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太郎と初異世界人の出合い

前回から随分と時間が経ってしまいました。

申し訳ありませんでした。

次回は、もう少し早く投稿するつもりです。

どうか次回もよろしくお願いいたします。

「…ハア、ハア、ハア…。」


太郎、荒い息をしながら緩やかな丘を登りきった。

丘を猛ダッシュで登りきったせいである。

決して興奮しているせいではない。


「ハア、お、お姫様、もしくは女騎士さんとか、まあ可愛い女の子の冒険者でもいいや!

どこだっ?!りゅーさん、どこで争ってんのっ?!」

…いや、やはり興奮しているようだ。


「ウヒヒヒ…。

こんな出会いは、美少女に限るよね!

それ以外にあってはいけないよね!

やっぱりヒロイン回だよねっ?!」

太郎、キモい含み笑いをしながら呟く。

いや、本当にキモい。

頭の中は、どうやらおピンクモードのようだ。


「ア、エート、ますたー、アラソイハ、アソコカト…。」

太郎のすぐ横を、息もきることもなく走ってきた"竜精衛士"ことりゅーさんが、向こうの方を骨の指で示す。


りゅーさんは主である太郎の、ファンタジー的お約束な思考法を理解できずヒキぎみである。当然か。

まあ暫くすれば、主のライトノベルってる考えが、嫌でも解ってくるだろう。

えらいヤツが主人となったもんである。

ご愁傷さまことである。


りゅーさんが示すその先、なだらかな下り斜面が続いてる1kmはある向こうに、米粒大の人形(ひとがた)が幾つか見える。

どうやらその中心には、馬車らしきものがあるようだ。


》》》

「くそっ!おまえらっ!

ルオー商会の旗が見えなかったのかっ?!

こんな事をすれば、商会が必ずおまえらを報復しに来るぞっ!」


ルオー商会の若き商人、クルトは、倒れた馬車の陰から叫ぶ。

もしかしたら、商会の旗印を知らなかったという、わずかながらの希望を込めて。

商会の旗印は知らなくても、大陸有数の力を持つルオー商会の名前を知らぬ者などいないはずだからだ。


だが彼に向けられた返答は、絶望的なものだった。

「ギャハハッ!

んなこたあ、十も承知のうえだっつーの!」

「商会の旗を立てときゃあ、盗賊避けになると思ってたのかよおっ?」

「んなモン、身ぐるみ剥いで殺しちまったあと、トンズラすりゃあいいだけよ!」

「どうせ、護衛代をケチったかなんかだろ?

商人としちゃあ、甘ちゃんだな!

ガハハハッ!」


「くっ!」

クルトが悔しそうな顔をする。

それはヤツらの言い分が図星だったからだ。


この辺りに出没するモンスターは、ゴブリンかせいぜい、いたとしてもボブゴブリンどまりである。

それなら駆け出しの冒険者でも4~5人も雇えば、自分も合わせて充分な戦力になると考えていたのだ。


だがその冒険者達も、全員がクロスボウの矢によって物言わぬ死体となってしまっている。


クルトは商会の中では最下級の商人だ。

というより、今回が初めてひとりで商売を任された仕事だったのだ。

そして少しでも利益をあげようと、焦った結果がこれだった。


―くそおっー!

おら、こっただ所で死ぬのか?

まだクニのおっ母に、仕送りを一度もしてねえのに!


心の中で自分の迂闊さを呪いながら、故郷の母や妹を思い浮かべるクルト。

彼の命は風前の灯火となっていた。


「グッグッグッ!

お遊びはこれまでにして、そろそろお前さんを殺して"積み荷"を頂くとするか…。」

そう野太い声が聞こえる。

おそらくあのリーダー格の、オーガみたいな大男だろう。

他の盗賊と比べて、段違いにレベルが高そうに見えた。

あの男からは、どう足掻いても逃げられそうにない。

そしてヤツの持つ大斧にかかれば、クルトなど一刀両断にされてしまうに違いない。


「お前ら、さっさと取り囲んで、やっ―」

「ぎゃあっ!」「ぐあっ!」「なん…。」


クルトが覚悟を決め、せめてひとりでも多く道連れにしてやろうと馬車から飛び出そうとした時、なぜかその先から盗賊共の悲鳴が次々にあがった。


「な、何がおきただ?」

クルトはおもわず、地の言葉がでてしまう。

そして恐る恐る、馬車から悲鳴があがった方を覗いてみた。


「て、てめえ!

