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第百五十六話 遂に帰り着く その3

「兄貴達、もうノースポートに着いたんですかね?」俺は馭者台の横に座るマキアスさんに話し掛けました。

朝方に食事の後に出発して、今は昼に差し掛かろうかと言う時間です。

「さあ、どうなんだろう?俺は二人がどのくらいの速度で移動できるのか知らないからな。けど、空中をすっ飛んで行ったレンジョウの速度を考えるに、あれなら夜明け前にはノースポートに到着できる速度だったと思う。」彼はそう返事して来ました。

「そうっすね。」と生返事を返しますが、さっきから間が悪いです。

なにしろ、今や二人きり。いや、新キャラのバラミルさんや、俺のニッチを侵すかのように、兄貴を兄貴と呼ぶ二人のモブまで増えている始末なので。


けど、あんまり簡単には馴染めません。基本、俺って警戒心強いんす。

マキアスさんは、他の全員と顔なじみみたいですが、俺は初見の人には心をあまり許せないタイプですしね。

「それにしても、こっちの方はまだ後1日はかかるな。馬の体調が復活したのは良かったけど、俺達の方が本調子じゃないからな。」とマキアスさん。

「全くっす。こんなゲームの世界で、疲れとかを感じるなんて理不尽に思えまっす。そう言うパラメーターは無くて良いんじゃないかとね。」俺は零します。

なにしろ、護衛が居ると言っても、昨日の夜には実際に盗賊ギルドの残党と一戦交えた(主に兄貴とシーナさんが)訳ですし。

かなりボロさが目立ってきた大きな輓馬の馬車に数名の兵士が随行しているとか。これって、治安の悪い世界だとかなり狙われ易いパターンなんじゃないかと。

いや、専業の兵士が随伴しているだけで、半端な盗賊とかは避けてくれるかな?

万が一、ランダムエンカウントとかがあった場合、普段なら楽をさせてくれる兄貴やシーナさんの不在は本当に有り難くない事です。


「それにしても、鹿子木の言う通り。勇者パーティの離合集散はある意味黄金のパターンだとしても、この心細さをゲーム中で誰も口にしないってのはなぁ。現実に即してないと言うかさ。」

「ですよねぇ。正直、兄貴もシーナさんも怖いタイプですけど、二人の話を聞いてるだけでも結構勉強になるなと。最近では二人のお話を楽しみにしてた位だったんす。だから余計に寂しいっすね。」

「まあ、あんたみたいにゲーム世界にまで兄貴を訪問して来るってのはな。まったく、舎弟の鑑みたいな男だよ。」とマキアスさん。

「兄貴が警察から姿を消したって聞いた時から。俺は兄貴の冤罪を晴らすためには何でもするって決めてましたから。あるいは、俺が兄貴を探し出せたのは幸運と言うよりは、例の運営と言う人達に誘い込まれた結果なのかも知れませんが。」俺は最近考える様になった事をマキアスさんに話してみました。


「あるかも知れないな。って事はだ。あんたも、レンジョウの周辺の重要人物って事になるね。」

「それはマキアスさんもですね。シーナさんの周辺の重要人物って事に。」

「実感ないね。俺が重要人物だってのはさ。」

「俺もっすね。むしろ、俺なんか社会に要らない人物の筆頭かなって思ってた時期もありましたから。」

「あんたの兄貴も同じ様に考えてたっぽいけどな。全然違うタイプだけど、あんた達どっか似てるんだよな。」その言葉にちょっと嬉しくなりました。

「マキアスさんもシーナさんにどこか似てますね。頭良い事以外にも、責任感強いところもね。俺、見習わないと。」

「んな事ないって。俺なんかいい加減な男だから。チーフの目があるからサボらないだけだよ。」とマキアスさんは笑ってます。


「交代しますね。皆さん、客室区で休んで下さい。」そう言って馭者台に上がって来たのは、兄貴の新しい舎弟と名乗るハルトさんでした。

何て言うか、この人日本人でしょうかね?でも、聞いてもわかんないかな?

「ありがとうっす。じゃあ、後は任せましたね。」と俺はマキアスさんを誘って客室区に降りました。反対側のステップから新キャラのアマルさんも登場。

俺達、昨日の夜からあんまり寝てないのでありがたい申し出でした。

前を行く騎馬のバラミルさんがこちらを振り返っています。まあ、平穏な道行きって感じですね。


後1日で・・・あの街に帰れるんすね。


****


客室区の比較的大きな長椅子。しかし、横になるには少し椅子が固すぎるのだ。

寝袋を拡げて、カナコギと共に横になる。ダブダブの寝袋には、既にいろんな臭いがこびりついている。正直、清潔第一の日本人だとかなりキツイ臭いが。

「寝る前に少し食っておくか。」俺はカナコギにそう言った。

「良いっすね。この黒パンのサンドイッチ。正直、早めに食べておかないとヤバそうっす。」


酢をぶっかけた黒パン。固くて、味気ないが腹に溜まる代物は、同時に食べる時に喉が渇いてしまう。だから葡萄酒を呑む事になる。

まあ、水で薄めてあるから、なかなかへべれけに泥酔する事はないが、それでも日本人にはヘビーな代物だ。慣れては来たが、やはり米の飯を食いたいと言う気持ちはある。後、味噌汁も。

