序幕
学園ものが苦手なので、練習がてら書いてみます。
お付き合い頂けましたら幸いです。
ライトノベルはクソである。
現実には到底ありえない設定。
頭やら股やらが緩い美少女達。
そして、何より、勉強、スポーツ等何をやっても平々凡々で、中肉中背、見た目も別段かっこいいとかではなくて、むしろ物によっては普通以下だったり、てか、そもそも相手の気持ちが全然読めない超KY鈍感野郎だったりするくせに、学校のアイドルやら、絶世の美女やら、外国──場合によっては異世界の姫なんかにモテまくりな、『ラノベ主人公』はクソの極み、つまりは便秘三ヶ月物の超特大級大グソだといって過言ではない。多分、リアル渦巻きが作れるレベルだ。
多分、その設定の理由には、どんな読者にでも感情移入出来やすいとか、こんな奴が幸せになってもあんまり腹とか立たねえなあとか、つか、この主人公って第二の俺だしとか、そんな事を読者に思わせるのに、大変都合が良いからなのだろう。
はっきり言おう。
そんな奴、ありえない。
ついでに言えば、少なくとも、暗い部屋で一人シコシコラノベを読んでるようなお前ではない。
男が女にモテるのは、何時だって、何かしら特出する理由がある。顔が良かったり、頭が良かったり、スポーツができたり、金を持ってたり、トークが面白かったり。その何れもは平々凡々な奴に備わっているもんじゃない。そんな物が備わってる奴は、世間一般的に平々凡々とは呼ばない。それも、モテモテになるレベルということは、英語で言えばギフト、日本語だとまあ、才能とでも呼べるものが、一定以上備わっているのは当然で、更にやはりそれなりの努力を伴っていたりする。少なくとも有限の時間をラノベ鑑賞とかいう下らないことに費やす、お前には一生ありえない。
少なくとも、『神は死んだ』とキリスト教だらけの世界でそんなことを宣ったニーチェ大先生並の超現実主義者である俺は、それを理解しながらも、シコシコとラノベを読んでた。
別に、明らかに重力の法則を無視した爆乳が見たいわけでも、時折出てくる、明らかにストーリーには必要無さげなラッキースケベシーンを熟読したいわけでもない。
ただ、明らかな非現実を眺めることによって、逆に自分がどうしようもなく現実にいることを証明したかった。例えるならば、海に行くことによって、自分は結局陸上でしか生きられないという事を再認識する、みたいな感じだ。別に感情移入してもらわなくても構わない。お前は俺じゃないのだ。お前が俺の事を真に分かる、解る、判る、そんな事が出来るわけがない。その点やはり夏目漱石大先生は偉大なのだろう。何たって、人を猫に感情移入させるなんて荒技に出たのだから。
ここまでが前置き。
とりあえず、俺──高橋夏樹がラノベ大嫌いなくせにラノベを熟読する、現実主義者だということさえわかってくれれば、これより上は全部読まなくていい。既に読んでしまった? 時間返せ? 知らん。自己責任だ。
この物語は、そんな俺の前に平々凡々、中肉中背、別にかっこいいわけでも、かっこよくないわけでもない、そのくせ殺意すら覚えるくらいモテモテな、『ラノベ主人公』が現れるところから始まる。
当然、物語だ。
現実世界には『ラノベ主人公』なんていない。
そんなの、諸君も十二分に承知してるだろう?
まあ、無粋なメタ発言はここまでにして、シコシコ物語を始めるとしよう。
敢えてもう一度言わせてもらう。
ライトノベルはクソである