第3話『皇帝陛下、嫉妬で魔王化!?「リリーに告白した男子学生」が謎の消失』
日中の皇帝の不在にも限界が来て、
冒険をやめて、宮廷での日常に戻った私たち。
私もまた、魔導学園に復帰!
そんなある日の昼休み。
「リリー=ノクターナさん、あのっ……ぼ、僕と、お付き合いを前提に仲良くしていただけませんか!?」
「……えっ?」
昼休みの中庭、パンをもぐもぐしていた私の前に、顔真っ赤な男子生徒が現れた。
確か彼は、魔導学科の優等生、レオンくん。
無口だけど、授業ではよく手を挙げるし、試験でも成績が良いって評判の……。
「そ、それって告白……?」
「は、はいっ! 前からリリーさんのこと、す、好きで……!」
えええええええええ!!??!?!?
まだチョコクロワッサン半分しか食べてないのに!?!?!?
え、待って、私皇帝陛下の溺愛対象で、ほぼ公認の婚約者じゃ……?
「ごめんなさい、陛下が――」
言いかけたそのとき。
後ろから、地面が揺れた。
「レオン、と言ったか」
「ッ……!?」
振り返ると、赤の瞳をギラつかせたカイゼルが立っていた。
しかも、黒いオーラと魔力圧がダダ漏れで、あたりの空気がビリビリ震えている。
「我が妃に手を出すなとは、言ってなかったか?」
「ひ、ひめ……っ、えっ!? 妃!?」
「リリーは、俺のものだ。婚約の儀はまだでも、心も未来も、俺以外にやらん」
「――不敬罪で首を跳ねられたくなければ、今すぐ消えろ」
「ヒィィィィッ!!!」
レオンくんは、土下座しながら煙のように逃げて行った。
……いや、ほんとに煙だった。瞬間転移? 魔力暴走??
◇ ◇ ◇
「ちょっと! カイゼルやりすぎ!!」
「そうか?」
「“首を跳ねる”とか、“俺のもの”とか、物騒すぎます!」
「だが、事実だろう?」
「うう……そ、そうだけど……でも……」
言葉に詰まる私の顎を、そっと指先が持ち上げる。
「……なあ、リリー。そろそろ“本当に婚約者になる”と言ってはくれないか?」
「――っ」
その瞳は、真剣で、優しくて、狂気寸前で。
怖いくらいに、私を求めていた。
「……もう少し、待って。ちゃんと、自分の気持ちを……確かめたいから」
「……ふむ。では、答えが出るまで、誰にも渡さないよう、もっと囲っておかねばな」
「囲う気満々ですね!!?」
でも、私の心も少しずつ――
その腕の中に、安心を覚えるようになってきた気がする。




