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011話 冒険者を助けるのです

「あれだけの人数を捕らえたのじゃ。盗賊どもの尋問には数日かかると隊長が言っておった。妾が追っておる犯人とは違ったようじゃったがの。それでも、せっかく近くまで来ておるのじゃ。少しジンジャー村に立ち寄って、経過報告をしてもよろしいかの?」


「うん。きっとマオちゃんの父さんと母さんも喜ぶよ」


「ジンジャー村に行くのです」


 メルトルーの町の北にある山で盗賊団を捕らえ、妾たちは下山した。

 そして、町には向かわずに北西へ行く。


「あちゃー。こりゃ酷いな」


 ジンジャー村が見えてきた。

 焼け崩れた家々の残骸が痛々しく並んでおる。


「本当に酷いね。こんなことをした盗賊団って、絶対に許せないよ」


「悪人は、我が見つけだしてやるのです」


「さてと。村の中を見ることは構わぬが、勧めはせぬ。夢に出るほどの惨状じゃでの。少し長くなるかもしれぬが、ここで待っててくれるか」


 皆には村の入り口で待つように伝え、妾だけ村の中に踏み入る。

 襲撃事件から日数が経っており、焦げ臭さは減少しておる。

 それでも、地面に残る黒い斑点を見ると、そこに横たわっておった村人のことを鮮明に思い出す。


「この瓦礫の山が妾の家……」


 今世における妾の生家は、無惨な姿になっておる。

 目を閉じると、ここで過ごしたごくありふれた日常が脳裏に甦り、涙が一筋流れ落ちる。


『お姉ちゃん、今年もいっぱい実ったっちゃ。お姉ちゃんの言う通りにするだけで、村中、大豊作だっちゃ!』


 畑の中で、実った野菜を手にして喜ぶ妹メルリーの姿。

 妾は前世の知識を使って、この村を発展させた。

 ただ、そのときは知識のみを先に思い出しており、妾自身が魔族の国ジャジャムの王だったことは思い出してはおらなんだ。

 妾の言葉遣い「なのじゃ」も自然と前世のものが出ており、魔王としての記憶が戻る前から使っておったのじゃ。

 メルリーは、敬愛する妾を真似ようとして「~っちゃ」と言うようになった。「なのじゃ」は発音しにくかったみたいでの。


『植える場所を変えただけで、こんなに実っちゃうなんて、本当に不思議だっちゃ!』


 ジャジャムには農業に適した土地はほとんどなく、ごくわずかな土地でいかに多くを栽培するか研究が進んでおった。

 輪作障害などの知識は、向こうでは常識の事柄で、妾はそれをここで再現したに過ぎぬ。


『近くに川をつくれば、井戸から汲まなくてもいいんだっちゃね。すごいっちゃ、お姉ちゃん!』


 この村は、川からは遠い。それは、治水が進んでおらず、ひとたび大雨が降ると川が氾濫するからなのじゃ。じゃから、畑に撒く水であっても、井戸水を利用しておった。

 それで妾は、遠くの川から用水をひき、畑に利用できるようにした。

 もちろん、大雨が降っても氾濫しないよう、川幅や深さ、高低差に十分配慮し、水門も設置した。

 毒沼だらけのジャジャムでは水は大変貴重で、灌漑については古くから重要視されておった。

 妾はその知識を使っただけなのじゃ。

 それに、ここはジャジャムと比べれば大層肥沃な土地じゃ。

 土壌改良の知識も動員してジンジャー村での耕作適地を増やし、収穫量は年々向上しておった……。


『お姉ちゃん、将来、村長さんになるっちゃね!』


 村を発展させた妾は村人全員から一目置かれ、尊敬されるような存在じゃった。

 それで、将来、ジンジャー村の村長になると宣言しておったのじゃ。

 なに。当時の妾は、突飛な知識のことを天から与えられた才能だと思い込んでおり、前世の知識だとはさっぱり思っておらなんだがゆえ、少々天狗になっておったのやもしれぬ。


「しかし、どんな知識があろうとも、妾は両親と妹を助けることができなんだ……」


 再び目を開き、瓦礫の山を見る。


『おねえ……、ちゃん』


 燃え盛る屋根の下敷きとなった妹メルリーの姿が重なり、それを助けられなかった己の無力さが、黒い後悔の念となって心を締めつける。


「あのとき、今の力があれば、助けられたやもしれぬ。でも、遅い……。もう遅いのじゃ……」


 今は魔法が撃てる。いや、あのときにも撃てたのじゃが、それは今とは比べ物にならぬぐらいに貧弱じゃった。

 そうじゃ。墓前で魔法を披露し、供物の代わりにしてやるかの。


