05
食べ始めると俺たちは、ほとんど無言になってしまった……。
いや、ルリアが食べることに集中しすぎて、俺の声が聞こえてない。
おそらく食べきるまで、ルリアは喋らないだろう。
無駄だとわかっていながら俺はしゃべりかけた。
「ルリアはどこから来たの?」
「………………」
ぱくぱくと食べ続けるルリア。
「なんで、俺の名前を知ってるの?」
「………………」
俺は小さくため息をついた。
――仕方がない、食べきるまで待つか。
俺の皿に残った残りわずかな、おじやにぱくついた。
ルリアは一心不乱にぱくぱくと食べているが、食べるスピードは遅かった。
「ごちそうさまでした」
ルリアが食べ終わるまで30分ぐらい待った。
食べ終わったあとに何が嬉しいのか、ルリアはニコニコとしていた。
「聞きたいことがいくつかあるんだが、いいか?」
「いいですよ」
「じゃあまずは、ルリアはどこから来たんだ?」
頭をひねって考えてるようだが、そんな難しいことか?
「わかりません」
え? 分からないって? 自分がどこにいたのかもわからないってことか?
だめだ、この手のことは考えていてもらちが明かなさそうだし、次だ次。
「それじゃあ次、何で俺の名前知ってるの?」
「――さあ? 何で、でしょう?」
俺に聞かれても……。
「じゃ、じゃあ、ルリアはなんで俺の家に来たの?」
「それは、ここに住まわせてもらうためです、私のお父さんと高梨さんのお父さんは知り合いで、私の家族は死んでしまって……遺言なんです」
「遺言?」
「はい、お父さんが死んだときには高梨さんの家に行くようにと……」
ものすごい遺言を残していく人だな。
その後は、終わりが無く、遺言の話をされた……。
結論から、言うと、ルリアはうちに住むことになった。