太郎にお姉さんのアピール
すいません、お待たせしました…。
「ふおおおぉぉ…。」
「いやー、これはなかなか絶景ですねぇー。」
「ふおおおぉぉ…。」
「でも今回は、本当にいい買い物をしましたよー。
スタラさんもそう思いますよね!」
「ふおおおぉぉ…。」
ちなみに『ふおー』しか言っていないのは太郎だ。
もう一人はクルト。
太郎、どうやら言葉を、どっかその辺の草むらに放り投げてしまったらしい。
だが太郎が、そうなってしまうのも仕方がないだろう。
なぜなら太郎達がいる10mほど向こうに、パラダイスが存在していたからだ。
そう、パラダイスである。
大事な事だから、2回言っておく。
「きゃぁー!つめたーい!」
「ああ、やっとさっぱりしたよ!」
―そこでは今回の一行のうち、女性陣が川で水浴びをしていた。
つまり奴隷のお姉さん達、三人である。
そのまま水浴びをすれば、服が濡れてしまう。
濡れたままの服でいれば、昼はともかく、夜になると割と涼しい今は風邪をひいてしまう。
もちろん奴隷に替えの服など無い。
―という見事な三段論法で皆、素っ裸である。
いや、奴隷の首輪と手枷は、つけたままであった。
首輪と手枷がつけられた女性が、川縁で水浴びをする図。
とんでもなく凄まじい絵面である。
…ことの起こりは、太郎が【言語理解】というレアスキル持ちというのを、お間抜けにもバラしちゃったその翌日。
昨晩はクルトから根掘り葉掘り突っ込まれて、【言語理解】のレベルを危うくマスターレベルと答えかけて、皆んなを驚かせてしまう。
皆んなの反応を見て、『やっべー!』となんとかシドロモドロにレベル3と言い直したまでは良いが、レベル3でもびっくりされてしまった。
レベル3の【言語理解】持ちなんぞ、大きな都市に一人いるかどうかレベルらしい。
ちなみにレベル3は、魔族の他に妖精族や獣族の言語まで使いこなせて、人族なら国の外交官への道が開かれてるレベルとのこと。
太郎、やはり迂闊な男であった。
しかもクルトの質問攻めに、おもわずポロっと【アイテムボックス】持ちまでバラしてしまう始末。
『い、いやー!といってもレベル1なんすけどねっ!
う、うん、たったのレベル1っす!』
とこれまた言い繕ってるが、せっかくりゅーさんが内緒にしておこうという目論見は、これでご破算になってしまった。
あと【アイテムボックス】、レベル1でも千人に一人位しか持っていないレアスキルらしく、商人なら垂涎の的なスキルなんだそうである。
クルトが所属している商会の会長がレベル4の所有者で、近隣諸国から引き手数多な人らしい。
ちなみに、後でテヘペロな感じでバレた事を太郎から聞いたりゅーさん、おもわず頭を抱えたあとorzっていた。
実はりゅーさん、今まで強力な敵と数えきれない程戦ってきたが、膝を屈する事は一度も無かった。
それを簡単にひざまづかせるとは、太郎、ある意味恐ろしい男である。
―閑話休題
さて暢気にも、レアスキルを二つも持っている事を(レベルは誤魔化せたとはいえ、)バラしてしまった太郎。
それを聞いていて、(太郎に分からないように)目を輝かしたのが、魔族の双子を除いた三人の女性陣である。
しかも目の輝かし方が、"キラーン!"ではなく"ギラリ!"のレベルでである。
太郎、我知らず背筋がサムくなっていた。
ダブルレアスキル持ちの魔法使い、オマケに超強いゴーレムの所有者というのは、どうやらかなり魅力的な存在であるようだ。
太郎、異世界にやって来て今日は二日目。
二日目にしてモテ期到来であった。
だがそのモテに、太郎の容姿や性格は関係がない。
…いや、性格というなら、世間知らずな所や童貞丸出しの所は、彼女達にはポイントが高いようだった。
おもに奴隷の主として、"チョロい"という点で。
―上手いこと骨抜きにしてしまえば、かなり楽な奴隷生活が送れるかもしれない…。
それどころか自分にメロメロにさせて、奴隷の身分から解放させるのも容易いかも…。
ジュルリ…。
舌なめずりをする女性陣。
太郎、異世界にやって来て、二日目から超肉食女子に狙われていた。
よく昨晩は、夜這いされなかったもんである。
ある意味羨まし過ぎる状況だ。
そんな時に金髪の爆乳お姉さんが、クルトに行水をせがんできたのだ。
『旦那ぁ、街に入る前に、少しは身綺麗にしておきたいんだよぉ。』とのこと。
ちょうど一行は、川縁を進んでいた所であった。
川は緩やかな流れで浅く、見渡しも良くモンスターに盗賊や襲われる恐れも少い。
しかもこちらには、りゅーさんや魔法使いの太郎がいる。
問題は無かった。
いや、彼女達が身体を洗っているのが、全方位から丸見えなのは大問題なのだと思うのだが。
…やはり問題は無かった。
彼女達の奴隷服、両肩がボタン留めになっていたらしく、そこを外すとあとはボソンと落ちるだけだった。
そんでもって太郎の期待通り、彼女達はその下に何にも着けていなかった。
―しかも太郎の目の前で脱いでいる。
―しかも全く恥じらいもなく。
太郎、異世界にやって来て二日目で、女性の裸体をリアルで目にしてしまった。
もちろん生まれて19年、初めての事である。
『ふおおおぉぉー!』
その時から太郎はこの調子である。
童貞19才の男子では、無理も無い事かもしれない…。
「スタラさまぁー!