 家の裏だった場所に行く。

 土を盛り、石を重ねただけの墓。その前に立つ。


「父上、母上、メルリー。妾は村を出て見違えるように強くなった。この力で、必ず盗賊団を潰してみせるのじゃ。すべてを焼き尽くす魔王の炎、メガ・ファイア!」


 村の外に向かって火球を撃ち……、


「おおぅ! 貧弱な魔法に戻ったのじゃ!?」


 昨日までは、頭の大きさぐらいの火球を撃てた。

 それなのに今は、親指の先ぐらいの火球が飛んで行った。

 それは、この体になって初めて発動したときと同じ大きさ。

 戦いの勘が戻って火球が大きくなっておったのなら、今ここで劣化するはずがないのじゃ。


「スティックを手に持ってなかったからなのかの?」


 今は素手で発動した。

 異次元迷宮で入手したスティックを魔法収納から取り出し、右手に持つ。


「気を取り直して、メガ・ファイア! むう……」


 拳ほどの火球が飛んで行った。少し大きくはなったが、頭の大きさには程遠い。

 なぜなのじゃ?

 もう一度発動しても、やはり拳の大きさ。


「この村には、魔法を弱める地勢でもあるのかの? そのような事象が起きる土地が存在するなど、聞いたこともないのじゃが……」


 前世の知識をもってしても、魔法を弱める土地など、見たことも聞いたこともない。


「とにかく、妾は強くなった。必ずや、この村を襲った盗賊団を見つけだし、ギッタンギッタンにしてやるのじゃ。それと、メルリー。王都ポワテに行く約束、果たせなくてすまぬのじゃ……」


 メルリーが大きくなったら、王都ポワテに一緒に行く約束をしておった。

 王都に行けば、甘いお菓子、おいしい食べ物、可愛らしい服など、いろいろな物が手に入ると行商人から聞いていて、メルリーは王都に憧れておった。

 今となっては果たせぬ約束。前倒しして連れて行ってやるのじゃった……。


「では、天国で安らかに過ごすのじゃぞ」


 墓の前を去り、村の入り口へと戻る。

 仲間がそこで待っておる。


「待たせたのじゃ。用事は済んだのじゃ」


「うん。じゃあ、戻ろうか」


「それでは、行きますよー。フラワーテレポート♪」


 ピオピオの魔法でメルトルーの町に戻った。

 これは、見覚えのある花が咲いておる場所に転移できる魔法で、盗賊アジトに行く前に町の城壁の外に植えておいた花のもとに、飛んだのじゃ。

 別に、領主館の花壇の中に飛ぶこともできるのじゃが、それでは衛兵に捕らえられてしまうからの。それに、妾たちが植えた花には長持ちするよう持続系の魔法をかけてあるゆえに、枯れる心配をせずに戻れるのじゃ。


「今日はこれで宿に泊まって、明日はお金を稼ぎに依頼を受けに行こう!」


 宿に泊まり、翌朝。

 冒険者ギルドに行ってコボルト討伐の依頼を受け、町を出る。

 東の森におる、犬顔で二足歩行の魔物コボルトを三体狩れば依頼達成じゃ。

 ジャジャムは遠い。討伐依頼をこなして金を稼いでおかねば、路銀はすぐに底をついてしまう。まあ、領主による盗賊団の尋問が終わるまで他にすることもないしの。


「あの森じゃな。サーチ」


 森の入り口付近を魔法で調べる。

 うーむ。コボルトは近くにはおらぬようじゃな。

 少々森の中に入り、再び魔法で周辺を調べると。


「おお? 誰かが魔物と戦っておる。む? 冒険者らしき者と魔物の位置が重なったのじゃ」


「重なっているって、どういうことなんだ?」


「冒険者を示すマーカーは消えてはおらぬ。両者ともに同じ場所で生きておるということじゃ。例えば、魔物に掴まれておるとかかの? それでも重なりはしないと思うがの」


 そもそも妾もこのような事態、初めてなのじゃ。正確な説明などできぬ。


「それは大変だよ! 助けに行かなきゃ!」


「どっちなのです? すぐに行くのです!」


 妾たちは魔物に襲われておるであろう冒険者を救うため、北東へと向かった。

 木々を抜けて行くと、開けた場所で、倒れた冒険者たちを踏みつけておる四つ足の魔物の姿が見えた。


「あれはイビルディア、鹿が凶変化した魔物じゃ。凶変魔物は大変危険じゃから、心して掛かるのじゃぞ」


 凶変魔物とは、瘴気を吸い込むことで突然変異した魔物や動物のことじゃ。

 凶変化することで、元の魔物や動物よりもずいぶん強力になっておることが多い。攻撃方法も大きく変わっておるゆえ、油断はできぬ。こやつの場合、鹿とは思えぬ攻撃をしてくることであろう。

