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タローの初めての戦闘

太郎が土下座…、つまり両手を大地に触れた瞬間。


―ゴッ!


太郎の目前にある地面が消失した。


『ヒギャアアアァァァァー!』

『ギヒイイイィィィー!』


一拍遅れてゴブリン共の悲鳴が、太郎のいる位置よりずっと下の方へ、ドップラー効果をまといながら"落ちて"いった。

そのあと『ドチャ!』『ゴキャ!』だの、あまり気持ちのいいとはいえない音が、"底"から幾つか聞こえてきた。


「…上手くいった…かな?」


―テッテレー、テーテーテッテレー!

突然、脳内にコンピュータ音でのファンファーレが流れ出した。

と同時に、妙にアニメ声なアナウンスも流れてきた。


〈修多羅 太郎は新しいジョブ【魔術師】を修得した!〉

HP 30(+1)→32(+1)

MP 15→20


〈修多羅 太郎のジョブ【魔術師】のレベルが上がった!〉

【魔術師】Lv 1→3

HP 32(+1)→36(+1)

MP 20→30


〈修多羅 太郎の存在レベルが上がった!〉

修多羅 太郎 Lv 2→3

HP 36(+1)→46(+1)

MP 30→40


「おおっ!

ゴブリンを倒したんで、レベルアップしたよっ!

しかも新しいジョブまでゲットしたみたいだし!」

太郎、小躍りして喜ぶ。

が、自分のいる場所をかえりみて慌てて静かになった。


「ひやぁー!あわわ…。」

太郎が座り込んでいる周囲2mより外は、深さ100m以上はある谷底になっていたのである。

谷間の幅も数10mはあるだろうか。


―つまり太郎がいる2mを中心に残した、ドーナツ状の局地的な峡谷が出来ていたのだ!

…当然、太郎のいる場所は、たった直径2m幅で高さが100mのおっそろしく細長い円柱状の土地となっていた。


「こわっ!なにこれ、こわっ!

ひぃ~!

は、はやく埋めなくちゃ!」

気分は小人になって、ジェ○カの頂上に立っている感じである。

高所恐怖症な人なら、気を失っていたかもしれない。


「え、えーと、も、戻れっ!」


―ッズウゥン!


軽い揺れと共に、ドーナツ状の峡谷が一瞬にして元に戻った。


「ヤ、ヤバかった…。」

その場にへたりこむ太郎。


「でも、これで【アイテムボックス】が、攻撃に使えるのが判ったよ…。」


そう太郎がしたのは、異次元収納の能力をもつ物語の主人公がする、お馴染みの攻撃方法、―大地の一部を収納し、落とし穴を作る方法であった。


異世界転移モノが大好物なだけあって、すぐにこんな方法が出てくる太郎である。

異世界転移猛者である。


…ただ数匹のゴブリンに襲われただけで、深さ100m以上もの渓谷を作っちゃったのはビビリ過ぎではないだろうか。

まあ命を狙われることなど滅多に無い、平和ぼけな典型的ニホン人なら仕方無いかもしれない。


「…兎に角、村なり町を目指そう!