「思えば、シュネッサ姐さんって、最高のパーティメンバーだったよな。」

「そうっすね。お淑やかで、色っぽくて、あの瞳に吸い込まれそうになりまっす。おまけに料理上手で気配りできてと。大和撫子真っ青っすね。」

「違いない。あの煌めくラベンダー色の両目。あれは反則だな。それに、あの漆黒の肌とピカピカのブロンド。あれはこの世の人じゃないよな。地獄にああ言う人が沢山いるなら、俺は地獄に落ちるのも悪くないって思う位だ。」

「あんな人が沢山いる所が、何で地獄なのかアヤしいですけどね。でも、あの人も地下世界からの逃亡者なんでしょう?苦労して生きて来たんでしょうね。」

「だろうな。けど、前向きに勤めて、エルフの勇者からも一目置かれているんだから大したもんだ。」

サンドイッチの具は、分厚いチーズとベーコンの炙り物で、チーズの方は本来ならパサパサって感じだが、やはり一度炙ってあるのは大きい。ノースポートの領域内では、ソースと言えばアンチョビーのソースか粒マスタードが多いのだが、この場合もソースは粒マスタードだった。

黒パンには、ちょっとだけトーストして、脂を塗り付けてあった。肉体労働者の為の食事って感じがプンプンする。

咀嚼するのに手間が掛かるが、腹持ちは期待できそうだ。寝る前にこんなものを食べるのは、リアルではどうかと思う事だが、この肉体労働が普通の世界では、多少太っていないとマズいだろうなと思える事しばしだ。

