表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/17

タローののんびり異世界ライフ

修多羅(すたら)太郎、19才。浪人である。

もちろんサムライな方でなく、ただの受験生な方である。


中肉中背、ストレートな黒髪ではっきり言って特徴らしい特徴がない顔立ち。

特徴といえば、その珍しい名字くらいか。

名前の方は、今どきこの名前をつける方が珍しいと言えばそうかもしれない。


太郎の家は両親が共働きで、二人とも帰りが遅い。

そのため食事は普段、太郎が作る事が多かった。

その腕前は、母親に『もう教えるものは何もないわ』と言わしめる程である。

―まあ母親の料理レベルは、かなり低いのだが。


今日も晩飯用にと、幾つかの食材と最近ズボラして切らしかけていた多くの調味料を近くの『スーパーひろや』でまとめ買いをして、かなり重たくなったエコバックを肩に担いで店の扉を出た瞬間。


―そこは異世界だった。


「は?」

『スーパーひろや』から出れば、その前はいつも見慣れた県道があるはずである。

いや、あったはずだった。


だがいま太郎の目の前に広がる光景は、延々と地平線まで続く丘陵地帯である。

慌てて後ろを振り返って見ても、すでに『スーパーひろや』は無く、同じ様な丘陵地帯と遥か彼方に雪を抱いた山々が見えた。


「マジっすか。

マジで異世界っすか!」


太郎がいきなり異世界とほざいたのには理由がある。

なにしろ太陽に、土星様にの輪っかが掛かっている。

しかもそれ程眩(まぶ)しくない。

それ故、太陽に輪があるのが見えたのだ。


「いっ異世界転位キタ―――!!」


この状況でいきなり一番に『異世界転位』というワードがでるあたり、太郎のヲタク度はけっこうなモノのようである。

というか、最初はもっとパニックになるものではないだろうか?


「神殿や城ではなく、いかにも初期フィールドっぽい草原からスタートとは、これは勇者召喚系ではないのか?

いやいや、そうとも言いきれないか。

そもそもドジッコ女神様とか、残念じいさん神様の手違いで転位!みたいな説明は無いのか?

普通、真っ白で何も無い空間みたいな所で、神様からの説明シーンから始まるんじゃないんですかねっ!」

ブツブツ言ってる独り言から、異世界モノはかなり読み込んでいるようである。

やはりいきなり異世界にいるというのに、不安がる様子はない。

なかなか神経の図太いたちな方らしい。


「まあいいや。

それよりこういうのはスキルだ!スキル!

敵のスキルを奪ったりコピーしたりとか、異常に修得が早かったり、土魔法で勝つる!とか、あっ!ステ振りポイント制も良いよね!…ああ、流行りの死に戻りループ系は嫌だなあ、やっぱり死ぬのは痛そうだしー。

兎に角、チートスキルで無双してすげー!とか言われたり、異種族の女の子とのハーレムとかっ!…デュフフー!」

―どうやら異世界モノは、大好物のようである。

というかチートなのは決定なのか。


「―夢が広がるなあ!

よしよし!ここはおきまりのコレだな!

ステータス、オープン!」

もう転位モノを究めた猛者のような流れである。


ここでステータス画面がでなければ、少しは彼も不安になって落ち着けれたかもしれなかったが、残念ながら太郎が思った通りに半透明なステータス画面が出現してしまった。



修多羅 太郎 Lv 2

人族/男/19才

HP 30(+1)

MP 15

町人 Lv 2

料理人 Lv 2

学者 Lv 1


「おおー、出たよステータス!

…うーん、やはりお約束の低レベルからなんだな。

数値はヒットポイントとマジックポイントしかないのか…。

『力』とか『生命力』とか、もっと細かなステータスが欲しかったなー。

でなけりゃ、俺ツエー!があんまし実感出来ないじゃん。」

とうとうシステムにまで意見を言うようになった。


「ふむふむ、職業別のレベル制なんだな。

てか『町人』ってなんだよ!

普通、ここは『村人』なんじゃないのか?

たしかに住んでた所は、村って言うよりは町なんだけどさー。」

太郎の住んでいた所は、程よく田舎感が混じった郊外の町にあった。


「あと『料理人』かあ。

まあレベル2っていうのが、凄腕ってことはないだろうしなー。

それと『学者』?

…ああ、学生とか受験生とか、勉強しているせいだからかな?」

勉強が本分のはずの浪人生が、料理人のレベルより低いことに気付かない辺り、太郎の浪人生としての危機意識は低いようだ。


「んんー?スキルは無いのかな?

…ああ、次のページになってたのか!」

太郎が画面に触れながら指を横にすると画面がスクロールし、次のスキル一覧に切り替わった。

あと3ページ目は装備、持ち物の欄のようだ。


そしてスキルのページには、4つのスキルが表示されていた。


「まずは『【言語理解】Lv Master!』か!

うんうん、やはり言語チートはお約束だよね!

いやー、1から言葉覚えろとか、無理だし!」

ちなみに太郎の高校時代の英語は、常に赤点ギリの成績だった。

大学受験に落ちるのは、無理もない話である。


「次は『【アイテムボックス】Lv Master!』ですか!

いやー、誰かは知らないけど、わかってるじゃなーい!

これで運搬人として、ひとまず食っていけるはずだね!」

どうやら少しは将来に不安があったようだ。


「3つ目は『【鑑定】Lv 1』ですか。

…むう、これはマスターレベルじゃないんだ。

ま、いろいろ鑑定しまくったら、レベルも上がるんじゃないかな?」

その安易な考えは、後で泣きをみることになるのだが、太郎はまだそのことを知らない。


「最後に『【タローの掲示板】Lv 1』

……って、ナニコレ?」



スキル一覧:

【言語理解】Lv Master!

【アイテムボックス】Lv Master!

【鑑定】Lv 1

【タローの掲示板】Lv 1

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