タローと女神のコテハン
20 タロー:
ちょおおおっと待てええいっ!
え、なに?
つまりあんたは、日本でゲーム三昧な生活をしたいってだけで、俺の身体を乗っ取ったって訳ですかっ?
太郎、女神様をあんた呼ばわりである。
まあこんな理由で異世界に連れて来られれば、そんな相手に敬意をはらう必要も無いだろう。
あとやっぱり、ろくでもないオチだった。
21 ゲストさん:
うん、まあそんな感じだよ!
22 タロー:
さらっと肯定された!
23 ゲストさん:
あ、でもタローくんの身体を乗っ取ったりはしてないからね!
タローくんの存在そのものを、わたしにすり替えただけなんだよ!
なにが悲しくて、野郎の身体で生活をしなきゃならないのさ?!
ちなみにタローくんの人生になり替わって、わたしは赤毛碧眼のナイスバデーな美少女、修多羅螢緒子ちゃん(19才処女)って設定でやってます!ヨロシクねっ!
とんでもないキラキラネーム?である。
あと太郎の両親は、二人とも純粋な日本人である。
その二人から赤毛碧眼の娘が生まれる確率はかなり低いように思われるのだが、どうせ神様パワーでうやむやにしているのだろう。
そうでなければ、そんな子が生まれた時点で修羅場である。
24 タロー:
で、でも仮にもあんただって神様なんだから、別にこんなことしなくてもゲームくらいどうとでも遊べるでしょうに!
25 ゲストさん:
いやーそれがさあ、タローくんとこの神様達って、けっこうケチ…じゃない、お堅い神でね!
他世界からのニンゲンが増える事に、とっーてもキビシイ神なんだよ!
だから今までは、誰かに憑依してゲームをしてたんだけどさー。
やっぱりそれじゃあ不便じゃない?
だから一人減らして、そこにわたしが割り込めば帳尻が合うって考えついたんだよ!
これって、いい考えでしょっ?!
26 タロー:
いや、それを俺に同意しろと…?
27 ゲストさん:
それにさあ、ニホンの世界から弾き飛ばしたタローくんなんか、そのまま放置しておいても良かったんだよ?
でも流石に可哀想かなーって思ったから、こっちの世界に連れて来てあげたんだよ!
感謝されてもいいくらいだと思うんだけど?
28 タロー:
すげー!ある意味すげー!
ここまで自己中なひと、初めてみたわっ!
―なんというか典型的な駄女神パターンだ、これ…。
太郎、声には出さずに、心の中で呟く。
流石にそれは言っちゃヤベーかなーと思ったようだ。
どうやら異世界に来れたのは、この駄女神様の気紛れのようだ。
気分を害されて、彼女の言っている『放置』の状態にされたら一体どうなるのか、怖くて聞けない太郎であった。
だが次に出てきた女神のコメントを見て、目を剥いてしまう。
「―ぶっ?!」
29 駄女神:
ねー?『自己中』って、どういう意味…って、んんー?
だ…め…?駄女神って、何よっー?!
タローくんに、変な名前付けられたっ!
30 タロー:
えええっ?!俺っすか?
31 駄女神:
そうだよっ!
この掲示板に来たひとの通称は、タローくんが命名してもらうことになってるんだよ!
32 タロー:
ええーコテハンって自分達でつけるモンで、俺がつけるモンじゃあないでしょーに?!
33 駄女神:
え?…あー、やっぱり普通はそうなんだー。
いや正直言うと、わたし、この『掲示板』とか『チャット』?、『えすえぬえす』とかってあんまりよく解ってないんだよねー!
34 タロー:
ええー…
35 駄女神:
あはは!なんかこんなスキルがあったら面白そうかなーと思ったから、造ってみたんだよ!
で、ちょうどその実験だ…、じゃない最適な人材が目の前に…
36 タロー:
それが俺かいっ!
あと実験台って、言おうとしたんですよねええっ?!
つーか、あんたが造ったんかっ!