俺達が文明世界でどれだけ楽をしているのかを、この魔法ありの中世世界は実感させてくれる。


「カナコギ。わかってるだろうけど、俺達はレンジョウやチーフとは現在別行動だ。後1日、何か面倒があれば、俺達で対処するしかない。」

「ですね。魔法の剣を持ってるし、神器の鎧や盾を装備しているんすから、今は俺達が主力って考えた方が良いと思うっす。」

「じゃあ、今はしっかり寝ておこう。体調整えておかないと、いざって時にヤバいだろうから。」

「なーんか、フラグ立った様な気もしますけど、寝とくのには賛成っす。じゃあ、おやすみなさい。」とだけ言葉を交わして、俺達は眠りに落ちた。

何て言うかな。俺達の一行には、枕が変わると眠れないとか言う、繊細なタイプは一人もいない。

それって、多分冒険に出る者としては、ある意味得難い資質なのかも知れない。

そんな事を俺は考えた。その後すぐに眠ってしまった様だが。


****


6時間後、すっかり夕方になってしまってます。今日は夜通し行軍って感じでしょうか。

そう言えば、この世界の白系統魔術に「行軍エンデュランス」と言う魔法があるらしいです。

つまり、耐久力、スタミナを高めて、強行軍で進む魔法なのだそうですが。

二人の新規登録された兄貴の舎弟と交代で馭者台に登りました。

けどまあ、考えてみれば、こう言うのは一旦停車してから交代すると思うんですが、毎度の交代時に、兄貴をはじめ、馬車を全員走らせながら交代してましたね。

皆さん、せっかちと言うか。安全とかにあんまり興味ないんでしょうか。


「そう言えば、マキアスさんって、このゲームでのスキルは何なんですか?俺は”剛力”で攻撃力重視の戦士タイプなんですけど。」

「あー!そう言うのあったな。最近全然気にしてなかったけどさ。俺の場合は耐久力と回復力を増加する”頑強”だったよ。」

「それって、タンク役に適正ありって事で良いですか?」と俺が言うと。

「待ってくれ。ならば、こんな長い剣じゃなくて、ああたの剣と盾と装備交換しないと。」って感じで慌て始めたりしますた。

「神器の鎖帷子と神器の盾は共存不可っすよね。」これって、ゲームとしての制約なんすけど。これが絶対なんですよね。

「あんまりにも自然な感じなんで忘れてるけど、やっぱここはゲーム内部の世界なんだよな。」

「そうっすね。ってか、あれは何すか?普通のオブジェクトっぽくないんすけど?」

「ん・・・。」


そこに見えたのは、街道の進行方向右側の藪から頭を出した、狼っぽい何かでした。

「ほら、あの危なそうな顔の何かっすけど・・・。」

「あれはノールだな。」

「ヤバい奴なんすか?」

「ああ、掠奪だけじゃなくて、戦闘それ自体も好む、危険な蛮族だが。それが、こんなラサリアの首都近くに何で居るのかがわからないな。」とマキアスさん。

「だから忘れてませんか?ここって、ゲームの世界なんすよ。平和な村の近くでも、弱いモンスターが毎日ウジュウジュと湧くのがゲーム世界なんすから。」

「そうだったな。そうだったんだ。この世界は、ファンタジーの冒険世界だったんだ。なあ?」

「ええ、そうっすよ。そうなんすよ。」


「おい!バラミル!こっちに来いよ!」とマキアスさんは怒鳴りました。

「なんだよ、マキアス?」と彼も怒鳴ってます。

「ノールだよ、ノール。そこの藪の中から顔を出していたんだ。」マキアスさんはそう言って唸りました。

「それはお前。見間違いじゃないか?酒が入ってんのか?」とバラミルさん。

「お前とは違うわい!俺は少なくとも勤務中は酒は飲まないってば。」これは単なる掛け合いだった感じですね。

バラミルさんは即座に笛を吹いて、三騎程しかいない騎兵を周囲に集めました。

「奴等は戦いを好む危険な種族だ。馬車を止めて戦う事にする。連中も俺達に接近を感づかれたとわかってる筈だ。」と言ってる間に、ほら出て来ましたよ。


「ありゃ、ウルフライダーだぞ!畜生、あんなのがまだ生き残ってたんだな。」とマキアスさんが驚いてます。

「新兵ども、まともにやりあったら殺されるだけだ。俺達の後ろに回れ!」とバラミルさん。ハルトさんとアマルさんは客室区から出て来て馬車の近くに回ります。

「馭者台の上に居たら戦えませんよ。降りましょう!」俺はそう言うと、盾を掴んでステップを降り始めました。

「おう!騎兵を抜けて来た奴等に対しては、今回は俺達が最前列だ。」マキアスさんもやる気です。


****


「騎兵は全て固まれ。可能なら2対1で相手を仕留めろ。歩兵も固まれ。相手は、この大陸で最も移動力の高い連中だが、単に直進するだけしかできない連中でもある。落ち着いて仕留めろ!」俺はそう怒鳴った。

実際には、身の丈2メートル程のマッチョなノールどもに加えて、狂暴な化け物狼ダイアウルフの牙にも注意しないといけないのだ。

「ハルトさん、アマルさん。今回は俺達二人の後ろに隠れてて下さい。俺達が敵を食い止めたところで、一緒に参戦してくれたら有利に戦えますよ。」とカナコギなる正体不明の男が二人の新兵に指示を与えている。だが、その間にもノール達は藪の中から騎乗してゾロゾロと出て来る。