 実際、鹿とは思えぬ太い足で倒れた冒険者たちを踏みつけておる。背丈も鹿より高い。


「まだ間に合うのか?」


「間に合わせるのです!」


 レティシアが意気込んで盾を構え、イビルディアを挑発する。

 まだマーカーが残っておるゆえ、冒険者たちは死んではおらぬじゃろうが、助かる保証はない。ただ、妾たちが見捨てれば助かる可能性がゼロになるだけじゃ。


「みんな、力を合わせて助けよう!」


 エムも、他の冒険者がやられておる現場は見過ごせないようじゃの。率先して飛び出しおった。

 イビルディアは冒険者の上から降り、レティシアの挑発に乗って走り出す。盾技で標的がレティシアに固定されたようじゃ。


「ピオピオや。防御が上がる旋律を奏でるのじゃ」


「はーい。ディフェンスアップの旋律、ご清聴ください♪」


 倒れておる冒険者たちも味方だと認識すれば、防御力を上げることで、生き残れる可能性が少しでも上がることじゃろう。


「う……。たす、け、て……」


 イビルディアの踏みつけから解放され、妾たちに気づいた冒険者。

 あの顔は、見覚えがあるのじゃ。血まみれでボロボロな状態となって倒れておるから確証は持てぬが、たしかあれは妾を解雇した冒険者パーティー「浮雲の集い」のリーダーに違いないのじゃ。他に倒れておるのは、その仲間じゃろうの。


「お主のパーティーが勝てなかった魔物。妾たちで太刀打ちできるかは分からぬが、善処する。神にでも祈っておれ」


「ア、アンタは、あの、と、きの……、ヘッポコ、屁魔王……」


「逃げて……。ヘッポコ、さんは、道づれ、に、なるだけ、だわ……」


 弓士のほうも妾に気づいたようで、妾のことをヘッポコ呼ばわりしておる。


「ヘッポコヘッポコとうるさいのう。ヘッポコでも、これを見過ごしては、夢見が悪かろうて。すべてを焼き尽くす魔王の炎、メガ・ファイア」


 距離のある状態のまま撃ち出した火球。

 およ? 頭ぐらいの大きさじゃの。勢いが復活しておるのじゃ。

 やはり、ジンジャー村周辺の地勢がよくなかったのかの?

 いや、違うのじゃ。以前、こやつらのパーティーに加入したときにも、この周辺で魔物と戦ったのじゃ。あのときは、親指ほどの火球じゃった。

 違いはスティックかの? 今は異次元迷宮で手に入れたスティックを装備しておるからの。


「我が救ってみせるのです! 窮地にある弱者を救うことこそが師匠の教えなのです!」


「倒れた冒険者をいじめる悪い魔物は、私が退治するよ!」


 尻にミリアの投げた短剣が刺さり、首に妾の火球が当たり、さらに攻勢に出たエムに切り刻まれて怒り狂っておるイビルディア。前足で頻りにレティシアの盾を踏みつけるように蹴り、頭を大きく振ってツノを見境なしに当てようとしておる。


「もう一発じゃ。メガ・ファイア!」


 スティックをしまい、手の平から魔法を発射した火球は拳大で、イビルディアの右肩付近に命中した。


「スティックを使わなくても、ジンジャー村のときよりも大きな火球なのじゃ。原因は、戦いの勘だったのかのう。いや、地勢の影響なのかのう……。考えれば考えるほど矛盾するのじゃ」


