第6話『帝国最大の結婚式、ついに開幕!誓いのキスは世界に響く』
鐘の音が鳴り響く。
花の香りと、光の粒が舞う中、私は静かにバージンロードを歩いていた。
「……わあ……」
視界に映るのは、帝国のすべて――それどころか、周辺諸国の王族や賢者までもが招かれた、帝国最大の結婚式。
その中心を歩く私の姿に、皆が息を呑んでいた。
白銀のドレスは光を反射し、魔力で織られたヴェールがふわりと揺れる。
だけど、私の視線は――たった一人の男だけを見ていた。
祭壇の前に立つその人。
漆黒の礼装、覇王の風格、そして、私だけに向ける眼差し。
カイゼル=ヴァルフレイム――。
私の運命。
私を拾い、守り、愛してくれた人。
そして今日、“永遠に隣にいる”と誓う人。
カイゼルの前に立つと、自然に笑みがこぼれた。
「……遅れてすみません、皇帝陛下」
「遅くなどない。俺にとっては……ずっと待ち望んだ時間だ」
その低い声が、式場に響く。
すでに涙ぐんでる聖職者さんの代わりに、カイゼルが私の手を取る。
「リリー=ノクターナ。汝は、我と共に帝国を歩む覚悟があるか?」
「はい。……何があっても、ずっと隣にいます」
「我はそなたを、生涯守り、愛し、決して手放さぬことを誓う」
「私も、あなたを信じて……あなたの妻になります」
誓いの言葉が交わされたその瞬間――
カイゼルは、私を強く引き寄せた。
「……世界に知らしめよう。お前が俺の、唯一の花嫁だと」
そして、深く、長く――
キスをした。
まるで時間が止まったような静寂。
次の瞬間、大地を揺らすような歓声と祝福が響き渡る。
◆ ◆ ◆
「はぁ……式中にそんな濃厚なキスする人がいますか……」
「俺は“控えた”方だ。今夜はもっと……いや、今は言うまい」
「怖いから言わないで!?!」
式の後、控室でカイゼルに抱きしめられながら、私は思う。
今までの人生、孤独だった時間、誰にも必要とされなかった日々。
それが、たった一人に選ばれたことで、こんなにも変わるなんて。
――私はもう、一人じゃない。
「カイゼル」
「ん?」
「これから先、ずっと一緒にいてくれる?」
「何を今さら。お前が望めば……来世どころか、永遠にだって添い遂げる」
「…………ほんと、重いなぁ。大好き、カイゼル」
「……俺も、お前しか愛せない」
こうして、魔法チートな元幼女と、美貌の冷酷皇帝の恋物語は――
永遠の愛を手に入れて、幕を下ろしました。
――Fin.




