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9/12

数年勤務の保健医(モブ教師Rの場合)

 雪がちらつき、このままならホワイトクリスマス?なんてきゃっきゃする南出身の1年と、夢見てんじゃねぇとばかりに死んだ魚のような腐った目でそれを眺める北の出身や上級生が出始める12月中旬。


 数日後、降った雪が溶けて凍り、ツルツル滑ってコケる洗礼を受けるもの少数、それを尻目に慣れてるとばかりにドヤ顔で進み油断してやはりコケる者少数、なんでこんな立地条件(※寮と学校は斜面に立っています)なんだと嘆くもの大多数。


 ほとんどというか学校と寮しかないこの場所で車なぞ通らないのになぜ立派なガードレールが存在しているのかと首を傾げていたものがなんとなく意味を悟って遠い目になったりもする。


 そんな中で試験を終え、終業式を終えてはれて冬休み。クリスマスた正月だやっほーいと浮かれるやはり1年に待っているのは完全武装してさあ埋まった道を掘り返すぞ?と雪かき道具を差し出す上級生と寮監の洗礼だったりする。


 今日も今日とて滑って転びましたシップください、転びました絆創膏くださいとちらほらと保健室にやってくる。私に休みはない、そんな私は保健医です。名前は三浦みつうら 涼子りょうこ


 保健室の窓から雪かきをする学生たちの姿が見えた。キャッキャとしているのは雪かき初体験の連中か?明日は筋肉痛の洗礼を受けるとも知らずに張り切ってるわねぇ。その横でもくもくさっさと寄せているのは北組か。はっきり言って南の出身者なんて数名いてやっと北出身者1人の量だ。それでもやらせるのは人海戦術が有効だからだけど。なにせ高校全体での雪かき。有に百人は超える人数なので使わない手はない。


「あら?あれは噂のヒロインちゃんかしら?」


 スコップを持って雪かき中、重さで動けなくなって真っ赤な顔でプルプルしている美少女。それに近づくイケメン。一言二言話したと思ったらヒロインちゃんからスコップを取り上げ除雪するイメ面、まさか雪かきで恋愛イベントが起こるなんて!?


 雪が降ったら吹雪になってロマンチックなホワイトクリスマスなんて送れないこの地域ならクリスマスの恋愛イベントなんて起きないとたかをくくっていたのに!?


 やばいわ、あの二人の周りにちら雪の幻がキラキラしくみえる。あ、横で女子がorzのポーズを。会話もバッチリ聞いちゃったのね?恋愛イベントな会話だったのね?胸焼けがひどいなら此処にいらっしゃい。苦いコーヒーを用意して待っててあげるから!


 あ、ヒロインちゃんがコケた。そしてイケメン君が・・・おーいー。

いまどきお姫様抱っこって、ちょっとほかが膝つきまくってんじゃない!今すぐやめなさい!え、こっち来るの?いや来ないでお願いだから!お姉さんにはシゲキが強すぎるというかまだ砂吐きたくないの!胸焼けはイーヤー!!



 ええわかっているんです。此処は保健室だものね。転んだら此処に連れてくるわよねそれが当たり前。わかっているわ。私にできることはひとつしかないの。


「みんな、今すぐ出て行きなさい。奴らが来るわ」

「そんな、先生はどうなるんですか!?一人で残るなんて」

「仕方ないの、犠牲は一人で十分なのよ」

「せんせい・・・せんせーい!!」

「・・・いや、けが人手当するだけだよね?」

「三十路近い独身女にゲロ甘は毒なのよ!今ほど職務放棄したい瞬間はないわ!」

「きちんと仕事しろ保健医!」



 するわよ!最高に苦いコーヒー用意してからな!

あと2~3話かな。

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