スタラさまも、一緒にどうですかー?」
「お背中流しますぅー!」
「気持ちいいですよぅー?」
三人の女性陣、太郎に向かって手枷のついた両腕を元気良く振って、呼び込もうとしている。
両腕を上げて振るんだから、バルンバルン!・ブルンブルン!・プルンプルン!と大きくアレが三者三様に激しく揺れる。
アレとは、もちろんアレの事である。
これ以上は言わさないでもらいたい。
「ふおお……って、お、おれもっ?!」
太郎、お姉さん方に呼ばれてるのに、暫く気付かなかったようだ。
主に、バルンバルンな動きを目で追っていたせいで。
「い、いい、いやー、そ、そそんな、お、女の人がか、身体を洗ってる所に、男の俺が行くなんて!
そんなの…ね、ねえっ?!」
太郎、どもりまくりながら、クルトに助けを求める。
だがもちろん本心は、彼女達の方へ『ふぅ~じ○ちゃ~ん!』ばりに飛んで行きたいのだ。
しかし自分を紳士に見せたいムッツリな太郎は、あくまで興味無さそうなスタンスをとるつもりでいるようだ。
…あれだけ奇声をあげながらガン見しておいて(今もチラチラ見ている)、今さらだと思うのだが、太郎はバレてないと思っているようだ。
太郎、ある意味、ツラの皮がブ厚い男である。
「はっはっはっ!
スタラさん、彼女達がそう言ってるんですし、いいんじゃないんですか?」
「マ、マジですかっ?!」
「…まじ?」
「あ、えーと"本当ですか"って意味です。」
「ああ、そうですか。
ええ、彼女達、スタラさんに自分を買ってもらいたいんで、売り込んでいるですよ。」
「ええっ?
お、俺なんかにですかあっ?!」
「あ…やっぱり気付いて無かったんだ…。」
クルト、太郎のボケっぷりにおもわず苦笑する。
「スタラさんが得る財力なら、彼女達の一人分位は充分に買えるでしょうからねー。
三人とも必死なんだと思いますよ。」
「マ、マジですか…。」
実は太郎、街に着けば、ちょっとした金持ちになるのが、ほぼ確定している。
というのも、太郎(というか主にりゅーさん)が倒した十数人の盗賊、こういったお尋ね者は賞金首が掛かっているのが普通だ。
ましてや今回は、盗賊団を一つ丸々壊滅させたのだ。
一人一人は雑魚だったかもしれないが、この人数ならそれなりの報奨金になるだろう。
オマケに盗賊共が所有していたものは、全て倒した者のものになる。
彼らの武器や鎧、それに結構な額になる宝石類と魔石を持っていた。
そして最後に、捕らえたリーダー格の男をメインとする、盗賊らの奴隷売却益である。
街まで連れて行ってもらい、緒手続きを代行してもらう事で、クルトに得た金額の二割を渡す約束になっている。
それでも最低、半年は遊んで暮らせる額にはなるだろうとクルト。
ウハウハである。
太郎、おもわず『また盗賊襲ってきてくれねーかな?』と、不謹慎な事を考えてしまっていたほどだ。
「じ、じじゃあ、ままあ、俺も汗かいちゃったしなっ!
ち、ちちちょっと水浴びしちゃおっかなっ!
うん、汗臭いと、皆んなに迷惑かけちゃうしなっ!」
太郎、ムッツリにもまだ言い訳っぽい事を言っている。
だがそんな太郎に、冷ややかな視線を送るものがいた。
「いやらしい…。」
双子のもう一人を守るように後ろに庇っている、魔族の少女である。
人族の言葉は解らなくても、このシチュエーションと伸びきった太郎の鼻の下をみれば一目瞭然だっただろう。
「あ…。」
太郎、この娘の好感度は、最低まで下がりきったようである。
―次回!
下がりきった太郎の好感度を、上げるチャンスは来るのか?
また肉食お姉さん達の、エロサービスはまだ続くのか?
個人的には続いて欲しい!
数年前からこんなのを書いてます。
生まれて初めて投稿した作品です。
よかったら、こちらも見てもらえたら嬉しいです。
『スマホのカード使いに転生しました!』
http://ncode.syosetu.com/n5440ca/
いつも読んで頂いてありがとうございます!
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