01
ある日、家族が俺以外誰も居なくなった……。
小学校の4年生の時だ。
この世に家族が存在しなくなった……。
交通事故らしい。
行く宛もなく俺は一人誰もいない思い出の詰まった家に閉じこもっていた。
真実から目を背けようとも、この世界のこの現実は変わらず、まるで俺の家族は最初から存在していなかったかのように世界はめまぐるしく動いていく。
そんな生活を続けて、何年も経った。
今では、通信教育を受け、平均的な学習能力なら付いているし、家事だって出来るスーパーに買い物に行ったり……。
ただ、そのお金は両親の財産や保険金でまかなわれているのが現実だ……。
昨今の学歴社会において、俺は底辺にいるわけで、ろくに仕事が見つからないわけで……かくして、家族が残したお金で生活しているってわけだ。
家は二階建てでローンは一切ない、車も乗らないから、といって売った。残っているのはこの家と家具と母さんが乗っていた原付バイクぐらいだ。
おっと、俺の紹介がまだだったか。
高梨 翔18歳 高校には通ってない。
あれ? 俺ってニートじゃん!?
趣味は読書とDVD鑑賞、あとはゲーム全般それと勉強ってところかな。
本日は晴天! 洗濯物もよく乾きそうだ……というのが俺の妄想で、時は6月、季節的には梅雨真っ盛り。
洗濯物は部屋干しだし、買い物だって傘をさして行かなきゃいけないし、夜は寝苦しいし。
愚痴っても仕方ないよな。
気晴らしに買い物にでも行くかー。
今晩は何しようか、考えながら俺は買い物の支度をする。
すると、ほとんど鳴ることのない玄関のチャイムがなる。
いったい、誰だよ。