下駄箱を開けたらパンツが入っていた
気分転換に書いたコメディ寄りのラブコメです。
現在、連載で『チャット相手は異世界の女の子、転移失敗で俺のPCの中に?』を連載執筆中。
~30話までPM21時前後に連日投稿予定です。
そちらの方もよろしくお願いします。
「…くっそ暑ちぃ。夏休みはまだかよ…」
頭上から降り注ぐ厳しい日差しを受けながら通学路を歩く。
季節は7月上旬、今日も最高気温は35度近くまで上がるようだ。
通学するだけで汗が滲んでくる。
しかも今日は5時間目には体育。
更に言うなら体育館でバスケのはずだ。
せめて水泳なら多少はマシだったが、体育は男女別で男子の水泳授業は木曜日。
月曜の今日は女子が水泳の割り振りになっている。
想像だけで今からすでに暑い。
月曜の憂鬱さと相まって、テンション低めに昇降口へ入ると、背後から声をかけられた。
「おっす下木!朝からテンション低いな!」
「ああ友川か、おはよう。こんなに暑いのにテンションなんか上がるわけないだろ。早く夏休みになってほしいぜ」
振り返ると友人でクラスメイトの友川和樹が、片手を上げながら歩いてきた。
「そう言うなって。俺はまだ夏休みになってほしくないしな。俺は今年こそ夏休みまでに彼女を作って、一緒に夏休みを満喫するつもりだからな!」
「彼女ねぇ。誰か気になってるヤツでもいるのか?」
俺の言葉に待ってましたとばかりに友川の顔が明るくなる。
「そりゃやっぱり可愛い子がいいよな!同じクラスの花村撫子とかだったら言うことなしだ!」
「いや花村さんは無茶だろ。うちの学校二年の三大美姫の一人だぞ?」
思わず友川の無謀さに眉間に皺が寄ってしまう。
花村撫子というのはこの学校において有名人だ。
俺達と同じ二年二組のクラスメイトで、そこらのアイドルなんて霞むほどの容姿を誇る。
肩甲骨ほどの長さの薄っすらと茶色掛かった髪に、程よく均整の取れたプロポーション。
誰でも敬語を使う丁寧さに、困っている人に手を差し伸べる優しさ。性格は非常に温厚でいつも微笑んでいる女の子だ。
その大和撫子のような清楚さにやられた男子が次から次へと告白をし、多い日には20人に告白をされたとかなんとか。
しかし結果は全敗。丁寧ながらもはっきりとしたお断りをされたらしい。
そんな彼女に友川が選ばれる?
…いや、どう考えても想像ができないな。
運動部で体は引き締まっているし、顔も中の上ぐらい。
性格も少し馬鹿なところはあるが、明るくて良いヤツだ。
だが彼女は同じクラスのイケメンと名高いサッカー部のエースをも振っている。
残念ながら無理だろう。
むしろ彼女に選ばれる男がどんなヤツか興味があるぐらいだ。
「おいおい下木、まだ分かんないだろ?もしかしたら俺が告白するのを待ってるかもしれないしな!下駄箱を開けたらラブレターが入ってたらどうするよ!?」
「はっ。仮にお前の下駄箱に入ってるとすれば、果たし状か、呪いの手紙ぐらいだろ?」
そんな友川の言葉を鼻で笑いながら上履きを取り出そうと下駄箱を開けた。
「…っ?」
すると俺の目に飛び込んできたのは、上履きの上に乗る白い何か。
見間違いかと思い何度か瞬きをしてもそれは変わらない。
…え?これはまさかまさかの…ラブレターというヤツか?もしかして友川じゃなく、俺の方に春が来ちゃったり…?
俺はドキドキと高鳴る心臓を抑え込み、恐る恐る白いソレを取り出す。
するとそれは俺の想像通り、白い封筒―――――――――ではなく、白いパンツだった。
「………は?」
正確に言えばワンポイントに付いた小さいリボンが可愛らしい女性用のショーツだった。
あまりの出来事に思わず俺の思考が停止する。
…え?女性用のパンツ?何で?何で俺の下駄箱に?誰かがここで落として、誰かが適当な下駄箱に突っ込んだ?いや待て、昇降口でパンツを落とすってどういう状況だ?
混乱のあまりパンツを手に持ったまま固まっていると、すぐそばから声がかかる。
「おい早く教室行こうぜ、って。何やってんだお前?」
「っ!!?いや、何でもない!!」
俺は咄嗟に肩から掛けていたバッグの隙間にパンツをねじ込んだ。
「?どうした?なんか汗酷くないか?」
「いいいや、別に!?さっきからこんなモンだっただろ!?何もないぞ!?」
「そうか?明らかにさっきよりも汗かいてると思うが…。まあいいや。ほらもうすぐ予鈴だ、急ごうぜ」
俺はコクコクと頷く。
…やべえ、思わずバッグに仕舞ってしまった。素直に「パンツが入っててさぁ(笑)」、とかすぐに言っておけば笑い話にもなったが、言い出すタイミングを失っちまった。どうしようコレ?