すっかりツッコミキャラになってしまった太郎である。
いや、この駄女神様のツッコミ所が満載過ぎるせいかもしれないが。
もはや過積載で、おまわりさんを呼ばないといけないレベルである。
あと『駄女神』については、上手いことスルー出来たようである。
別に太郎は、意識してやった訳ではないのだが。
37 駄女神:
あははー!やっぱりタローくんって、面白いよ!
でもまあ、このコテハン?って言うんだっけ?
『駄女神』ってのも良いかもしれないねっ!
…どうやらスルーは出来ていなかったようだ。
38 タロー:
え?俺が言うのもなんだけど、これ酷くね?
自分のハンドルネームが、こんなのでいいんすか?
39 駄女神:
んんー、どっちにしたって一度付けちゃったら、わたしでも変えられないように設定しちゃったしねー。
…それに言っちゃあなんだけど、この混沌の女神様が、こんな風に呼ばれるのも面白いと思わない?
40 タロー:
い、いやーどうなんでしょ…。
41 駄女神:
なにしろわたしのモットーは、『面白いは正義!』だからね!
それが例え自分の身に降りかかるものでも、面白ければモ…モ、モータイマンだよ!
42 タロー:
たぶんそれ、モーマンタイねっ!
無理して覚えたての言葉、使わなくていいですから!
43 駄女神:
むむー、わたしもまだまだ修行が足らないなー。
…と、いう訳でそろそろニホンでの修行に戻ろーかと思います!
じゃあね
44 タロー:
ちょちょちょっと待ってって!
もう少し色々と教えて下さいよ…って考えてみたら、ほとんど何も教えてもらってねーじゃん!
45 駄女神:
えー?もう邪魔くさいよー。
46 タロー:
ホント、自由なひとだなっ!
47 駄女神
いやいや、本当はわたしも忙しくてさあ。
えーと、これからス○ークってひとと、極秘潜入ミッションに挑まないといけないんだよ!
48 タロー:
それゲームですよねえっ!
49 駄女神:
チキュウのカガクっていうのも凄いねー!
魔法でもないのに、あんな紙の箱にいるだけで、敵から認識阻害出来るなんてさ!
50 タロー:
いやだからそれゲームですからっ!
現実ではないですからねっ?!
それよか、もうちょっとアドバイスをお願いしますよー!
51 駄女神:
まあまあ、そんなに不安にならなくてもいいよ!
なにせ、わたしが数々の『らのべ』を読んで、選りすぐりのスキルを与えてあるんだからね!
52 タロー:
ま、まあ、確かにそんな感じですが…。
53 駄女神:
でしょっ?!
タローくんも、こういうのに知識があるみたいだから大丈夫だよ!
…うん、星の巡りさえ良ければ、なんとかなるよ?
54 タロー:
ちょっ!
それって単に、運が良ければってことと同じじゃね?!
しかもなぜ最後がハテナマークっ?!
55 駄女神:
うん、まあそういうことでw
じゃあまたねっ!
フォー○と共にあらんことをー!
「おおおいっー!」
なぜが某銀河系の自由と正義の守護者が使う挨拶で去っていく女神様。
混沌の女神が言ってもいいのか、微妙なところである。
ジェ○イか。
しばらくすると画面にメッセージが現れた。
[スキル【タローの掲示板】への参加者・閲覧者がいなくなり、5分が経過しました。
【タローの掲示板】を終了いたします。]
メッセージと共に画面が閉じてゆき、元のステータス画面に戻った。
戻ると共に、太郎の頬に一陣の風が通り過ぎる。
「…俺、こんなので生きていけんのかな…。」
太郎、どうやらヤットコサ、危機感を持ち始めたようである。
―次回!
太郎の異世界生活が、やっと始まる!
太郎の星の巡りは、果して恵まれているのかっ?!
数年前からこんなのを書いてます。
生まれて初めて投稿した作品です。
よかったら、こちらも見てもらえたら嬉しいです。
『スマホのカード使いに転生しました!』
http://ncode.syosetu.com/n5440ca/
いつも読んで頂いてありがとうございます!
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