ただし、人数は4人だけだ。これでも、騎兵4騎と歩兵4人に対しては圧倒的に有利なのだろうが。


そして、奇妙な事に気が付いた。カナコギは抜剣していないのだ。魔法の使い手にも見えないのに。まあ、左手の盾は青く光っていて見るからに魔法の盾なのだが。

そんな事を考えている暇もないか。俺は左右の騎兵に合図を送って二人一組で迎え撃つ準備をなした。

「突っ込め!」と喚くと馬腹を蹴って速度を上げる。手には槍を構えている。化け物狼の頭は1メートル程度の高さだが、それに跨ったノールの頭は2メートルにも達する。

揃って筋肉質の逞しい体躯であるが、やはり蛮族は蛮族。武器は立派でも、鎧は貧弱なものだ。

両手使いの馬上槍は鐙があっても安定しないのだが、高度な白兵戦技術よりも粗雑な腕力で戦う蛮族には一撃必殺の攻撃で先に殺してしまう方が解決方法としては簡単である。

狙い過たず、俺の槍はノールの鳩尾に吸い込まれた。鉄の鎧の様な筋肉であっても、鋼の穂先を防げる訳もない。俺が左で、右に回った騎兵も攻撃を成功させた。

ノールは落馬(落狼?)して、化け物狼は驚いてそのまま駆け去ってしまう。

もう一組の騎兵2騎は、一発で相手を仕留めるには至らなかったが、それでもウルフライダー1騎の足は止めている。抜剣して俺は騎兵の方に馬を向けた。

チラリと歩兵たちの方を見ると、既に2騎のウルフライダーと接敵する瞬間だった。


****


「カナコギ、剣を抜けよ!」とマキアスさんが怒鳴っていますが、俺には考えがあります。

敵のウルフライダーですか?ありゃ怖いですね。普通の人間にしてみれば。

けど、俺はなんか肝が完全に据わったと言うか。怖くないんですよ。何とかできるって言う確信みたいなのがあります。

ここは、俺本来の得物で戦いましょうか。それで取り出したのが・・・・。


****


抜剣しようとしないカナコギに焦れて怒鳴ってしまった。

けど、数秒もしない間にカナコギは驚くべき行動に出た。

右手に何本かの投げナイフを取り出したかと思うと、それをノールに向かって投げ放ったのだ。


どこに刺さったのかは良く見えなかった。何しろ、もう1騎のウルフライダーが俺の視界を一杯にしたからだ。ご丁寧に化け物狼が吠え声をあげて威嚇してくれるオマケ付きで。

けど、こんなのはコケ脅かしだ。俺は向かって右側、相手からすれば左方向に回り込み、肩のあたりまで引き上げておいた”正義の右手”で化け物狼の首元に斬り付けた。命中してすぐに剣を引き上げ、態勢の崩れたノールの腹に剣を叩き込む。

斬り込みは不十分だったが、とにかく相手に痛手を与えたのだ。後は有利なポジションを守って・・・。


そんな時間は無かった。後ろから遷移して来た新兵アマルがこちらの向かって左から長剣で斬り掛かったからだ。

俺もそれに共同して、右側から化け物狼の肩に斬り付ける。狼は転倒して、ノールは自分の足で地面に立った。

そこにアマルが突っ込んで腹に剣を突き立てる。反射的に振られた右手で叩かれ、アマルが転倒するが、俺の魔法剣がノールの背中に突き立ち、ノールは悲鳴をあげて死んで行く。

瀕死のノールに圧し掛かられた化け物狼は、何とか脱出しようともがいていたが、俺は更に上段から”正義の右手”を振り下ろしてトドメを刺した。


騎兵がこちらに駆けつけて来るのが見える。あっちの担当相手は全滅したのだろう。

ハッとカナコギの事を思い出して、そちらを見やったが、そこに見えたのは盾の陰に隠れながら、エルフから譲り受けた魔法剣レインダンサーをバシバシと凄い速度で揮うカナコギの雄姿だった。

既に化け物狼は死んでいる。辛うじて生きているノールの方は既に左手を手首の下あたりから斬り飛ばされていて、左膝に致命的な打撃を受けたノールはくずおれ、首に食らったトドメの一発で動かなくなった。


****


俺は驚いた。前衛の魔法の盾を持った剣士は、迫り来るノールのウルフライダーに何かを投げ付けた様なのだ。

血が噴き出している所に、短いナイフらしき柄が見えた。苦痛を訴えながら、狼さながらの頭部からやはり狼の様な吠え声を発しつつ、ノールの持った剣が振り上げられる。

剣士は、右側に剣帯で吊られた短めの剣を逆手で抜いて、手の中で鮮やかにクルリと回転させると、曲芸の様に持ち手が順手に変わっていた。

敵を目前にして、何と言う余裕だろうか!


そして、瞬間に大きく伸ばされた右手を斜めに引き上げ、剣士はそれを凄い速度で振り下ろした。化け物狼の鼻面に剣は落ちて行き、急所を直撃された化け物狼は横倒しになって、その場で転げながらもがき苦しみ始めた。

その間にどれ程の時間が経過したのか?一瞬でウルフライダーは半身不随に成り果てていた。

剣士は前進した。それ程早く駆けて行ったのではない。慎重に前進している。そして停止した。

多分、剣士はそこで戦うのだと決めたのだろう。盾をしっかり構え直した。

ノールは化け物狼の背中から振り下ろされてしまったが、血まみれになりながらも立ち上がる。

剣士は素早く左に動いた。怒り狂ったノールは武器を構えて襲い掛かるが、化け物狼を踏み越えて進むのには躊躇した。

そこに剣士の持った魔法剣が再び振り下ろされる。防具に護られていないノールの左手は斬り落とされてしまう。

剣士は今度は右側に動いて連打でノールに攻撃した。

悲鳴をあげながらノールは右手の武器を揮うが、盾に当たって跳ね返された。そこに剣士は踏み込んで深く斬り付け、斬り裂いた。

次に剣士は左側に動き、ノールの左膝に斜めから斬り付けて転倒させてしまう。

俯いたまま唸り声をあげるノールの兜を避けて、剣士は首筋に深い突きを入れてトドメとした。


次にほとんど動けなくなっていた化け物狼に近付くと、盾を地面に置いて、化け物狼の首に左手を添えた後、まるで魚を三枚におろす様に平然と獣の喉を斬り裂いてしまう。


その瞬間を目の当たりにしたところで、俺は正気に戻った。本来ならば、彼の援護として戦列に参加すべきだった事をようやく思い出したのだ。


****


「カナコギ、やるな!ウルフライダー相手に圧勝かよ?」とマキアスさんからのお褒めの言葉が。

「すみません、俺も参戦すべきだったのに・・・。カナコギさんの戦いが見事だったんで、見惚れてしまいました。」と言うのは俺に対する新規参入チャレンジャー、最新型の兄貴の舎弟となった競合者ハルトさんです。