さっきまでの暑さからくる汗と違い、緊張からくる脂汗を流しながら教室へと向かう。
「おーっす!」
「おう友川おはよう、下木も」
「…ああ、おはよう…」
教室のドアをガラリと開き、友川が教室内に挨拶をするとあちらこちらから挨拶が返って来る。
俺は挨拶もそこそこに自分の席へと辿り着くと、椅子に座り大きく溜息をついた。
「お前さっきからホントどうしたよ、溜息なんかついてさ?」
俺の後ろに座った友川が心配そうに声をかけてくる。
だが悪いがしばらく放っておいてくれ。事実を受け止める時間が欲しい。
「…なんか分かんねえけど、元気がないときは可愛い子を見るに限るぞ。ほら向こうの席、花村さんは今日も美しいな!」
それで元気が出るのはお前ぐらいだよ、と思いながら視線を少し前へ向ければ、視界の端に花村さんが友人の涼谷香織と楽しそうに会話をしているのが見えた。
涼谷香織は彼女の一番の友人で、よく一緒にいるところを見かける。
青みのあるショートカットの似合う表情があまり変わらない女の子で、少しキツそうな見た目をしている。
十分美人な部類だが三大美姫のレベルが高すぎるため、三大美姫には惜しくも入ってはいない。
なんとなく二人の方を眺めていると、気のせいか一瞬花村さんと目が合った気がしたが、チャイムが鳴ると同時に担任の田島先生が入ってきたため、「気のせいだよな」と意識をホームルームへと向けた。
―――――――――――――――――――――――――――
そして時間は進んで5時間目の体育が終わり、ぞろぞろと男子が教室へと戻ってきた。
「暑っちぃ…。夏の体育は地獄だな…」
「俺は別に平気だけど、でもせっかくなら女子と一緒に水泳の授業を受けたいよな。是非とも女子の水着を間近で見て見たい!」
俺が暑さでグダっていると、友川が相変わらずなことを言ってくる。
こういうところが今一コイツがモテない理由なんだろうな。
それに適当に返事を返しつつ着替えて席についていると、水泳の授業から戻ってきた女子が教室へと戻ってきた。
しかしようやく次の授業で最後か。長かった。
今日はトイレへ行こうとすれば、「あ、俺も行く」と連れションへ誰かしら付いてくるし、昼飯を食いに行こうとしても同じくだった。何故か全く一人になるタイミングがない。
おかげでバッグの中の例のブツを手放すチャンスなかった。
確かにソレをそこら辺に捨てて、それが見つかって騒ぎになったら面倒くさいことになるし、万が一「下木君がソレを持っているところを見ました」、なんてなったら目も当てられないが。
いっその事ここまできたら、家まで持って帰って処分した方が危険が少ないだろう。
あと一時間の辛抱だし。
そう考えて6時間目の数学の準備をしていると、チャイムと同時に教室へ入ってきたのは、何故か担任の田島先生だった。
ちなみに田島先生の担当教科は現社だ。数学ではない。
「あれー、数学の富沢先生は?もしかして急病かなにかで自習になったとか?」
「え、マジで?ラッキー」
それを見たクラスメイトがザワザワと騒ぎ出すが、田島先生はパンパンと大きく手を叩いて黙らせる。
「お前らちょっと静かに。この時間は全クラス、緊急のホームルームになった。実は5時間目に盗難事件があってな。水泳の授業中に、ある女子生徒の下着、パンツが盗まれたそうだ」
担任のその言葉に一度静まり返った教室内が一気に騒がしくなった。
「え、下着泥棒がでたってこと!?」 「マジで!?誰の下着が盗まれたんだよ!?」 「うそ、気持ち悪い!そんな変態が出たってこと!?」 「外部犯か?まさかこのクラスに犯人がいるとかじゃないよな?」 「えー!?やめてよ、そんな怖いこと!」
教室内は大騒ぎだ。
無理もない。
男子は興味深々で誰が盗んだとか盗まれたとか言っているが、女子は嫌悪感丸出しで「犯人許せない」と話している。
「おい聞いたか、下着泥棒だってよ。やっぱり好きな子の下着を盗んだのかな?となると…まさか花村さんのパンツじゃないだろうな!?花村さんのパンツだったら盗むヤツもいくらでもいそうだしな!」
俺の背後から友村が話しかけてくるが、俺はイヤな予感が止まらない。
断っておくが勿論俺は犯人ではない。断言できる。
しかし今の俺のバッグには今朝方、下駄箱から回収した例のブツが入っている。
盗難があったのは5時間目。
俺が下駄箱から回収したのは始業前、間違いなくバッグの中身は無関係だ。
だがそれを証明することはできない。
こんなことならタイミング関係なくカミングアウトしておけばよかった。
そうすれば俺の無罪は証明されていたはずなのに。
…今からでも言うか?
実は今朝、下駄箱にパンツが入っていてさ(笑)
アホか!?今更絶対誰も信じねえよ!
