表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/37

第1話『冷酷皇帝、溺愛モード突入。第一段階、距離感をゼロにせよ』


 


冒険者としての生活を終えて、私――リリーは帝都の宮廷へ戻ってきた。


あのダンジョンでの冒険も、ギルドの仲間も、今では少し懐かしい思い出。

でも――宮廷に帰ってきたとたん、私の平穏は終わった。


 


「……リリー、もう少しこちらに」


「え、えっ? カイゼル、ちょっと近いです――っ!」


 


私の手を取って、指をなぞるようにキスするこの人。

金色の髪、最高級のルビーのような深い赤い瞳。冷たく、でも私にだけは甘い声。


――皇帝陛下、カイゼル=ヴァルフレイム。


私を拾ってくれた、帝国一冷酷と呼ばれる美貌の魔導皇帝さま。

……なんだけど、最近どう見ても本気で距離感がバグってる。


 


「ダメだな。離れると、手が寂しい」


「いやいやいや、くっつきすぎー!」


「では、手を握るだけでは足りないということか。……口でも塞ぐか?」


「かぁぁぁぁああああっ!?!?!?」


 


耳元でそんな囁きをされたら、反応するなってほうが無理!


「な、なんでこんなに急に迫ってくるのっ!」


「我慢の限界だからだ」


「なにが!?」


「お前が子供扱いされることに、だ」


 


……一瞬、心臓が止まった気がした。


「お前は、もう十分に“大人”だ。

 誰より聡明で、誇り高く、強く、美しい。……だから」


皇帝陛下は、私の頬にそっと触れ、

まるで壊れ物を扱うように、でもしっかりと包み込むように言った。


 


「そろそろ、女として抱きしめても……いいか?」


「……~~~~~~っっ!!」


 


なにその爆弾発言!?

耳が! 頭が! 思考がショートしそう!!


「ま、まだっ! 私、心の準備が!」


「では、時間をかけよう。

 ――お前が“自分が恋されている”ことを、ちゃんと自覚するまで」


 


その夜、私は部屋のベッドで転がり続けた。

天井を見つめながら、思ったこと。


――恋って、こんなに逃げられないものなんだね!!!


 


(※この後、リリーの逃走劇がしばらく続くことになる)


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