第3話『学園編:幼女(天災)魔術師、入学するも教師が土下座』
帝都中央魔導学院――それは、帝国でもっとも優秀な魔術師が集うエリート校。
魔術の才ある者しか入れない、格式高い学び舎。
そして今日、そこに――
「……わたくし、リリー・ノクターナ。5歳です。よろしくお願いします」
――皇帝直々の推薦で、“魔法チートな幼女”が入学した。
「まさか……噂は本当だったのか……」
「え、子供じゃん!? 何で学院に!?」
「……いや、見ろよあの魔力量。あれ、理論値じゃ測れないぞ……?」
生徒どころか、教師もザワついていた。
◇ ◇ ◇
「では、ノクターナ嬢。基礎魔術の実演をお願いしましょうか」
そう言ったのは、教壇に立つ老教師・ベルトラン先生。
リリーは「はい」と小さくうなずいて――
「えいっ☆」
ボン!!
大講堂の壁一面が、キラッキラの氷で覆われた。
しかも氷の中には魔法陣が仕込まれており、触れた瞬間に敵の魔力を吸収→凍結する仕様。
「……………………」
教師、絶句。
「……お、おかしい。これは高等魔術です。君、何歳?」
「5歳ですっ!」
「うん、知ってる……え、あれ? 夢?」
――10分後。
「すみませんでしたァァァ!!! 土下座でも許されるならァァァ!!」
「やめて!? 先生そんなに謝らないで!? 私、たぶんチート枠だから!!」
◇ ◇ ◇
その日の学院では、
“幼女による魔術師狩り”と恐れられ、全教師がマニュアルの改訂を始めたという。
「リリー様には“教える”より“学ぶ”姿勢を……」
「いや、先生!? 諦めないで!? 私、まだ爆発魔法しか極めてないのに!?」
こうしてリリーの学園生活は――
最初から、規格外だった。