第7話『チート幼女と皇帝、神話級ダンジョンで遊ぶ(物理)』
「カイゼル、今日は新しく発見された“幻影の大迷宮”に行ってみようと思います!」
「よかろう。では帝国軍1万人を――」
「だめだめだめ!! 今日もふたりきりの冒険って決めてるの! それに……」
――“このダンジョン、神話級の何かが眠っている”って噂なんだよね。
チート魔力センサーの私には、最奥からうっすら感じる。
……“なんかヤバい気配”。
でも、だからこそワクワクする!
「いくぞ、カイゼル!」
「……リリーの“いくぞ”はだいたいロクなことが起きない前兆なんだが」
「気のせい気のせい☆」
◇ ◇ ◇
【幻影の大迷宮】は、文字通り“幻”のような構造をしていた。
進むたびに壁が動き、風景が変わり、重力が反転し――
「わあ、天井歩ける! マリ○みたい!」
「マリ○......?これは反重力結界か……。
リリー、お前が構築したのか?」
「違うよ!? ていうか私のせい前提やめて!?」
道中には当然モンスターも出てくる。
・浮遊する無数の目玉モンスター
・歌声で精神を削ってくるワルキューレ型
・体液がスライムでできたイケメン(?)
全部、2秒で蒸発した。
「カイゼル!魔力で吹き飛ばしすぎ!」
「リリーが危険にさらされる前に片付ける。それが護衛だ」
「……いま魔法で“世界改変”寸前だったよね?」
「少しは手加減した」
◇ ◇ ◇
ダンジョン最奥。
そこにいたのは――
黄金の鎧に身を包んだ、堂々たる風格を持つ存在だった。
「我が名はゼルフィウス。千年前、封印された雷の神王である」
「出たーーー!! ザ・最奥ボス!!」
「訪れし者よ、我を倒すに足る力を――」
「《魔法詠唱・チョコマゲドン!》」
「うわ、即撃ちッ!?」
轟音とともに、神話級ボスがチョコレートまみれの隕石で吹き飛んだ。
「……ふっ、我をここまで――」
「《愛の光☆カカオ・ビーム》!」
「ぎゃあああああああああああ!!」
──沈黙。
「リリー、やりすぎでは?」
「いやいや、カイゼルが蒸発魔法構えてたじゃん!」
「俺はただ、背後の空間ごと消す準備をしていただけだ」
「その時点でやりすぎなんだよ!?!?」
◇ ◇ ◇
その後、神王ゼルフィウスは見事に降伏し、
「チョコの神」としてリリーに忠誠を誓うこととなった。
彼の神域はチョコレート製に改築され、現在はお菓子工場として稼働中である。
「……また世界の理を歪めたな、リリー」
「ちがうよ! 私はおいしいおやつが作りたかっただけだよ!!」
「それが一番恐ろしい」
こうして今日も、
チート幼女と冷酷皇帝は、世界を“楽しく”滅ぼさずに救っていくのであった。




