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太郎と魔族の少女

おまたせ致しました…。


「魔族…。」


頭に(つの)を有し、紅い瞳をしたこの世界に二番目にやって来た旧い種族。

数は少ないが強力な魔力と生命力を持ち、人族とは仲が悪いと太郎は聞いている。


「ええ、辺境の村で"仕入れ"たんですが、村近くで捕まえたんだそうでしてねー。」

「え…?捕まえた?」


太郎からはその2人は、ぼろ裂のようなものを頭からすっぽり被っているので、男女の区別さえ判らない。


「そうなんですよ!

どうやら腹を空かせて行き倒れていた所を、村の狩人が見付けたようでしてね。

たまたま立ち寄った時に、運良く買い入れる事ができたんですよ!

いやーこんな幸運、なかなか無いですよ!」


興奮して喋るクルト。

それに対して、人をモノを扱うように話す事に慣れず、ヒキぎみの太郎。


「あれ?

で、でも魔族の人達って、人族の敵みたいな感じなんですよね?

そんな人を…、えっと、買う人なんかいたりするんですか?」

「ああ、建前はそうですねー。

保守的な方は、やっぱり眉をひそめるでしょうしねー。

…でも魔力も力も強い魔族は、護衛としてひそかに人気があるんですよ!

特に貴族の方々なんかにね!」


クルトは終止、上機嫌だ。

どうやら魔族は、高額で取引されるもののようだ。

「まあまだ年若い女なので護衛としてはどうかと思いますが、なかなか二人とも見目よいのですよ!

…それにですねー、クフフ…!」


クルト、ここでひと呼吸おいてニンマリする。

『やー、ちょっと秘密なんだけどなー!

でも教えてあげてもいいっかなー?』

みたいなノリである。

なかなかウザい。


太郎も軽く『ウゼエ…』と思ったりしたが、クルトはこの世界に来て初めて会った人間で、なおかつ色々と便宜を計ってくれると言ってくれている人なのだ。

太郎は、多少のウザさなら我慢できる子であった。


太郎がノッてきたので、クルトも『それほど知りたいなら、仕方ありませんねー!』な雰囲気をバリバリ出しながら答えてくれた。

クルト、やはりウザい男である。


「あんまりおおっぴらにしたくないんですけど、命の恩人であるスタラさんだからお教えしちゃいましょう!

…でも誰にも言わないで下さいね!

実はですねー!

彼女らはどうやら双子みたいなんですよー!」

「双子ですか…。」

「そうなんです!

僕…いや私も何人か魔族の奴隷は、見たことはあるんですけどね!

でも双子の魔族なんか初めてですよ!

クフフ!…それをあの村の人達は、二人で10ゴルドで良いって言うんですよ?

いやー!本当に良い買い物でしたよ!

これで師匠にも、一人前って言えるってモンです!」


フンス!と鼻を広げてドヤ顔のクルト。


ただ太郎の助けがなければ、今頃、身ぐるみ剥がされて野晒しの死体になっていたかもしれないのに、一人前と主張するのはどうか。

太郎も心の中ではツッコミをいれていたが、それより別にクルトの言葉に引っ掛かるものがあった。


「あれ?

双子"みたい"って言ってましたけど、確かめてないんですか?」

その質問に、ばつの悪そうな顔をするクルト。

「…あー、ぼ…私、魔族の言葉は、話せないんですよー。

彼女達を捕まえた村の人達も、勿論、誰も話せなかったですし…。

あっ!

それでも証拠はあるんですよ?

魔族って、頭の角が一人一人違うんです。

で、彼女達は容姿もそっくりですけど、なによりその角も全く同じなんですよ!」


太郎、『へえ…。』と曖昧な相槌をうつ。

「うちの支局にだって魔族語を話せるのはいないんで、これからの事を考えるとちょっと困ってはいるんですよー。

意思疏通もままならないんで…。」


『名前もまだ分かんないですよねー』と呟くクルトに驚く。

しかしそこで太郎は気付いた。


―あれ?俺、魔族の言葉解んじゃね?

