と手合わせがしたくて仕方なかったんだ。」

 そして、顎をしゃくってアローラを指し「そこの怖いお嬢ちゃんが居るのはわかってたんだけどな。でも、止まらなかったんだよ。」と言ってのけた。


「で、満足できたか?」と俺が聞くと「結局、そのお嬢ちゃんにしてやられたし、あんたには反撃すらもできてない。不完全燃焼ってのか?満足とは程遠いな。」と嘯いた。

「じゃあ、次回に勘定は繰り越せよ。今日は仲間ともども退いてくれ。」と俺は言った。

「レイヴィンドの言う通り、あんたは人殺しをしないのか?殺しを嫌ってるのか?」とタキは不思議そうな顔をする。「怪物相手の時とエライ違いじゃないか。」と首を捻っている。


「どうとでも考えろ。ほら、俺の気が変わらない内に行け。」と言うと、タキは「恩に着る。」と言って上体を起こすと頭を下げた。しかし、その後にアローラの方を向いて、これも不思議そうな顔をする。

「お嬢ちゃんさ。」と口を開くと「アローラなの。お嬢ちゃんじゃない。」との返事があり、「アローラさんよ。あんた、何があった訳?」とタキが不思議そうに聞いて来る。


「何があったって?何の事を言ってるのよ?」とアローラも首を捻る。

「何日か前に、森の中で俺を追い掛けた時と、あんたの雰囲気丸で違うんだけど?あん時は殺し屋みたいにおっかなかったのに、今日は違う。凄腕は変わらない、今回は前よりも更に酷くやられて、死んでても不思議が無かった。けど、あんたは前とは違う。感じが全然悪くないんだ。けど、何故そこまで変わったんだ?」タキはそう口にする。

 アローラはしばらく考えて、不意に顔を真っ赤にし始めた。察しの良いシュネッサは何度も頷く。


「さあ、時間切れだ。お仲間の所に帰るんだな。」と俺が言うと、タキは真っ赤になったアローラを不思議そうに見つめている。しかし、問答が長くなったのも確かなので、それ以上は口を開こうとはしなかった。

「もう一度言うが、恩に着る。また会おう。」と言うと、溝の中の剣に飛びついて拾い、街路を一目散に駆けて帰った。良かった、要らない事をそれ以上聞かれなくて・・・。

 その後、俺達は新市街への階段を登り、全員が透明になった後に間髪を入れず、尖塔の方に向かった。

タキの今回の武器:クイックシルバー

打撃力+2

命中率+1

防御力+3

加速:移動速度と攻撃回数を倍増

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