どこの誰が「あーそうなんだ。それじゃ仕方ないよね」、なんて言うんだ!?
そもそも下駄箱にパンツが入っている状況ってなんだよ!?聞いたことねえよ!?
もし俺が逆の立場だったら、「嘘つくんじゃねえよ。言い訳ならもう少しまともな言い訳しろよ」ってなるぞ!?
俺は冷や汗が止まらず全身をびっしょびしょに濡らしていると、担任から死刑宣告の声が聞こえた。
「おい静かにしろ!このクラスに犯人はいないとは思うが、念のため全クラス一斉に持ち物検査をする。全員ロッカーの中と机の中、あとバッグの中身を見せろ」
「えー!?女子は除外でいいんじゃないですか!?どうせ男子に決まってるし!バッグの中を全部見せるなんてセクハラじゃないんですか!?」
「そうですよ!イヤなんですけど!」
あっちこっちからブーイング、大多数が女子から上がる。
担任は「しょうがないだろ!」と叫んでいるが、勢いにやや押され気味だ。
もしかしたらこのまま押し切ってくれて、ついでに男子も免除してもらえないだろうか?
そんな風に淡い期待を抱いていると、ガタリと大きな音をたてながら一人の男子が立ち上がった。
「みんな静かにしてくれないか!女子も一度落ち着いてくれ!」
その声に、大騒ぎになっていた教室内がシーンと静まる。
「…東山」
「東山君?」
声を上げたのは東山光輝。このクラスのトップカーストに属する、サッカー部のエースでイケメンだ。
冒頭で説明した、花村撫子に告白してフラれたイケメンとはコイツのことだ。
茶髪に染めた長髪のキラキラとしたさわやかな男で、校内でも女子人気が非常に高い。
「皆。皆の言いたいことも分かる。でも今は下着を盗まれた女子のことを考えるのが優先じゃないか?別にこのクラスに犯人がいると言っているわけじゃない。先生だって必要だから言っているだけじゃないか。確認さえしてしまえば皆の無罪もはっきりするし、どうか皆協力してくれないだろうか?」
静かだった教室内が再びザワザワと騒ぎだす。
「…そっか、そうよね。困ってる子がいるんだもんね」
「ごめん、私自分のことしか考えてなかった」
「分かったわ、協力する。皆もそれでいいわよね?」
一度は反対大多数だった女子たちの意見が賛成側へとひっくり返った。
さすがはトップカーストの女子人気トップクラスのイケメン。他のヤツじゃこうはいかない。
だが一言、言わせてほしい。
余計な事言いやがって!(憤怒)
全く持って正論だがふざけんなよ!?
今日だけはその正論はいらねえんだよ!
てめえのその発言が。どれだけ俺を追い詰めてると思ってんだ、クソが!?
奥歯をギリギリと鳴らしながらイケメンを睨みつけるが、すでに空気は持ち物検査になっている。
今更俺一人がゴネたところで誰も俺の意見に賛成などしないだろう。
そもそも俺にそこまでの発言権はない。
「じゃあ廊下側の一番前から確認していくぞ。さっさと確認するから机の中身を全部出して、カバンの中も空にして拡げておけよ」
しかもすでに持ち物検査は始まってしまった。
もうここからじゃどうしようもない。
どうするかと過呼吸気味になりながら考えを巡らせていると、机の前に誰かの気配を感じた。
俯いていた顔を上げるとそこには田島先生の影。
どうやら俺は随分と長い間考え込んでいたらしい。
死神はすぐ目の前まで来ていた。
「……よしお前も、机の中もバッグの中もOK、と。じゃあ次は下木だ。バッグの中を見せてみろ」
やべえ、なにも対策を思いつかなかった。
「…?どうした?早くバッグを開けろ。まだ人数が残ってるんだ、早くしろ」
担任が訝し気に俺を見下ろす。
「…いやー、バッグですか…?…実はちょっとバッグのファスナーが壊れてまして。開かないんですよ…」
俺は悪あがきで抵抗を試みる。
「何言ってんだよ?今日、何回もファスナーを開け閉めしてんだろ?」
「うるせえ!余計な事言うんじゃねえ!!」
が、後ろに座っている友川の一言で叩き潰された。
お前なんか友人じゃねえ。敵だ。
「おい、くだらない冗談なんか言ってないで早く開けろ」
「…あーそう言えば、ばあちゃんの遺言で人にバッグの中身を見せてはいけないと…」
「…?お前のばあちゃん、今朝散歩してるの見かけたぞ?」
「だからうるせえって言ってんだろうが!!?」
再び友川の余計な一言が台無しにする。マジでお前許さねえからな!?