そんでもって冒険者ギルドで冒険者登録だな!」

異世界転移猛者は、何からなんでも知っているようだ。



~~~~~~~~~~~~

「はああ…、なかなか着かないなあ。

もしかして、方向間違えたかな?」


すっかり独り言が多くなってしまった太郎。

一先(ひとま)ず目印になるのは、はるかむこうに見える山脈だけだったので、そっちを目指して歩いていた。


しかし歩けど歩けど、なだらかな起伏がある草原ばかり。

すでに時々休みをいれながらとはいえ、かなりの時間を歩き通している。


幸いにも生えていた草は背丈がどんどん低くなり、今は膝下ぐらいしかなく歩き易い。

またお陰で草むらから、いきなりモンスターが飛び出てくる危険は無くなったのだが…。


「おっ!またゴブリンか!」


まあモンスターからも太郎は丸見えな訳で…、

『ヒャッハー!マヌケソウナ、ニンゲン、1ピキごぶっ!』

『マヌケダ、ブキ、モッテナイごぶ!』

『マヌケズラノ、ニンゲン、ウマイラシイごぶ!』


「マヌケ、マヌケとうるさいわっ!

【アイテムボックス】っ!」

―ゴッ!

『『『フギャァァァー!』』』


…とこの様にエンカウントもけっこうあり、ゴブリンばかりでこれで8回目だ。


【魔術師】レベルも上がりこれでLv 6となり、それに併せて存在レベルも6となった。

どうやら職業レベルの内の、一番高レベル=存在レベルになるようだ。


修多羅 太郎 Lv 6

人族/男/19才

HP 82(+1)

MP 105

魔術師 Lv 6

町人 Lv 2

料理人 Lv 2

学者 Lv 1


ちなみにレベルアップの音は、某国民的RPGのものである。

ドラゴン~な方ではなく、~ファンタジーな方の戦闘終了時のBGMが使われている。

誰だか知らんが、旧ス○ェア派なヤツが設定したのだろう。

いや、こんなことをするのは、あの駄女神しかいないか。


太郎の【アイテムボックス】による"瞬間落とし穴"もだんだんと馴れてきてゴブリンの周り数mだけを切り取り、20m程の深さでちょうど即死の高さになると判ってきている。

最初のビビって大穴を作った時より、随分と進歩したものである。


そして倒したゴブリンを回収する方法も考えだした。


一旦、穴を元に戻して、ゴブリンの死体ごと埋めてしまう。

それからもう一度、ゴブリンがいた辺りの地面を収納するのだ。


そしてインベントリ内で地面部分とそれ以外に"分別"して、地面部分だけを元に戻すと、インベントリにはゴブリンの死体だけが残るという訳だ!


ちなみにゴブリンの死体なんぞどうするのかというと、『冒険者ギルドに渡せば、報酬をくれる』んだそうである。

異世界転移猛者である太郎の中では、どうやらそれは当然のことのようだ。


「…とりあえず、休もう。

しっかし腹減ったなー。

…あー、もう4時過ぎかー、腹も減るはずだよ…。」

太郎、何度目かの休憩に、近くの座り良さげな岩に腰を下ろし、左腕にある腕時計を見る。


ちなみにデジタルではなく、手巻きのアナログ時計である。

死んだじーちゃんの形見にもらったもので、太郎のお気に入りだ。


初めての異世界、モンスターの襲撃といろいろあって、太郎は時間が随分経った事に今気付いたようだ。

輪っか付の太陽?は中天をとっくに過ぎ、既に夕刻の少し手前ぐらいに傾き始めていた。


「あ、もうすぐ【タローの掲示板】が、使えるようになる…。」

スキルの再使用まで、あと【00:15:58】となっていた。


「ちょうどいい、その間にカロリー補給をしておこっと!」

そう言いながらインベントリ内にあるエコバックの中から、板チョコをひとつ取り出す。

勉強時の糖分補給用にと、買っておいたものだ。


『スーパーひろや』で買っていたものですぐ口に出来そうなのは、あと食パンとイチゴミルク味の飴、それにコーラ(1.5㍑)ぐらいなのだ。

袋のインスタントラーメンなんかも買っていたりしているが、お湯を沸かす方法がない。

というか、川なり水のある場所にも、たどり着けていない。


まあ最悪、調味料を舐めるなんかすれば、飢えはしのげるかもしれないが、楽天的な太郎はそこまでなる前にどうにかなるだろうと思っている。


ただ、どうにかなるだろうと楽天的に考えていて、太郎は大学受験に失敗している。

世の中は、そう甘くないのだ。

ましてや異世界は、地球よりヤバげだと思うのだがどうだろうか。


さて、そうこうしている内に、【タローの掲示板】が使用可能となった。

「あの駄女神め。

とりあえず、近くの村なりを教えろっつーの!」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここは混沌の女神によって、むりやり地球のニホンという異世界から連れてこられたタロー(19才童貞)が、いろんなことをボヤいたり、呟いたりする掲示板です。


異世界でひとり頑張るタローに、ぜひエールをお願いします!


今までの話を見たい人は、こっちを触ってね!

→[タローの過去ログ]


あ、個人情報がバレないように、くれぐれも自分の正体が判るような情報は書き込まないようにね!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


1 タロー:

おーい、駄女神さんや。

ちょっと教えてよ!


……

「…あれ?

返事が無い。」

太郎が掲示板にそう書き込んで、5分が経とうとしていた。

思った通り混沌の女神様は、とあるヘビさんのミッションにハマってらっしゃるようだ。


「オイオイ、頼むよでてくれよー!」


―しかしそこで意外な反応があった。



2 ゲストさん:

む?

一体何なのだ、これは?




―次回!

前回で出てくると言って、これだけかよっ!っという新しい掲示板の住人との会話が始まる!

新しい住人は、一体、何者なのか?!

数年前からこんなのを書いてます。

生まれて初めて投稿した作品です。

よかったら、こちらも見てもらえたら嬉しいです。


『スマホのカード使いに転生しました!』

http://ncode.syosetu.com/n5440ca/


いつも読んで頂いてありがとうございます!


もし面白いと思っていただけたら、下の『勝手にランキング』をポチとお願いいたします!

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