あらゆる言語が解り、言葉が通じることが出来る、自分の【言語理解】Lv Master!をすっかり忘れていたようである。

やはり太郎は太郎であった。


思い立ったら吉日、太郎、さっそく隅に隠れるようにいる魔族の二人に近寄ってみる。


太郎が近寄ると、二人は警戒して少しでも太郎から遠ざかろうとする。

―微妙に傷つくなー。

だが見も知らない男が近寄ってくれば当然かと思い、兎に角、声をかけてみる。


「オレノ言葉、解リマースカ?」

太郎、片言の日本語しか喋れない、外国人の様な口調である。

魔族の言葉が難しい訳ではない。

単に通じるか不安になって、緊張していただけであった。


やはり基本な所はヘタレな太郎であった。


「あなた、魔族の言葉が解るのっ?!」

どうやら太郎のヘタレっぷりには、構わないでくれたようだ。

二人内の一人が、驚いたように太郎の言葉に反応してくれた。


だが彼女の言葉に、太郎はすぐ答えることが出来なかった。

「オウ…、マイガー…。」

太郎、本当に外国人になってしまったようである。違う。


その魔族の子が、とんでもなく美少女だったからである。


―うっわっー!なんつー美少女!

"東欧美少女写真集"なんかにでたら、間違いなく売れまくるな!


太郎の感想である。

"東欧美少女写真集"なんて思ったのは、顔立ちが欧米人風のいわゆる外人さん顔だったからだ。

あと太郎の(元いた)部屋のベット下に、そんな名前の本があったような、無いような。


ボロ裂のフードからのぞく魔族の少女の顔は泥や埃で汚れているとはいえ、雪の様に白い肌に魔族特有の紅い瞳をしていた。

そして顔の横からこぼれ落ちる髪は、本物の貴金属みたいなシルバーブロンド。


掛け値なしの美少女である。

太郎がフリーズしてしまうのも、無理もないだろう。


「―あの、もしー?

…やっぱり話せないのかしら?

私の言葉、解るのー?」

「はっ!うおっ!

すっげー美少女だったから、固まっちゃってたよ!

―解る、解るよっ!言葉解りますっ!

イエス、アイキャン!」


手をヒラヒラ目前でさせられて、ヤットコサ我に返ることが出来た太郎。

慌てて返事を返すが本音を駄々漏らし、なおかつどこぞの大統領モドキの英語まで入れている。

勿論、英語の部分は伝わっていない。


しかしどうやらこんなグダグダの返事でも、話としては通じたようである。


「なっ!なにを言うのよっ?!

初対面の女の子に向かって、び、"美少女"とか!

い、いやらしいっ…。」

ついでにナンパ男として、警戒されたようである。


「ちょっ!ス、スタラさんっ!

もしかして、魔族語わかるんですかっ?!」

そこにクルトが割り込んできた。

あと御者台から手綱もほっぽりだして太郎に詰め寄ってるから、手放し運転どころではない。


「ちょっとちょっと!

旦那っ!手綱!手綱っ!」

「うわわっ?!」

爆乳奴隷お姉さんに指摘され、慌てて御者台に戻るクルト。

よそ見運転、ゼッタイダメ!


「ふう!危なかった…。

あっ、それより!

スタラさんっ!今、その子達と会話していましたよねっ?!」

クルト、今度はしっかり手綱を握りながら、太郎に話し掛ける。


「え?

は、はあ。俺、【言語理解】のスキル持ってるんで…。」

―もしここに、りゅーさんが居たら、あちゃー!と空を仰いだかもしれない。


「げ、【言語理解】っ?!

凄いっ!

スタラさんは、そんなスキルまで有していたんですかっ?!

僕、そのスキル持ってる人に、初めて会いましたよ!」


クルトの驚きっぷりに、どうやら【言語理解】のスキルもかなりレアなスキルであった事が解った太郎。

しでかしちゃったことに、今さらやべーと焦っている。


だが本当に今さらなので、後の祭である。

やはり太郎は迂闊な男だった…。



―次回っ!

またしてもチョイエロ予定!

はたして魔族っ娘のスリーサイズは判るのか?

あと掲示板回はその次になりそうだ!

数年前からこんなのを書いてます。

生まれて初めて投稿した作品です。

よかったら、こちらも見てもらえたら嬉しいです。


『スマホのカード使いに転生しました!』

http://ncode.syosetu.com/n5440ca/


いつも読んで頂いてありがとうございます!


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