「そんな事言わないで欲しいっす。結果オーライなんすから。」と俺は謙遜すますた。

「最後の方を駆けつけながら拝見しましたが、カナコギさん。本当に強いです。僕達じゃ、全然敵わない位に強いです。」とニューカマーズの片翼であるアマルさん。この人の日本語が少しばかりたどたどしいのは何ででしょう?

あ・・・これって、外人さんなんすかね?知らないですけど。


「流石だな。お前も聞いたところに拠ればレンジョウの舎弟の一人だそうだが、やっぱレンジョウの身内は強いんだな。」と髭ダルマのバラミルさん。

「え?貴方もレンジョウさんの舎弟なんですか?」とハルトさん。

「貴方、レンジョウ兄貴の身内ですか?」とアマルさん。


「実はそうなんすよ。俺も兄貴って彼の事を呼んでます。」ちょっと鼻が高かったっす。

純朴そうな、見るからに年下の男の子達に露骨なマウントを取るとか。そう言うのは好きじゃないんすし。

初手からこんな風に相手に尊敬して貰えたって事なら、今後の付き合いも良い感じになりそうですね。

「カナコギさんは、レンジョウ兄貴に、直接戦闘の指導して貰ったのですか?」とアマルさん。

「いいえ。俺は兄貴からその手の指導はして貰ってないですね。出会った時に何発か腹を殴られたくらいでしょうか?あれって、戦闘指導なのかな?」と俺は正直に答えますた。


「兄貴に殴られたんですか?あの人のパンチって、武装したオーク鬼を薙ぎ倒す程なんでしょう?それを何発も?」とハルトさん驚いています。

「おかげさまで、あのノールとか言うデカい奴も全然怖くなかったですね。兄貴が怒り狂ってる姿を目にしたら、大概の怪物なんか怖くなくなりますんで。」とこれも正直に。


「俺もチーフが激怒してる姿を何度も見たんで、ノール程度なら全然怖くなかったな。」とマキアスさん。

そこで、マキアスさんの肩にバラミルさんが手を置きました。

「なあ、マキアス。買収に応じるぞ。」と満面の笑みで脅迫開始です。

「買収って何の話だよ?」とマキアスさんが汗をかき始めました。

「今の言葉、男爵にチクられたくなかったら、俺に一瓶よこせ。それで忘れてやる。」

ああ、この人悪い奴だと完全に理解できました。

「汚ねぇぞ、バラミル!ww」と言いながらも、マキアスさんには勝ち目なんかありません。

「一瓶な。わかった。命には代えられないし。」と交渉成立です。

「お前等も要らない事は喋るなよ!w」とマキアスさんは職権を振りかざしてお話は終了しました。


****


今朝の歌は、私にも理解できる歌だった。

「これは元々は讃美歌なんだろう?」とレンジョウ。

「うん、アメリカの人々にとっては、この歌は第二の国歌と言っても良い位の歌ね。」

今回はザルドロンは何も手に持っていなかった。

アリエルによる声楽のソロでアカペラを行った感じだった。

しかし、そこは教会の中ではなく、展望台からは上には朝焼けに燃える空が、下にはアリエルと一緒に見たノースポートの白い建物の街並みが拡がっているのだろう。


その展望台の上でアリエルは美しい、本当に美しい声で讃美歌を歌っている。


Amazing grace なんと驚くべき恩寵でしょうか

how sweet the sound 何とその響きの甘美なる事か

That saved a wretch like me 私の様な哀れな者すらも救って下さるとは


I once was lost 私は一度道を外れてしまいました

but now am found しかし、今では道を見つけました

Was blind but now I see 以前は私は盲目でした、しかし今は目で見る事ができています


「アメイジング・グレイスか。アリエルがこれを歌うのは似合ってると言えば似合ってるんだろうが。」

「でも、姫様は言ってたよね。神様なんか見た事もないし、その声を聞いた事もないってね。」


Through many dangers 沢山の危険をくぐり抜けて来ました

toils and snares 苦しい事もありましたし、仕掛けられた罠もありました

I have already come それでも私はここまで遂に来たのです


'Tis grace hath brought me これは恩寵が私をここまで連れて来て下さったからです

safe thus far この安全な場所に

And grace will lead me home. そして、恩寵は私を故郷まで導いてくれるのです


「完璧だったな。」

