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第六十一話 あれからの鹿子木誠人

できましたならば、作品の評価をお願いします。


評価があれば、遣り甲斐がもっと増えますので。

 うん、シーナさんは六時間後に来てくれと言ってましたが、どうせならその間いろんなクエストをやっておきたいです。

 ノースポートの他の街、地図を開いて見てみます。ラサリアとヴァネスティの境の街ですか。フルバートですね。

 横はエルフの国ですか!男の夢みたいな国ですね!!! 


 いや、実は定番ちゃ定番なんですけど、それでもやはりエルフはエルフじゃないですか。

 猫耳のエルフとか居ないんですかね?

 この世界にはビーストマンとかも居るそうですし、混血でそんなの存在しないんでしょうか?

 ドラゴン人間もいるから、ドラゴンエルフとかも乙なもんですし。いろいろ夢が拡がります!


 で、ノースポートからフルバートへ。武器は変わらずロングソードで、鎧は鎖帷子を買いました。

 冒険者ギルドは相変わらずないんですね。練兵場に行きましょう。掲示板探しましょうか。いや、例によって酒場で大声ですか?

 居た居た!「俺はバニックス、流れ者の戦士だ。あんたも逃走犯目当ての人か?」そんな返事が来ました。

「そうっす!変な物見たさでやって来ました。」と軽く答えたら、「クエスト一緒に頼めない?なんかケッタイなのがあるんだよ。」との返事。どんなもんでしょう?


「クエスト:用心棒求む。報酬 討伐成功時に総計金貨100枚支給」ですって。


「これ、何を討伐するか書いてないっすね?」ホント、イミフっす。

「だろ?これはPCへの呼び掛けだと俺は理解してるんだけど、全然言葉足りてないし。」

「とにかく、乗ってみまっす?」

「そうしよっか?」こんな感じでお話は進んだんすよ。で、依頼主に馬を貸して貰って、武装したNPC達と一緒に出発っす。でも、森の中に入って広場に着いたら、そこから動けなくなりました。


「バニックスさん、なんか”ここからは出られません”って表示されるんすけど?」

「イベントが始まるまではここで待機って事じゃないのん?」と返事があり、その後はバニックスさんの頭上のステータスは”電話中”と表示されてました。

 多分、彼は他のゲームも並行でやってるんすね。まあ、ドマイナーゲムなんか適当にしかできなかも。

 俺にしても、兄貴捜索のためじゃなきゃ、こんなゲームしないですもん。


 その内、バニックスさんの表示で”電話中”じゃなくなって、「鹿子木さん、そろそろみたいですよん。」と彼から通信がありました。多分、俺の知らないアラートがあるんでしょうね。

 NPCが発言を始めました。「獲物が通り掛かった。」って、、、なんか日本語ローカライズの翻訳を自動翻訳にやらせた感じですね。それらしくないってか。

「来やした!奴等ですぜ!」と雑魚盗賊に見えるキャラが発言してます。

「よし、野郎ども、出掛けるぞ。」とNPCの強いけど悪そうなキャラが言いますが、これもちょっとって感じのセリフです。


 馬車が何台か坂道を下って行くのが見えます。

 俺の周囲には大体二十人か三十人の弓矢と剣で武装した連中がいます。俺のキャラは、位置的に一番前に居るみたいですが、このゲームの視界はそんなに広くないので、一度には見えません。

 獲物ってさっきの馬車なんでしょうか?それだと、俺達は馬車を襲う夜盗みたいな感じなんでしょか?

 このゲーム、カルマシステムってあったでしょうか?もしあるなら、俺はとんでもない事をしてるって感じです。街に入ろうとしても、衛兵に止められる様な事になるかも。


 と考え事をしてる間に事態は急展開!超展開!


「来たぞ!野郎ども!」と言うNPCのセリフが出て、何でしょかあれは?グラボの動きが足りなくて、酷いラグ起こす様な速さで何かが動いてます。坂を昇って、俺達の方に・・・赤い〇星みたいに通常の三倍速?いや、質量のある残像みたいに・・・。

 他のNPCや前に戦った巨人と比べると、速度パラメーターがバグってるんじゃないかってスピードで動いてます。


 え??????


 目の前に現れたのは、肩と二の腕が異様に太い、頭にバンダナかタオルを巻いた厳ついお兄さんですた。目がターミネーターみたいに光ってますが・・・。キャラの名前出てますね。”蓮條主税”と・・・。


 いや、いやいやいや。こんなところで兄貴出現?

 で・・・あの、兄貴が出てから俺のキャラ一秒以内に倒されてますよ。倒された時に空が見えましたよ。


 これは殴られた?兄貴の名前の勇者キャラにぶっ飛ばされた?あの動画のボクサーみたいに?