 戦いの勘の影響なら、ジンジャー村でも大きな火球が撃てたはずじゃ。

 地勢の影響なら、以前ここで戦ったときと同じ、親指大になるはずなのじゃ。それにスティックの影響を重ねてみても、拳大どころか、親指大になるはずであろう。

 うーむ……。


「行くぞ、ダブルスラップ!」


 妾が考え事をしておる間に、ミリアがハリセンで往復ビンタを浴びせた。

 イビルディアの首が大きく左右に振れ、一瞬意識が飛んだようじゃが、倒れ伏すことはなかった。なかなかタフな魔物よのう。

 すぐにレティシアに向かって攻撃を再開した。


「やあ! このレイピアはよく刺さるからね!」


 レティシアがイビルディアの前足蹴りラッシュを盾で受け続けておる。その両脇から飛び出したエムのレイピアとミリアのハリセンが、イビルディアの横腹に傷を負わせる。


「きゃあ!」


 体に傷がついたことで頭に血が上ったのか、イビルディアはその場で前足を軸にして回し蹴り。


「いててて……。防御力が上がってなかったら危なかったぞ」


「そうだよ。ピオちゃんお手柄だよ」


 続けてレティシアに尻を向けた状態から思い切り後ろ足を伸ばしての蹴り飛ばし。


「ぐほっ」

「ぬおっ」


 妾は、盾ごと蹴られて飛んで来たレティシアに巻き込まれ、二人で後方に転がって行く。


「はぁ、はぁ……。これしきのことで、へこたれ、ないのです。今のは少し油断した、だけなのです。今度は我から行くのです。窮地にある者を絶対に救って見せるのです!」


 レティシアは息を切らし、血を流しながらも起き上がると、盾を構えて突進した。あの蹴り飛ばしで妾たちがこの程度の軽い傷で済んでおるのは、ピオピオのおかげじゃな。

 イビルディアは走り寄せるレティシアを脅威と感じておらぬのか、尻を見せたまま、再び後ろ足で蹴り飛ばそうと力を溜めておる。


「隙あり!」

「ガラガラだよ!」


 動きの止まった魔物など、ただのサンドバッグ。

 エムとミリアが両側面から攻めかかり、それにより溜めておった力が抜けたところにレティシアの盾技シールドバッシュが尻を捉えた。


「すべてを焼き尽くす魔王の炎、メガ・ファイア。……レティシアよ。剣で切りつけるのはダメで、盾で殴るのはアリなのじゃな?」


 妾はスティックを握り、頭ほどの大きさの火球で追撃し、そのままレティシアに問うた。


「シールドバッシュは守りの一環なのです。だからセーフなのです」


 火球がイビルディアの背中を焦がす。熱く、そして痛かったのであろう。イビルディアは何度も高く跳ねておる。


「危ないのです。イージス!」


 イビルディアがこちらに向き直った瞬間にレティシアが盾技を発動し、盾の有効範囲を広げた。

 その透明な盾をイビルディアは前足で蹴って宙に高く跳び上がると、空中で顔を下げ、枝分かれするようにツノを鋭く伸ばし、急降下する。


「おわっ」


 広がったツノのうち、前方のものはレティシアの広がっておる透明な盾で防いでおるが、残りはそれから逸れるような形でミリアとエムに襲い掛かる。

 ミリアは右に大きく飛んで避け、前方に転がって立ち上がりざまに短剣を投げた。

 エムのほうは、盾で受け流し、レイピアで迫るツノを裂きながらの後方ステップで難を逃れた。


「弱点が丸見えなのじゃ。メガ・ファイア!」


 後方におることでツノが届かなかった妾は、冷静に火球を撃ち出した。


「勇者の技で成敗するよ! プリムローズ・スプラッシュ!」


 火球が頭頂部に着弾するのと同時に、エムが側面に急接近し、赤や黄色、紫色の花びらを撒き散らしながら素早く無数にレイピアを突き出す。イビルディアはハチの巣状態じゃ。


「やったか」


「我らの勝利なのです! 師匠の教えを完遂できたのです!」


 イビルディアは倒れて魔石に変わり、周辺の脅威は去った。


「おい、大丈夫か?」


 ミリアが倒れ伏す冒険者の傍に寄り、片膝をついて状態を確認する。


「あ、ありがとう……、ぐっ」


 起き上がろうと地面に腕を立てた「浮雲の集い」のリーダーは、痛みに耐えかねて再び伏した。

 残る三人、すなわち弓士と回復魔法使い、それと妾の代わりに雇ったであろう攻撃魔法使いは、なんとか起き上がり、地面に尻をつけて座る状態となった。


「ヘッポコさん、いいえ、立派な魔法使いさん。ありがとう、助かったわ。あ、あなたのこと、みくびって、悪かったわ」


「やっぱり、人は見かけによらないのです。偉大な魔法使いマオリーさん、これまで悪く言ってごめんなさい。そしてその仲間の方々。助けていただき、ありがとうございました」


 認めてもらうために戦ったのではないのじゃが、このように感謝されると、少々こそばゆいのぅ。


「あれ? マオちゃんの知り合いだったの?」


「まあ、人生には出逢いもあれば別れもあるということじゃ」


「よく分かんねーな」


 それから回復魔法使いが、伏しておるリーダーにヒールをかけて起き上がれるまでに治した。時間が経過することでマナ切れ状態が解消されたのじゃろうな。

 ただし、治ったのは表面上の傷ばかりじゃ。骨折などの重傷はもっと強力な魔法を使わねば治らぬ。

 妾たちは、なんとか立ち上がった「浮雲の集い」の者どもに肩を貸し、町に向かって歩き出した。

なっしんぐ☆です。

ポイントを入れていただき、ありがとうございます。

ボッチな なっしんぐ☆にとって最大級の推進力になっています。

よーし、書くぞー!


お、作者のやる気が5上がったぞ。


この勢いで、妾の強さも上げてくれると助かるのじゃがのう。


今回、マオちゃんは活躍できてたよ。名誉挽回だよね?


我のほうが活躍したのです。我を称えるのです!


レティさんを称える曲、リクエスト入りました♪ ポッポロリン♪

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