「うん、本当に天使の歌声よね。」


次にアリエルはもう一曲、讃美歌を歌った。

今度の曲は、聞いた事はあっても意味はわからなかった。何故ならラテン語の歌だったからだ。

シーナも、この曲の意味は漠然としか知らないらしい。

それはアヴェ・マリアだった。

アリエルの声はメゾ・ソプラノ。アローラよりも少し声が低い。

本来はソロで歌うタイプではないのだろう。

大声を出す様な下品な女性ではなかったから、今まではそれ程気にしてはいなかったが、こんなに美しい高音の声だったのだ。声量も見事だ。

何よりも歌いながら振られる細い両腕と、上下する控えめな胸の動きが優美であり蠱惑的に思えた。

アリエルの高らかな美声は、ノースポートの家々に木霊していた。

街中に天使の歌声が響き渡っていた。


見れば、周囲に動く人影が幾つも見える。昨日はそうではなかったのに。

膝を折り、指を組み合わせている者達も居る様だ。

眩しいばかりの白い光と青い光に包まれながら、今日は背中まで降ろした長い金髪を朝の風にはためかせながら。美しい少女が両腕をあげて歌っている。

その光景は、絵画の様でもあり、神話の光景の様にも感じられた。

アリエルにどんな変化が訪れたのだろうか。それは面談してみるまでわからない。してもわからないかも知れないが。


だが、これが「喜ぶべき変化」なのだろうと言う予感はしていた。

やがてアリエルはお辞儀をした後に、展望台の奥に帰って行った。


「さあ、俺達も旅の締めくくりをしようじゃないか。」俺はそう言って、シーナと共に宿屋に引き返した。

朝食を摂ったら、馬車の面々と合流しなければならない。

朝の冷たい空気と、夜明けの壮気を肺深くに吸い込みながら、俺は希望に満ちた思いで石畳の上を進んで行った。

(カロカガディアについて補足)

グレイスは本文中で、カロカガディアとは人が半神としての栄誉を目指す概念と言っていました。

”哲学的な叡智を備え、その身美しく、武勇に優れ”と言うギリシア人の理想像の結実がカロカガディアでした。

実際、ギリシア人と言うのは外見を非常に重んじる民族です。

ソクラテスはどんなに立派に自分を弁明したとしても、政治的には最初から殺処分が決定していました。

眉目秀麗なアルキビアデス(♂)が必死で誘惑していたにも関わらず、常に袖にしていたソクラテス(♂)は風采上がらぬ醜男だったそうです。

多分にソクラテスに対しての妬みも入っていたのでしょうか。ソクラテスを殺した連中の何人かは、アルキビアデスに誘惑されたかった向きかも知れません。

日本の江戸時代でも、敵討ちの多くは俗に言う「衆道敵討ち」であり、父の仇を討とうとする敵討ちよりも、男同士の痴情の縺れによる刃傷沙汰の方が多かった位ですからね。


何にせよ、カロカガディアに至る第一歩は「肉体の美しさ」であった事は間違いありません。

ギリシア人の肉体に対する執着は、ある意味日本人には想像すらできないでしょう。

例えばですが、ギリシアでは戦争の終結と必ずセットなのが、戦死者の死体の収容なのです。

そして、戦闘の最中であっても戦死者の死体の回収は最重要の目的に容易く変化します。


例えば、カロカガディアの体現者として名高いスパルタ王レオニダスですが、テュルモピライの戦いの終盤で、レオニダスは遂にペルシア人の手に掛かり戦死してしまいます。

そこで何が起きたのか?まだ生存していたスパルタ兵と、スパルタ兵と共に戦場に残ったテーベの兵達までが争ってペルシア人に襲い掛かり、レオニダスの亡骸を巡って、血で血を洗うと言うか、ほぼ狂暴化したギリシアの歩兵達がペルシア人を薙ぎ倒し始めたらしいのです。

もちろん、それは最後の足掻きであり、レオニダスの亡骸を回収できたとしても、出口はペルシア人の別動隊に完全に包囲されていましたので、運び出す方法すらなかったでしょうが。


それ以前にも、ホメロスが書いた「イーリアス」にも同様に数々の戦死者の遺体争奪の描写があります。

ヘクトールに討ち取られたパトロクロスの遺体争奪戦。

アキレウスに討ち取られたヘクトールの遺体の為に嘆願に向かう父の話。

アキレウスが、討ち取ったアマゾンの女王の亡骸を死姦する話。

最後のアマゾン女王については、アキレウスが彼女からの死後の報復を恐れるがあまりの行いだったのですが、それら全てに共通しているのが、ギリシア人は「生きている事」に並々ならぬ執着を持ち、「肉体を喪失する恐れや老いへの嫌忌」を深刻に嘆いていると言う事も伺えます。