「…怪しいな。下木、お前ちょっとバッグを貸してみろ」
俺の抵抗に不信感を持った担任が、俺のバッグに手をかけた。
それを俺は最後の抵抗として引っ張る。
「やめてください先生!セクハラですよ!?」
「うるせえな!?お前のバッグごときでセクハラになってたまるか!?」
バッグを引っ張り合う俺と田島先生。
机を挟んでお互い綱引きの様な態勢になるが、残念ながらバッグの耐久力が持たず、その戦いはすぐに終止符を打たれることとなった。
二人の力に負けた可哀そうな俺のバッグはファスナーが弾け、バッグの中に入っていた私物を辺りにバラまいた。
勿論その中に隠しておいた例のブツも。
スローモーションのようにヒラヒラと舞い落ちる純白のパンツ。
神々しさからそう見えたのか、はたまた走馬灯がそのように見せたのか。
ソレはクラス中の視線を受けながら、俺の机の上へと静かに舞い降りる。
集まる視線。
静まり返る教室。
誰もが声を発しない。
しばらくそうしていただろうか。
どこからか誰かの声がポツリと聞こえた。
…パンツだ、と。
「おい、下木!なんだこれは!?」
「待ってください!これは違うんです!?」
「何も違くないだろうが!?どう見ても女性用の下着だろうが!?」
「だから誤解なんですって!これは…そう、この下着は今朝俺の下駄箱に入っていたんです!!」
「嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ!どこに下駄箱に女性下着を入れるヤツがいるって言うんだ!?」
「俺だってそう思うが本当なんですよ!!?」
俺は先生へと説明するが全くもって信じる気配がない。
なんて教師だ、生徒のことを信じないなんて!
下駄箱に入っていたって言ってんだろ!?
俺だって信じないけど、お前は信じろよ!
俺の気持ちとは裏腹に教室内は蜂の巣をつついたような騒ぎとなる。
「おい、下木のバッグから出てきたアレってパンツじゃないか!?」 「ということはアイツが下着泥棒だったってことか!?」 「あいつあの下着で何をするつもりだったんだ?」 「だからナニだろ?」 「イヤ、キモイ。下木君ってそういうひとだったんだ」 「でもそういわれれば、そんな顔してるかも…」 「あ、分かる!なんかパンツみたいな顔してるよな!」
「おい、ふざけんじゃねえよ!?パンツみたいな顔ってどんな顔だよ!!?」
クラス中が好き放題言ってやがる。
完全アウェー状態だ。味方が居ねえ。
このままじゃ完璧に俺が下着泥棒にされてしまう。
万が一誤解が解けたとしても、学校に女物の下着を持ってくる危ないヤツ扱いは免れない。どうする、どうする…?
「とにかく!下木、お前は職員室まで来い!話はそこで詳しく聞く!」
「詳しくも何も今言った通りですって!!?」
完全に俺が犯人として決められている。
クソが。こうなったら明日、クラス全員の下駄箱にパンツを入れてやろうか。
そんな風にダークサイドに気持ちが落ちかけた時、椅子を引くガタンという大きな音が響き渡った。
皆の視線が俺からそっちへと向く。
「花村さん…?」
立ち上がっていたのは我がクラスのマドンナ、花村撫子だった。
「え、どうかした?花村さん?」
俯きながら机に手を付いて立つ花村さんに、サッカー部のイケメン東山が声をかける。
その声に顔を上げた花村さんは、何か決意のようなものを浮かべていた。
再び教室内は静まり返り、皆の視線が彼女へと集中する。
「…どうした花村?なにかあったか?」
担任が何か普通ではない様子の花村さんに声をかける。
すると彼女は大きく深呼吸すると、皆にハッキリと聞こえる声で話した。
「先生、下木君は決して下着泥棒じゃありません!」
「は、いや。下着泥棒じゃないって言っても、実際ここに下着があるだろ?」
「そうだよ撫子ちゃん?庇いたいのかもしれないけど、この状況じゃ庇いようがないでしょ?」
「そうだぞ花村。優しいのは知ってるけどそれは無理があるだろ?」
クラス中全員が「そうだそうだ」と頷いている。味方がいねえ。
特に後ろのヤツにいたっては、「お勤めを果たしたらまた帰って来いよ」などと言ってやがる。ぶっ飛ばすぞ。
「いえ、下木君は犯人じゃありません。…だってその下着は、私が下木君の下駄箱に入れた――――私の下着ですから!」
彼女のその言葉に教室内は完全に静まり返り、そして――――――――
『…ええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!???』
大爆発した。
「何言ってんの撫子ちゃん!!?」 「そうだよ!?庇うにしても無理があるよ!?」 「いいんだって!そこまでして庇わないでも!?」 「おい下木!いい加減認めちまえよ!」 「そうだぞ!花村さんの優しさに甘えるなよ!」 「じゃないと撫子が男子の下駄箱に下着を入れる変人みたいになるでしょ!?」 「それでお前はいいのかよ!?」
「だから俺はやってねえって言ってんだろうが!!?」
どんどん大きなる騒ぎに、田島先生が大声で制止を入れる。
