ヒロインに恋したモブ男子の末路
春に周囲の人間に胃もたれを起こさせたクラスメート、春日光ちゃんはクラスでもトップクラスの美少女だ。当然すごくもてるし流行なんかもバッチリ抑えてるいまどきのおしゃれ女子なんだと思っていた。
違うとわかったのは彼女がクラスの女子の中でもおしゃれグループな奴らとそんなに一緒にいないとわかったときだった。仲が悪いとかではないらしい。用事があればよくしゃべっているし、ときどき買い物に行く約束もしていた。ただ違うんだなと思ったのは彼女たちの会話が光ちゃんに対するアドバイスが主だったからだ。
おしゃれ女子のグループの一人に聞いてみたら彼女は中学まで勉強漬けでおしゃれなんかしたことがないと相談されたとか。最初はじゃあその格好は何だよとなったらしいのだがよくよく聞けば中学時代の親友たちに高校入学祝いと称して連れまわされた結果であって彼女自身はよくわかっていないらしい。せっかく用意してくれたのに分からないことが申し訳ないから分かるようになりたいんだと言われ何てけなげなんだと感動したとか何とか。まあ仲がいいのはいいことだよな、変ないじめとかもないみたいだし。
そんなわけで見た目も頭もついでに性格もよしな彼女は今やクラスどころか学年のいや、学校のアイドルだ。周りに近づこうとする男連中もトップクラスといっていい。まあ、何人かは恋愛感情とかじゃなくて成り行きとか、ただの友情関係らしいが・・・。
こんな優良過ぎる物件狙わない男がいるだろうか?いやいない。前述は無視してくれ。矛盾は承知の上だ。とにかく何が言いたいかというとだな、俺は彼女が好きなんだ。モブがヒロインに惚れるな?何を言っている俺の人生において主役は俺だ。ヒロインに恋して何が悪い。大体誰がこれは乙女ゲーだなんていったんだ。これは現実だぜ?可愛い女子にヤローが惚れるのは自然の摂理だろう?いや、仮に恋愛系ゲームだったとしてもだ、可愛いヒロインが出てくるのは乙女ゲーだけじゃねえだろ?
「そう、乙女ゲームよりも先に存在しているじゃないか!冴えないヤローが学校一かわいいと評判のヒロインを落とす男の夢が詰まったゲームが!!」
「!!??田中、お前天才か」
「そうだよな、モブがヒロインをおとしたっていいよな?」
「モブがなんだ!俺の主人公は俺だぜ!」
「やるぜ、俺はやってやるぜ!」
「そうだ、今こそモブの根性を見せる時だ!」
「「わーわー」」
「・・・現実にかわいい女の子が惚れるのはかっこいい男だけどね・・・」
「・・・・・orz」
「武藤、お前、悪魔か・・・」
「ああ、再起不能になった男どもがいっぱいだよ」
「容赦ねぇ・・・」
「ふっ、現実版乙女ゲーム実行のためなら邪魔なヤローなぞいくらでも再起不能にしてくれるわ!あは、あははははは」
「おい、誰か武藤の厨二スイッチきれよ。現実に戻せ」
「おもしれーからもう少しこのままでいんじゃね?」
「春日が戻ってくるまでに取り繕えよー?」
「そして誰も男どもにフォローは入れないのね」
「いや、だってめんどい」
「ヤローにかける情けはない」
「この女ども容赦ねぇ・・・」