最近やたら目にする『左から割り込みやがって』問題
一般道を乗用車で走っていました。
片側3車線の道路でした。もうすぐ左車線が左折専用になると知っていたので、私はその少し前から真ん中車線を走行していました。
私の前を走る黄色い軽乗用車さんが、かっぽり前を空けすぎるぐらいに空けて走ってらっしゃいました。
その少し前方で、左車線を走っていた小型トラックが、左折専用車線になったので、右ウィンカーを出し、黄色い軽乗用車さんの前に車線変更してきました。
それが気に食わなかったようです。
私が交差点を越えて左車線にレーンチェンジすると、黄色い軽乗用車さんも遅れて前に入ってきました。
小型トラックは真ん中車線を直進──
いきなり黄色い軽乗用車さんが、私の前で停止しました。前にはなんにもないのに。
なんだこれ? と思って見ると、真ん中車線で小型トラックも停止しています。
黄色い軽乗用車さんが運転席の窓を開け、大声で怒鳴っています。小型トラックのおじいさんは助手席の窓を開け、何か言い返していました。
黄色い軽乗用車さんは小型トラックに幅寄せして強制的に停止させたようで、つまりはその左側がおおきく空いていました。面倒くさいので私はそこをすり抜けて前に行きました。
こんなこと、ついこの間もありました。
その時は私が怒鳴られる側でした。
私は大型トラックのドライバーをやっています。
片側2車線の一般道で、左側車線を走っていた時、前方で左折渋滞しているのに気づきました。
ミラーを確認すると、ダンプカーがずっと右後ろを走っています。距離がありました。真横には何もいませんでしたので、私は右ウィンカーを3回出し、車線変更しようとしました。
すると私がウィンカーを3回点滅させている間に、右後ろのダンプカーが急加速してきました。
車線変更を開始しようとした頃には3メートルぐらい後ろまで迫っていたので、私は車線変更を諦め、左折渋滞のお尻につっかえて止まりました。
するとダンプカーが真横で停止したんです。前にはなんにもいないのに。
そして助手席の窓を開け、何やら怒鳴ってきました。私は怖いので無視していました。
私が頑なに前を向いていると、何か聞き取れなかったけど捨て台詞を残し、ダンプカーはようやく走りだしました。
3台連れだったらしく、その後ろに続いていたダンプカーが嫌がらせのように、私の直前に急ハンドルで割り込んできて、すぐにまた右車線へ戻りました。
3台目は何もしてはきませんでしたが、3台連なって延々と右車線を走り続けてらっしゃいました。
最近、SNSなどでもこういう動画をやたらとよく目にします。
延々と右車線を走っていたドライバーさんが、左から車線変更してくる車に腹を立て、晒し者にしているような動画──
彼らの言い分によると、『直進側が優先なのに、その前に左側から割り込んでくるやつは死ね』だそうですが──
おかしくありませんか?
それだと『俺が右側を直進している時には、左車線を走っている車は何があっても前に入ってくるな』ということになりませんか?
実際、彼らはそういう状況の時は左車線の車は『止まって待て』とおっしゃいます。
そして自分の前に左側から車線変更してきた車を見たらそのドラレコ動画をSNSに投稿し、ナンバープレートにモザイクもかけずに晒し者にします。
晒し者にされ、もしかしたらそのために職を失ったようなひともいらっしゃるかもしれません。
おかしくないですか?
確かに公道では基本的に直進が優先されることになっています。
しかし、ルールや優先関係だけでは交通全体の安全と円滑は実現できません。
交通全体の安全と円滑を実現するために、ルールとは別に推奨されているものがあります。
『譲り合い』です。
道路は喧嘩するところではありません。
自分が譲れば交通がスムーズになるなら、わざわざぶつかりに行ったりせず、譲り合うべきではないでしょうか。
そもそもなぜ彼らは左側を走らず、延々と右側を走るのでしょうか?
本来、車はキープレフトするのがルールとなっています。走行する時には左側を走り、追い越しやもうすぐ右折をする時にのみ右側を走行するのがルールです。
しかし普段見ていると、キープライトをされるドライバーさんが非常に多いです。一瞬たりとも左側は走らず、延々と右側を走行されています。
左側は基本的に走る車線、右側は一般道であっても追い越しをするための車線です。左からの追い越しが交通違反になってしまう以上──
つまり、左側を走る車は譲っており、右側を走る車は譲られています。
左側は脇道から出てくる車がある等、走りにくいので右側を延々と走る──あるいは路駐の車を避けるのが面倒くさいので延々と右側を走る──
そういうこともあるでしょう。
ただ、路駐の多いところなどでない限り、左車線が走りにくいとは私は思いません。いつも基本的には左側しか走りません。
左側が走りにくいのだとしたら、それは『けっして譲らないキープライトマン』がいるからに他なりません。
右側を延々と走っていても譲り合いのできる車なら邪魔ではないですが、『けっして譲らないキープライトマン』はルール通りにキープレフトしている車にとって、非常に邪魔なのです。
『けっして譲らないキープライトマン』は、自分は一方的に譲られる側であり、譲る気はさらさらないのだと思われます。自分だけが気持ちよく、誰にも邪魔されずに走りたい。
それでいて、自分がキープレフトしていない、あるいはキープレフトする技能がないことは棚にあげて、自分の前に車線変更されたら腹を立て、SNSに晒して『ざまぁ』する──
はっきりと、おかしいです。
ちなみに私がたまたま右側を走っている時に、左から車線変更してくる車があったら、アクセル操作で2km/hほどスピードを緩めます。
それだけでとてもスムーズです。私の後ろにブレーキを踏ませることもありません。
『あ! ここだった!』みたいに、いきなりハンドルを右に切りながらウィンカーを出してぶつかるぐらい直前に入ってくるバカ車にはさすがにクラクションを鳴らしますが、そんなのは月に約2万kmを走る私でも、年に3台ぐらいしか見ません。
大抵は予測がつきます。前に路駐があるとか、急に左折車線に変わるとか、あるいは子どもが前に飛び出してきたのが見えたとか。
そんな場合でもキープライトマンは腹を立て、アクセルを踏んで突っ込んでいき、譲っていれば踏まなくてもいい急ブレーキを踏まされて、『あいつが悪い!』とSNSに動画を晒してらっしゃいます。
救いはそういう動画には必ず投稿主批判のコメントが多くついていることですが──
とにかく最近、やたらとよくこういう動画を目にします。
キープレフト、譲り合いをしませんか?
行き過ぎた優先意識、行き過ぎた正義感は煽り運転に繋がるものですよ?