「お前ら、本当に落ち着け!隣のクラスから苦情が来るだろうが!まずは落ち着いて、花村の言い分を一応聞くだけ聞いてみろ!!」
しばらくザワついていたが、花村さんがさっきから変わらず真っ直ぐな目を向けているのに気付き、段々と声が小さくなっていった。
そして完全に静まり、皆の視線が花村さんへと向く。
「…で花村、さっきのはどういう意味だ?…あー、お前が下木の下駄箱に下着を入れたとか何とか…」
先生の声が困惑に満ちている。クラス中の空気もだ。
しかし花村さんは、そんな周りの様子に怯むことなく言い切った。
「…言葉の通りです。今朝早くに登校して、私が下木君の下駄箱に入れました。…下木君に私の気持ちを伝えるため…告白するつもりで!」
「………は?」
花村さんの突然のカミングアウトに俺は呆けた声が漏れてしまう。言っている内容が頭の中で理解できなかった。
『…はあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!???』
さっきの声を上回る絶叫が沸き起こる。最早収集がつかない。
「い、いやいやいや、花村さんちょっと待ってくれ!俺に告白!?いやそれよりもなんでパンツ!?どこから何を聞いたらいいんだ、コレ!?」
あの三大美姫が俺に告白などと理解の及ばない事実と、その手段が下駄箱にパンツというさらに理解の及ばない事実が重なって何が何だか全く分からない。
そもそも俺は花村さんとまともに話したことすらないはずだ。惚れられる理由に微塵も心当たりがない。
あ、そうか!ドッキリか、これドッキリだな!?それなら納得できる。
やれやれこんな大掛かりなドッキリを仕掛けるなんて。
狙い通り俺の心臓はドッキドキだよ――――――――
「予め言っておきますが、嘘や冗談じゃありません。本気です!」
―――――マジかぁ…
むしろ冗談だった方が穏便に収まった気がする。
俺は少し遠い目をしながら花村さんを見つめる。
すると花村さんのすぐ後ろで、友人の涼谷さんが目を大きく開いてポカーンとしている姿が映った。
…すげえな。彼女のクールな表情があんなに崩れているの初めて見た。
そんな風に現実逃避をするが、花村さんの言葉で再び現実へと戻される。
「…もうこれだけ大騒ぎになってしまったら仕方がありません。なぜ私がこんなことをしたのかお話します」
「…あ、ああそうだな。じゃあ花村、話してもらえるか?」
今まで俺の目の前で立ち尽くしていた先生が再起動して、花村さんへ説明を求める。
その声を聞き、花村さんの言葉に耳を傾けるため、ザワついていたクラス中が再び静まり返った。
そして彼女はコホンと一つ咳払い。
「…さっき言った通り、今日私は朝早く登校して、告白場所へ呼ぶためのラブレターを彼の下駄箱に入れようとしました。ただ私はそこで思いもよらないものを発見してしまったんです。…私が彼の下駄箱を開けた時にはすでに別のラブレターが入っていて、それを見た瞬間私は動揺してしまいました。今まで女の子の影が全くなかったのに、目の前には誰かのラブレター。このままでは彼が私以外の誰かと付き合ってしまう。…私は混乱している頭で考えました。私のラブレターは目の前のラブレターよりも優れているのか、と。私以上のラブレターだったのなら私は負けてしまうんじゃないか、と。もっと彼の印象に残ることをしなければ、という考えに至った私は――――――――咄嗟に下着を脱ぐと彼の下駄箱へと入れていました」
「待て待て待て待て待て!?途中までは理解できたが、最後の一文が全く理解できん!?何でそこで下着!?っていうか俺、そのラブレター見てないんだけど!?もしかしてそのラブレター、花村さん……?」
最後にいきなりぶっ飛んだ話に思わずツッコんでしまったが、俺は彼女の言うラブレターを見ていない。入っていたのは一枚のパンツだけだ。
まさかと思い問いかけるが、彼女は「いえいえ」と軽く首を振った。
「無意識的に下駄箱から取り出してしまったのは確かですが、自分の想いのために人の好意を捨てるような真似はしません。もう一度下駄箱へ入れようとしたんですけど、たまたま目に入った宛名は下木君宛ではなく、下駄箱の入れ間違いでした。ですのでちゃんと正しい宛名の下駄箱へと入れ直しておきましたよ」
あ、なんだ。下駄箱間違いかよ、紛らわしい。なら俺がそのラブレターの存在を知らなくても当然か……って!
「いや、だったら最初に入れようとしてたラブレターで良かったじゃん!?下着は必要なかっただろ!?」
そこで下着を回収してくれてさえいれば、この面倒くさい状況にはなっていなかっただろうに!
しかし彼女は首を振る。
「入れ間違いのラブレターの正しい下駄箱を探すのに少々手間取ってしまって、他の皆の登校が始まってしまったので回収することが出来ませんでした。それに一度あげたものを返してもらうのもアレでしたし」
「そこは気にするなよ!?下駄箱開けたら下着が入ってる方がアレだろうよ!?」
はあはあと少しツッコミ疲れて息が上がってきた
しかし話したことがほとんどなかったから知らなかったけど、花村さんってこんな変わった人だったのか?
