第4話 『初めてのふたりきりの夜。でも部屋に魔獣が侵入して、全裸で戦う羽目に!?』
「――じゃあ、今日は、寝室を一緒に使おう」
その日、カイゼルは“当然のように”そう言った。
「え、え、え……本気で?」
「約束しただろう。お前を皇后として、妻として迎えると。その第一歩として――まずは一緒に寝る」
「え、それって、いわゆる“添い寝”じゃないやつ……ですか?」
「添い寝から始めるつもりだったが、リリーが望むなら、もっと踏み込んでも構わない」
「望んでない!今のところは理性が勝ってるので大丈夫です!!」
「理性が消える瞬間を、楽しみにしている」
「黙って笑わないで! 顔がイケメンすぎて怖いの!!」
結局、強引な愛情(という名の執着)に押し切られ、私は今――
カイゼルの隣で、ふかふかのベッドに座っていた。
手が触れそうな距離。
目を合わせると、胸がドキドキする。
「……今日は、ただ抱いて眠るだけにする」
そう耳元で囁かれただけで、心臓が跳ね上がった。
それだけで終わるかは疑問だったけど――
「……うん。じゃあ、おやすみなさい……カイゼル」
「おやすみ、リリー」
その言葉と共に、そっと私の背に腕がまわされ、
その温もりに包まれながら、私は目を閉じた……その、数分後だった。
ガシャァァァァン!!!!!
突然、窓ガラスが割れた。
風が巻き上がり、何か巨大な影が飛び込んでくる。
「きゃあっ!!」
「――魔獣、か。よく俺の結界を破ったな」
飛び込んできたのは、空間転移能力を持つ上位魔獣だった。
しかもよりによって、私たちの部屋に!
「なんでこのタイミング!?」
「夜の営みの最中であれば、より容赦しなかっただろうな」
「セリフ自重してぇぇぇ!!?」
◆ ◆ ◆
そして――
「リリー、服を脱げ」
「はああああ!?何言ってるのこの変態皇帝!!!」
「奴は魔力を感知する。防御魔法を付与した服は着られない。裸で気配を消し、魔力を抑えるしかない」
「戦闘スタイルの話!?エロじゃないの!?!?」
「ついでに見られてもいい」
「はい今のセリフ取り消し!!?」
結果として――
カイゼルと私は、半裸でベッドのシーツをまといながら、部屋の中で魔獣とバトルする羽目になった。
愛の夜は、突然の中断。
でも、カイゼルの横顔はどこまでも真剣で――
私は、なんだかとても安心していた。
「リリー。俺のすべてをお前に捧げる。命も、愛も、全てだ。だから……これからも、隣にいてくれ」
魔獣を撃破した直後、
その言葉と共に、私は彼に抱きしめられて――
「……うん。私も、カイゼルの全部を受け取るから」
――ふたりの愛は、さらに深く、強く、固く結ばれていくのだった。