これは古代のローマ人も同じで、彼等は戦死は恐れないけれど、顔を傷付けるのは非常に恐れていました。また、髭を生やすと言う事も嫌いました。

ローマ人と言わず、西洋の者達は一般的に顔を傷付けられるとか、日本人のヤクザみたいに平気で指を詰めたりする肉体そのものへの損傷を極度に恐れる傾向があります。

戦国時代に日本を訪れていた宣教師達は、日本人が身体や顔の傷を誇ったりする事を真剣に不思議に思っていたみたいです。


とにかく、後にスパルタの威信を大きく傷付けたレウクトラの戦いにおいても、スパルタ軍はまだ余力があったにも関わらず、戦いを継続するよりも戦死したスパルタ王の遺体回収を優先させて敗北を認めた程です。

また、これは完全に創作ですが、アキレウスが死んだ後の話として、「死者の王として君臨するよりも、何の取り柄も無い弱い者で良いから、生きた人間として現生に帰りたい」とアキレウスが語ったとされています。多分、これがギリシア人の一般的な考え方だったのでしょう。


カロカガディアとは、他人からの羨望を浴びる事。実のところはそれに尽きます。

アレクサンダー大王は、戦術的な能力は非常に高く、戦果としては人類の歴史上でも屈指の軍事指導者でした。眉目秀麗で、左右の虹彩が色違いの俗に言う”妖眼”の持ち主で、その存在感は圧倒的だったでしょう。

ただし、文芸の才能はなく、本当にアリストテレスの弟子だったのかと思う位に乱暴極まりない人物でした。

家系的にはヘラクレスの子孫と言う事でしたが、彼がやらかしたのは、超長い槍でギリシア人の重装歩兵を待ち受け、後ろから騎兵で追い込んで殺しまくると言う。

古代ギリシア人の血腥い大運動会的な戦争を完全に過去の世界に追いやってしまう”伝統破壊”を大規模に行い、数年の戦争の末に、過去数世紀で死んだギリシア人の総数を上回る血の雨を降らせる事で、ギリシア人達の思い上がりを完全に雲霧消散させてしまいました。

この様な経過で、ギリシア人達の求めたカロカガディアなる理想は忘れさられて行くのです。

合理的な戦争と言うのが、ロマンとは真逆に存在している事を知り、英雄的な人間が勇敢に戦列に挑めば、良くて串刺し、悪ければ切り刻まれた生ゴミと言う結果にしか終わらないと言う事実を叩きつけられた訳です。


さてさて、こう言う風に世相が変わって来ると、次には楽をしてお山の大将俺一人って感じの方が楽じゃないかと気が付く人達も出現して来ます。

特に後世のイタリアとかでは、マキャベリみたいな人が出て来る前から、合理的な権力の獲得方法に血道を上げる人達が続出しており、そこでは独裁的な権力者がそこかしこに割拠する有様となります。

独裁者と言うのは、元来は共和制ローマの評議員の上に立つ、緊急時の為の任期あり独裁官を指す言葉ディクタトルが語源でしたが、今時分の独裁者は大体ができたら世襲で権力を継承したいと望むタイプが主流になって来ています。

これは、本来的にはギリシアで台頭した僭主と言われる指導者と同じに思えます。


この僭主と言う代物は、言ってみれば統治している民に反乱を起こされたくないから、大体はまともな統治を心掛けて来た様です。一代目は・・・・。

この僭主と言うのは、後に英語にもそのまま取り入れられた概念です。ギリシア語では「タイラント」と呼ばれていました。日本語訳すれば、誰もが知っている”暴君”って奴ですよね。

そうなんです、タイラントは、一代目は大体がまともに統治しているんですが、二代目以降はその権威と君臨を誇示しないと統治できないんです。だから暴君となってしまう訳です。


現時点での独裁者と言われる者達は、大体が一代目の権力掌握の際から暴君と化してしまいます。何しろ、既存の権威とかは成り上がり者に権威を渡す理由すらありませんから。

ですから、カンボジアではシアヌーク殿下を追放した挙句に、ポルポトが”僕の考えた最強政治”を行って、今に至るも貧国であり、地雷だらけのディストピア寸前の国に成り下がってしまってます。


何故、彼等独裁者はそうなってしまうのでしょうか?