…いや違うな。親しいはずの涼谷さんが絶句している。完全に皆が知らない一面だ。
クラスメイトは誰も口を開かずに俺達の会話を聞いている。時折コクコクと頷くぐらいだ。
つまり俺が質問をしないと会話が進まない。
「…取り敢えず大体の話は分かった。全く分からない部分もあるけど一旦置いておこう。…ただ一つだけ聞きたいんだけど、なんで俺?記憶を遡っても、高校に入学してから花村さんとはまともに会話をしたことすらないはずなんだけど」
普段なら、彼女のような可愛い子に告白されれば手放しで喜べるんだが、状況が特殊すぎて感情が一周まわって冷静になってきた。
どう考えても彼女に好意を向けられる理由が思い当たらない。
訝しげな顔を向ける俺を彼女はジッと見つめていたが、やがて二コリと少し寂しそうな笑顔をした。
「…やっぱり下木君は覚えていませんか。実は私たち、幼稚園が一緒だったんですよ」
「え、マジで?」
彼女の言葉に驚いて昔の記憶を呼び起こそうとするが、残念ながら容量の少ない俺の脳みそでは、特に親しかった数人ぐらいしか思い出せない。
「うん、マジです。組は違ったし、話したことも一度しかありませんでしたけどね」
あー、それじゃ記憶にないのも仕方がないな。むしろそれで覚えている彼女の方が特殊な例だ。それかその一回が余程印象に残っているか。
「そのたった一回を私はよく覚えてます。あれは年長時のお泊り保育の日でした。着替えてあとは寝るだけとなった時間、私はトイレに行きたくなったんです。でも丁度そのとき先生は部屋の中にいなくて、でも我慢ができなかった私は一人でトイレへ向かいました。ただ想定外に、夜の廊下は昼間と違って暗くて怖かったんです。私はおばけや幽霊が苦手だったので廊下で座り込んでしまい、恥ずかしい話ですが我慢できなくなって漏らしてしまったんです。着替え前の下着は先生が回収して洗濯してしまったし、履いている下着は濡れている状態。私は悲しくなって廊下で泣いていました。そのとき一人の男の子が私の前を通りかかりました。その子は私の様子から事情を察してくれて、私の手を取るとトイレまで連れて行ってくれたんです。そして別れ際に自分の着替え袋の中から下着を取り出し、私の手に乗せるとニコリと笑って言いました。「これに履き替えて。大丈夫僕はノーパンでも大丈夫だから」、と」
…そう言われれば確かにそんなことがあった気がするな。次の日家に帰ったあと、母ちゃんにパンツをなくして怒られた記憶がある。
あの時の子が花村さんだったのか。
「あの時渡された白いブリーフパンツ。あれを受け取った時感じたんです、この人が私の王子様だったんだ、って。でも結局出会った時の出来事が恥ずかしかった私は、卒園まで下木君に話しかけることが出来ませんでした。それで思ったんです、このままじゃいけないと。彼にもう一度会ったときに恥ずかしくない自分でいようと。彼が泣いている私にブリーフを渡してくれたように、私も困っている人を助けようと。あの日のブリーフに誓ったんです!」
当時のことを懐かしい気持ちで聞いていると、何やら少し最後の方が怪しくなってきた。
ブリーフに誓うっていうのは何だ?聞き間違いか?
「あれから私は人に優しく、困っている人には手を、と頑張りました。勇気が出ないときでも貴方に貰ったブリーフを履けば何でもできる気がしました。あれは私の勝負下着、お守りになったんです!」
あれれー?何かおかしいぞー?
言っていることは良い事かもしれないけど、言葉の節々から違和感があるぞー?
俺は何て言ったらいいのか分からず、教室内も水を打ったように静まり返っている。
それに反して唯一喋っている花村さんの声は、段々と熱を帯びてきた。
「…でもある日悲しい出来事がありました。幼児向けのブリーフは成長すると履けなくなるんです」
そりゃそうだ。子供向けが履けるのは子供だけ。多少は無理すればいけるかもしれないが、それでも限界は来る。当たり前の話だ。
「試しに大きいサイズのブリーフを買って履いてみたけど違うんです。そこに下木君の温もりはありませんでした」
あってたまるか。そもそも始まりからして洗濯済みを渡してるんだから、最初から俺の温もりなんてないだろ。
「そこで私は考えました。下木君が私と一緒にいてくれる、見守っていてくれる方法を」
そういうと花村さんは一つのお守りを手に持った。
あれは確か彼女がいつもバッグに付けているお守りだったっけ?
そこまで考えた時、俺の背中に鳥肌がたった。ものすごくイヤな予感がする。まさか彼女は俺のブリーフをお守りの中に――――――――。
「それがコレです。これは下木君のブリーフで縫って作ったお守りです!」
「想像以上にアウトじゃねえかっ!!!?」
さすがに堪え切れず叫んでしまった。
想像をはるかに超える異常事態だ。お守りの中に入れるどころかお守りそのものに作り替えるとか…。
どうりで珍しい白いお守りだと思ったよ!?