い、一体なにモンだあっ?!」

そこには、あっという間にほとんどが切り伏せられ、残すところリーダー格の男を含めた3人にまで数を減らした盗賊共と、それに対峙して立つ偉丈夫な骸骨騎士であった…。


》》》

「ほんっとうに、ありがとうございました!

もう命は無いものと、覚悟を決めていたんですよ。」

「あ、いやー、間に合って良かったです。

あ、間に合って無いか。

もう少し早ければ、後の人達も救えたかもしれないのに。」

「…いえ、彼らの死は、私の責任です。

私の考えが甘かったばかりに、無駄に命を落とさせてしまいました…。」

「は、はあ。」


盗賊共に殺された冒険者達は太郎によって埋葬済みで、彼らが付けていたドッグタグのような認識標のみを持って帰るようである。


ちなみに太郎のテンションは、目に見えて低い。

助けた相手が男性だったから。

『ルオー商会のクルト』と自己紹介したが、こいつが金髪碧眼のイケメン君であった(年は太郎と同じ位に見えた)からだ。

露骨なやつである。


太郎からすれば、『あるぇー?いや、ここはそうじゃないでしょう?!』と叫びたい所かもしれない。


が、助けた相手が男だろうが女だろうが、知ったこっちゃ無いことである。


「それにしても、凄いボーンゴーレムですねっ!

これほと強いゴーレムは、見たことがありませんよ!

あとあなたの土魔法!

あんなに素早くピット(落とし穴)を作れる人を、私は見たことも聞いたことも無いです!」

「い、いやー、それほどでも…。」


クルトがいない隙をみて、りゅーさんから素早くアドバイスを受けた太郎。


それによれば、りゅーさんは骨でできたゴーレム、"ボーンゴーレム"とし、カスタムメイドだからバカ強いと説明。

太郎の落とし穴はオリジナルの土魔法で、【アイテムボックス】は秘密にしておく―となっている。


太郎の落とし穴は、クルトに襲いかかってきていた山賊の生き残り3人を、生け捕りにする時にも使っている。


『て、てめえ!

い、一体なにモンだあっ?!』

とりゅーさんにビビってる内に、こっそり後ろから仕掛けたのだ。

さっきまでギャーギャー穴の下で吠えていたが、『生き埋めちゃってもいいかな?』と太郎が言ってからは静かにしている。

りゅーさんが上から見張っているから、這い出ることも出来ない。


ちなみに太郎、りゅーさんからそのアドバイスを受けた時、『ははーん、どうやらチートスキルがバレると、大騒ぎになるパターンだな、こりゃ!』とライトノベルからくる知識で、変に素早く理解してしまった。


もしかしたら太郎の"ファンタジー的お約束"が、初めて役にたった時かもしれない。


という訳で現在の太郎は、『師匠から超強いゴーレムを借りて、諸国の見聞を広める為に旅をしている新進気鋭の魔術師』というタテマエで通している。


「…旦那ぁ、もう出ても大丈夫かい?」

「ああ、すまないな。

もう大丈夫だよ、出ておいで。」


クルトから凄い凄いと持ち上げられ、少し気分が良くなってきた太郎を、更にテンションマックスにさせる出来事が待っていた。


馬を殺され動けなくなっていた幌馬車から、数人の女性達が降りてきたのだ。


「…ああ、まだ私の仕事を、お話ししていませんでしたね!」


―降りてきた女性達には、全員、首輪がつけられていた。

さらに両腕には、木でできた手枷がはめられていた。


「私は、ルオー商会の奴隷部門に席を置いております。

今回は、彼女達を"仕入れ"した帰りだったんですよ。」


クルトの言葉に、一瞬フリーズしてしまう太郎。

しばらくして…、

「そのパターンがあったかっ!!」


いや、その驚くポイントはおかしいだろ。



―次回!

まだヒロインが出るか、気をもたす作者!

これ以上延ばしたりしたら、読者の反感をくらっちゃうぞ?!

数年前からこんなのを書いてます。

生まれて初めて投稿した作品です。

よかったら、こちらも見てもらえたら嬉しいです。


『スマホのカード使いに転生しました!』

http://ncode.syosetu.com/n5440ca/


いつも読んで頂いてありがとうございます!


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