根本的な所では、権力が一人に集中し過ぎており、権力の走狗たち(ヤな言葉だね)が保身の為に正しい情報を伝えなくなる。

ここが第一段階ですね。敵を知り、己を知れば百戦百勝。では、敵も己も実際の姿がわからなくなれば?普通に混乱が始まりますね。

次に第二段階として、好き放題のツケ払いを誰かが求め始める時がやって来るのです。

ロシアの場合は、クリミアを占拠してからこの方、今よりも手緩いとは言え、経済制裁を受け続けて来ました。

お山の大将としては、国民を豊かにしてやれない状況でもあり、溜まった不平をどうにかしないといけない状況に陥ります。また、制裁を加える相手を敵として強く認識する様になります。

元来、プーチンとは、国民の不満を解消する事によって成り上がった人物です。強いロシアのイメージを体現する存在であり、いろいろあったとしても、頼れる”親方”として君臨していたのですから。

第三段階として、大体が軍事力に力を入れて権力基盤を築き、内外に睨みを利かせるのが独裁者の常です。内政に精を出す独裁者なんか、今の時代には居ませんから。そもそも、そんな人は独裁者目指しませんから。

何故って?軍事力って、生産性ゼロで、金喰い虫なんですよね。ほら、日本が経済的に復興したのは軍事力を削って、アメリカを番犬の代わりにしてたからでしょう?上手くやったもんだとある意味感心しますね。それは韓国も同じですが、韓国の場合は北の方に警戒すべき休戦状態の敵国があっても敢えて軍備を削りましたからね。ホント、度胸ありますよね♪

でもってですが、その金喰い虫の軍事力ですが、独裁者には常に欲求があります。勝利したいと言う欲求です。

カンボジアみたく、地域単位でも覇権を確立できそうにない絶望の立地の国の場合は、それらの軍事力で何をするかと言うと、まずは内部の不満層を粛清すると言う方向に向かった訳です。

遂にはポルポトは吊るされてしまい、シアヌーク殿下は生涯頑張って復興に尽力為さった訳です。

では、ロシアの場合はと言うと、伝説的な数の核兵器(実戦に向いているとは限らない)を備え、陸続きの国々を威圧するのに十分な陸軍兵力を備えています。

空軍も質的に優秀な機体(ただし、航続距離は短い)を備え、海軍も黒海の覇権位なら握って当然の充実度です。

そして、プーチン氏は、自分の老いを自覚する様になった。


ギリシア人同様に、カロカガディアを目指そうと、彼は心のどこかで思ってしまったのかも知れません。ギリシア人と同様に老いを憎み、最後の力を振り絞る決意を固めたのかも知れません。

かつては世界を二分した大勢力の成れの果て、その最後の残り火が、今も世界に不安定と危険をばら撒いているのです。

軍事力を積極的に使おう。それは合理的に見えます。特に強大な軍事力を持つサイドから見れば。

しかし、中東のサラディンを気取っていたサダム・フセインはどうなったでしょうか?

信玄公亡き後に、武田の領土を最大に拡張した勝頼公はどうなったでしょうか?

世界屈指の陸軍と、世界第二位の海軍を建設したヴィルヘルム皇帝はどうなったでしょうか?

上記の御三方は、その統治者としては性質的に大きく違いますが、全てに共通するのは「実際に軍事力を最大限に使おう」と決意した者達だったと言う事です。

そして、戦争と言うのは「残念賞」や「努力賞」がないのです。

行き付く先は破滅かも知れない。そんな行動の結果に対する想像力の無い者が、程々で終わらせよう、生殺与奪の決定権は俺達にあるんだから。と甘い未来を信じ、自分勝手な最善の決着への到達を目論んだところで、相手がその思惑に乗ってくれるとは限りません。


そうでしょう?我々日本人ならば、太平洋戦争の結果を良く知っている筈ですよね?

トインビーの言う通り。

滅んでしまう民族と言うのは①歴史を忘れた民族②拝金唯物の価値観に嵌り込んでしまった民族③理想を失ってしまった民族と言う共通点があるそうです。

名言だと思いますね。そして、大変な目に遭う民族の共通点としては、過度に人民が政治に無関心、あるいは政治に関与できない民族であり、他国の歴史を他山の石とできない楽観的な方々であると言う事でしょうかね。

ロシア人は、日本人の先の大戦での敗北の経緯と、自分達がどんな立ち位置で戦争をしたのかを思い出してみれば良かったのですよ。

まあ、それもできないのかな?日露戦争での日本の勝因として、欧米が挙げていたのが、「日本人は一兵卒でも文字が読めて、地図も読める。理解力が高いので、各師団から各分隊に至るまで自分が何をすれば良いのかを弁えていたから。ロシア人は文盲で、作戦についての理解ができず、目前の戦い以上の事を理解できていなかったため」と言う事でした。

所詮、人と言うのは努力する際には、努力の方向を確信できないとどれ程の力も発揮できないと言う事でしょうね。

死に物狂いで戦うにせよ、そのゴールが見えないのでは迷走しているだけと言う事になるでしょうから。その点、ウクライナ国民はそのゴールを明確に意識している様です。

その差は大きいと思います。


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