番外編『魔法学園、大騒ぎ!リリー様授業参観!?』
ある朝。
「リリー、今日は学園に一緒に行くぞ」
「えっ、えっ、なんでカイゼルが来るの!? 今日、ただの授業日ですけど!?」
「“視察”だ。……だがそろそろ、公然とお前の隣にいたい」
陛下の“視察”は、帝国においてほぼ「公式行事」扱い。
学園中の貴族子女と教師陣が、まるで戦場に放り出されたかのように慌てていた。
◇ ◇ ◇
「ようこそ、ヴァルフレイム陛下……そ、そしてリリー様……!」
校門で頭を床にこすりつける校長先生(権威:超大)
側近たちが止めに入っているが、もはや威厳ゼロだ。
「今日は陛下が演習を見学されます」
「演習というより、リリーの“授業参観”だ。期待している」
そう言って微笑む陛下。
その一言で、教師陣が会議室に引っ込んで**“魔法無力化結界”の緊急設置**を始めたのは言うまでもない。
◇ ◇ ◇
そして迎えた、合同魔術演習。
参加者全員が、皇帝の前で魔術を披露し、講評をもらえるという名誉な機会……だった、はず。
「次、リリー=ノクターナ嬢。お願いします」
「はーい」
私が一歩前に出ると、空気がピシッと緊張した。
私は手を掲げて、そっと詠唱する。
「《蒼天、鳴動せよ》」
空間が揺れ、巨大な“星型の結界魔法陣”が空に浮かび上がる。
神話級の結界を、詠唱たった一節で起動させた私を見て、演習場は静まり返る。
「え、なにこれ、神術クラスの結界……?」
「この魔力制御、もはや伝説では……!?」
「というか、あのリリー様、皇帝陛下の“婚約者”らしいわよ……」
「え、マジ!? 推しカプじゃん!」←何か違う
◇ ◇ ◇
演習後、控室。
「リリー。堂々としていたな。美しかった」
「へ、へんな褒め方しないで~! 変な汗でた!」
「……いっそ、このまま宮廷の魔導顧問に任命してしまおうか」
「やめて!! 責任重大!!」
そう叫ぶ私の頭を、カイゼルがやさしく撫でて笑った。
「では、せめて――その制服姿、俺だけの特権で見させてもらおう。
他の男が見たら、粛清だ」
「物騒ぅぅぅぅ!!!」
でもね――こんな騒がしくて、甘くて、緊張感だらけの毎日が、
なんだか最近、少しずつ好きになってきた気がするの。