 あれ、体力ゲージ全部赤っすよ。ステータスも”行動不能”って。しばらく待たないと何もできない。

 それにしても、兄貴キャラの攻撃の素早さ。武器のゲージなんか絶対貯まる訳ない速度で殴って来ました。あれに勝とうとか、どう考えても無理ゲーっすよ!


「鹿子木さんやられたか?俺、後ろに下がってスクショ取ります。」と言うや、バニックスさんも・・。

「ひぎゃあ!なんなの、これ。ゲームになってない。」、後ろからの一撃で沈んだらしいっす。

 それからは俺達二人でルックスルーモードで近くを見ようとしましたが、俺に見えるのは坂の下にある馬車位までで、馬車の上に何かが飛び乗ったのが見えたんすけど、それが何かは解像度の関係で不明でした。


 それからしばらくして、俺とバニックスさんは回復したっす。ゲージ真っ赤だけど、とりあえず動けるまでには。で、坂を降りようとしたんですが、下の方で何か起きてます。

 何が起きてるのかと言うと、横になってる盗賊らしき黒装束のキャラを、緑の服を来た連中が殺してるんですね。毎度血しぶきが挙がって、バシバシ殺されてるっぽい。

「なんなの?このゲーム?このままだと俺らもやられる?」

「森に入って隠れましょう。ズームで成り行き見ましょう。」って事で森に隠れました。


 坂の上で倒れてる盗賊達。全員殺されて行きます。これ、ゲーム的に何の意味があるんでしょ?イミフ、ひたすらイミフ。

 ズームで見ると、連中エルフですね。耳尖ってますし、細身の美形で弓背負ってるし、金髪です。ここのエルフってこんな種族なんすか?俺の夢粉々っすよ!

 そんな俺の気持ちをよそに、倒れてる連中を殺しまくった後、エルフ達はそのまま去って行きました。


「世界観が気味悪ぃな、ここ。」

「馬を使ってフルバートに帰りましょう。」殺人エルフ達が去った後、街道を探索した俺達は、ただただ農耕地と街道で死んでいる人達を見つけました。


 実は、そこから少しのところ、橋の下の川縁には、もう少しの間兄貴がいたんですよね。でも、俺達はそこまで近付かなかった。

 実はそれが正解だったんですが。エルフの弓兵もその近くに潜んでいて、俺達が近付いたら即座に殺してたでしょうから。


 それから俺達は馬でフルバートまで帰り、クエスト掲示板を確認して見たら「クエスト失敗:報酬なし」と書かれてました。つまり、痛い目に遭っただけだったと。


「あれは何だったんだろう?」とバニックスさんはぼやいてました。

「俺にもわかんないっす。」

「勝ち目ゼロのバグキャラを出して来るとかありえん。あれはPCをおちょくった挑発か?」とか喚いてましたね。そう言われても仕方ないでしょうか。


 それにしても、あの兄貴キャラ。マジで似てたっす。本物を知ってるのかって位に。いや、本物だったんすよね。それはその後にわかったんすけど。


 少し経ってから、例のスレを見てみると”ハンドル名 バニー :蓮條発見。フルバート近くの街道でクエスト中に遭遇。早過ぎてイミフ、撮影無理杉。その後、殺人エルフが倒れたNPCを虐殺してクエスト終了せり。全くイミフ。全てがイミフ。”と書かれてました。

 俺も続けてレスを書いたんすけど、”ハンドル名774 :蓮條はエルフの国に入った模様。”と短く書いたら、それに対して”ハンドル名774 :下げ進行でお願いします。上げは嵐。”とお叱りの言葉を頂きました。どうもすみませんでした!


 フルバートで再び酒場に入ったら、今度はあのランスロットさんに出会いました。

「鹿子木さん、CIAO!エルフの国に入れないかと思ったけど、国境の橋が”通行不能”ってなってて、下の方の川も”通行不能”で入れなかったわ。」との通信を頂きました。

 兄貴遭遇時の様子も聞かれましたが、秒殺瞬殺で地面に転がされ、その後兄貴は行方不明ですとしか返事できませんでした。

 つまんない情報源で毎度ごめんなさい、生まれて来てごめんなさい。今から吊ります・・・。って感じっす。真剣、嵐か竜巻みたいな感じでした。空中に浮かされて終わりなんすから。


 けど、兄貴のキャラをここまで忠実に再現してるとか、一体何事なんでしょうか?


 今はまだ夜の8時。まだ兄貴がラサリアに帰って来るまで何時間かかかるんでしょう。

 とりあえず、夕食食べますかね。

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