「ですから下着を相手に渡すのは、私にとって最大限の好意の現れなんです!」
そこまで一気に話した花村さんは、「むふー」とドヤ顔で胸を張った。
正直俺は何て言ったらいいのか分からず固まったままだ。
クラスメイトも物音一つ立てることなく、何なら呼吸音すら聞こえてこない。
大丈夫?皆息してる?
そんな静寂がしばらく続いたが、ガタンと勢いよく椅子を引いた音が鳴り響き、一人のクラスメイトが立ち上がった。
「待ってくれ!おかしくないか!?そもそも今は5時間目に盗難にあった下着を探しているはずだろ!?その話が本当なら、なんで5時間目に盗まれた花村さんの下着がそこにあるんだ!?」
立ち上がったのはクラスのイケメン東山。
そんなこと俺が知りてえよ。何で盗まれたはずの花村さんの下着がここにあるんだ、って……あれ?盗まれた下着って、花村さんのものだったっけか?
俺が首を捻っていると、同じく花村さんも首を捻っていた。
「え?盗まれたの私じゃないですよ?そもそも通学してすぐに脱いで下木君の下駄箱に入れたから、私は朝から下着を履いていませんよ。物理的に盗まれようがないです」
『え!?まさかのノーパン!!!!!!!!!!!???』
クラスの視線が一斉に花村さんへと向く。視線はやや下、スカートの位置だ。
誰もかれもが驚愕の表情を向けている。
何度目かの静寂が訪れるが、その静寂を再び破ったのもコイツだった。
「…しょ、証拠は!?まだ花村さんが下木を庇って嘘をついている可能性があるだろう!?」
東山が大声で叫ぶ。
なんでコイツはこんなに騒いでいるんだ?
そんな東山の姿にキョトンとした顔をした花山さんは少し考えた後、涼谷さんへと声をかけた。
「香織ちゃん、少しいいですか?お願いしたいことがあるんですけど」
「…え?…あ、うん?」
今迄呆然と固まっていた涼谷さんの手を取ると、二人は揃って教室の外へと出て行ってしまった。
それを見送るようにクラス中の視線が教室のドアに集まる。
そして待つこと数十秒。
再び教室内へと入ってきたが、涼谷さんは眉間を指で押さえていた。頭痛が酷そうだ。
そのまま彼女は俺の席へと近寄り、右の手の平を俺へと向けた。
「…下木。…その下着ちょっと見せて」
俺は机の上で拡げっぱなしになっていた白いパンツを、無言で彼女の彼女の手に乗せる。
彼女は眉間に皺を寄せながら下着を拡げて見ていたが、しばらく見た後再び俺に手渡した。
「ん」
「え、あ、はい」
思わず受け取る俺。
いやちょっと待てよ、なんで俺に返したし?
もしこれが本当に花村さんの下着なら、そのまま持って帰って花村さんに返せばよくない?
俺に渡されても困るんだけど?
そんな俺の想いは届かず、涼谷さんは自分の席へと戻ると大きな、それは大きなため息を吐いた。
「…結論から言うと下木の持っている下着は撫子のもので間違いない。私と一緒に下着を買いに行ったときに買ったやつだ。…あと撫子は履いてなかった」
『うっそぉおおおおおおおお!!!!!!!!!!!???』
視線が再び花村さんへと集中し、またまた絶叫。クラスメイトの呼吸が非常に合っている。
そしてその花村さんは頬を薄く赤らめながら微笑んでいた。
「えへへ…。本当だったら放課後に屋上で告白するつもりだったんですけど、こんなに皆の見ている前で…。少し恥ずかしいですね」
「いや、花村さんはもっと他に恥ずかしがるところがあると思う」
さすがに真顔でツッコんでしまう。少し彼女はズレている。いや少しでは済まないかもしれないが。
なんかもう色々衝撃的過ぎて、告白されて嬉しいという気持ちが全く湧いてこない。
「そんなはずないだろ!!?」
そして再び叫び声を上げるクラスメイト、つうか東山。
皆の視線が東山へと移動する。
さっきから東山→花村さん→俺、とグルグルと回っている。
「…水泳の時間にはすでに下着は履いてなかった?…じゃあ、じゃあ…!じゃあこの下着は誰のだって言うんだ!!?」
そう言って東山は自分のスポーツバッグの底部分。二重底になっていた隠しの場所から一枚の女性物の真っ赤な下着を取り出して掲げて叫んだ。
凍り付く教室内。
さっきから皆の想定外のことが起こりすぎて、最初騒がしかった教室も誰も何を言ったらいいか分からなくなってしまっている。
え?まさか下着泥棒って…東山…?
