第7話 収束成らず
とても遅れてしまいました。
すみません!( ´ཫ` )
「レイシャー!」
笑顔を咲かせながら走り寄ってくるミィシャ。ふぅ、何とかなったな。
コファ村に現れた角鳥は全部で三体。まだいるかもしれないが今はそんな気配は感じないから一先ず安心だ。
「あ、ミィシャ。あの二人は…大丈夫そうだな」
俺が言うよりも先にミィシャがコクりと頷くと同時に村の壊れた壁面から二人の影が姿を現す。おっさんの方も見た感じ俺が助けなくても大丈夫っぽいな。
俺は無事終わったと声を張り上げ二人は少し重たげな雰囲気も醸し出しながら歩いてくる。まぁ罪悪感があるんだろう。
「こ、この度は助けていただきありがとうございました!!」
「いいですよ。だけど何でまたこの村に?危ないって分かってましたよね?」
おっさんは顔を俯かせ口をもごつかせる。返す言葉が無いって感じだ。そりゃそうか。
隣には黙って顔を曇らせている少女。大方予想はついている。
恐らく村の状況を確認しにきた。壊滅状態の村を散策、そして運悪く角鳥に出くわし襲われた。こんな感じかな。
しかし根本を辿ればギルドが早くに動かなかったのも悪いし、普段は森にいるはずの角鳥が出現した例外も運が悪かったとしか言えない。
このまま問い続けるのは流石に野暮だ。
俺は頭を掻き溜息を吐きながら口を開ける。
「次からはこんな危険なことしないで下さいね」
「次が起きちゃダメでしょレイシャ」
それもそうか。取り敢えず怪我だけで済んで良かった。最悪が招く前に助けられたのも奇跡としか言い様がない。
しかし思っていた予定より早く片付いたしこのまま甲羅蟻を倒しにアルダ村まで行きたいがどうしたものか。
この親子を見つけてしまった以上2人だけで避難している村に返す訳にも行かない。途中でモンスターに襲われたなんて洒落にならないし。
「えぇっと…避難している村はどこですか?そこまではついてくので」
「ここから走れば十数分の”カサ村”という場所です」
走れば十数分?割と近くないか?
その距離ならモンスター、角鳥なら飛んで視認できる距離だろう。十分危ないと思うんだけど。
ミィシャの顔を横目に見れば俺と同じ考えか、顔を曇らせている。
「…急ぐか」
「そうだね。もしかしたらがあるかもしれないし」
顔を見合わせ頷き、親子でもついて来れるペースでなるべく早く走った。
村までの十数分。
近づくにつれ不安は深まり膨れ上がる。
妙にざわつく胸の内。近辺の村で起こったモンスター発生。定住するようなモンスターはそうそういない。だとすれば…
「え!?なに!?」
考えに耽っている最中。前方、カサ村村盛大な爆発音が轟いた。
村の人間で魔法を使える人がいるのか?…違う。今はそんなことどうでもいい。考えるべきなのはもしいたとしてその人が魔法を使わざるを得ない状況に陥ってるということだ。
俺は急いでカサ村へ走り若干倒れかかっている入口を潜る。
そしてあり得て欲しくない光景、まさしく悪夢のような出来事が眼前に映し出された。
「おいおい冗談だろ…ふざけろよ…」
「ギシャァァ!!!!」
威嚇するが如く。鋭利な爪を、牙を、恐怖の巨躯を、満ち満ちた敵意を向けて俺の方へと向く凡そ十数匹の甲羅蟻。それに立ち向かう数人の冒険者。
事態は既に悪化の一途を辿っていた。