頭の上でクエスチョンマークが飛び交う俺達を現実へ戻したのは別のところから上がった声だった。
「ああーっ!!?それ盗まれた私のパンツ!!」
その声にクラス中の視線がそちらへと向く。
が、
う、うわぁあ…。ま、まさかよりによって…。
声を上げていたのは武田桃子。
100kgを超えていそうな体形に潰れた鼻、髪の毛は汚く染めた金髪をツインテールにしている。さらに男子のみの文科系部活に乗り込んで身体的接触を行い、その嫌悪感で部員たちを(物理的に)再起不能するサークルクラッシャー、オタサーの悲鳴。影での呼び名はその見た目から武田さん。
二年の三大美姫と対をなす、二年のアンタッチャブル。誰が名付けたか忌まわしき魑魅魍魎、三大魅忌の一人だ。
まさか東山が手に持っている真っ赤なシースルーの下着って…武田さんの…?
あいつまさか花村さんの下着と間違えて…?
…おえぇ…。アイツがアレを履いている場面を想像したら吐き気が襲ってきた…。
俺だけじゃなく、クラスの至る所から嘔吐く音がする。
あの組み合わせは一種の破壊兵器だろ…。
東山も下着片手に硬直してやがる。
「まったくもー、東山ったら私のパンツでナニをするつもりだったんだか!あーしがお嫁に行けなくなったらどうすんの!?これは今すぐにでも責任を取ってもらうしかないんだゾ☆!」
いやお前は元々結婚できないと思うぞ?
クラス中の心が一つになった気がした。
しかし一人だけ別の時空を生きている武田さんはズシズシと教室を移動すると、未だ硬直の解けない東山にベアハッグと見間違えるようなハグをすると、ヤツの口めがけ熱いディープなキスをした。
『うぎゃぁあああああああああ!!!!!!!!!!!???』
クラスが更に大絶叫。
男子は未確認生物に捕食される東山が一瞬自分と重なって、吐き気と鳥肌まみれの絶叫。
そして女子はクラスのイケメンで人気者、そんな彼が自分の目の前で口を奪われる場面を見ての絶叫。
「ぎゃああ、東山君の唇がぁあ!?」 「やめてぇえ、東山君が汚染されるぅ!?」 「うわああ、やめろおお!パニック映像はやめろおお!?」 「おえええええ、吐き気が、吐き気が治まらねえ!」 「エイリアンが東山を捕食してるぅう!?」 「せめて東山は手に持っている特級呪物を何とかしろ!」 「赤い下着がトラウマになったらどうする!?」 「今日の夜、夢に出そうで怖い!」
クラス中は世紀末が来たかのように大パニックだ。
かくいう俺も机に手を付いて必死に吐き気を押さえている。
そんなパニックが蔓延する教室内を、誰かが歩いて俺の机の前へとやってきた。
顔を上げる。
俺の目の前にいたのは花村さんだった。
彼女は恥ずかしそうに目を泳がせている。
あ、そうだ。衝撃の事実が続いたせいで記憶から飛んでいたけど、俺って告白されていたんだっけ?
俺も彼女の雰囲気を感じ取り、姿勢を正して彼女に向かい合う。
彼女は一度大きく深呼吸すると、しっかりと俺の目を見つめてきた。
そして、
「下木守君。幼稚園の頃からずっと好きでした、私と付き合って下さい!お互いのパンツの履き合いっこをしましょう!お願いします!」
いつの間にか、あれだけ騒がしかった教室内は静まり返り、皆が俺達を見つめていた。
ごくりと誰かが唾を飲み込んだ音が聞こえる。
そんな中俺は微笑みながら彼女に答える。
「ちょっと考えさせてください」
俺の言葉にクラス中からは激しいブーイング。
お前らうるせえ!
そもそもパンツの履き合いっこってなんだよ!?10000歩譲って花村さんはいいとして、俺も花村さんのパンツを履けってか?意味が分からなすぎるわ!?
パンツで始まり、パンツで事件が起き、パンツで終わる。
悪いが俺には、そんなパンツまみれの告白に無条件でOKを出すほど、頭をパンツに侵されてはいない。
花村さんはショックを受けた顔をしているが、今の告白でOKを貰えると思ったのか?
最初からラブレターで告白されていれば受け入れたかもしれなかったのに。
俺は遠い目をしながら彼女の背後に視線を向けると、そこには俺と同じような目をした涼谷さんと目が合った。
何と言うか今このクラスの中で、彼女とは一番心が通じ合っている気がする。
彼女の目は死んでいた。
こうしてクラス中を巻き込んだ盗難事件と告白劇は幕を閉じ、俺は学校中の男子から三大美姫の告白を断ったという妬みで、『お守りパンツ野郎』、略して『ブリフマン』というふざけた渾名でしばらくの間呼ばれることとなった。
マジで覚えとけよ。
気分転換に書いたコメディ寄りのラブコメです。
よろしければモチベーションになるので、評価・感想お願いします。
現在、連載で『チャット相手は異世界の女の子、転移失敗で俺のPCの中に?』を連載執筆中。
2026年1月15日6:30時点で9話まで投稿済。
30話までPM21時前後に連日投稿予定です。
そちらの方も読んでくれると嬉しいです。
※感想・評価ありがとうございます。
個別に返信していませんが有り難く読ませていただいてます。




