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戦国天神伝~神騙りスローライフ~  作者: 菅原暖簾屋


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作付けと金策の正常化

 二〇二二年(令和四年) 七月初旬 愛知県 十川廉次


 さりとて、季節は巡るもので、武田の大暴れにかまってばかりではいられない。遠くの殺人より近くの生活、あちらの世界では田畑を耕す季節になっているのだ。というわけで、よくお世話になっているホームセンターのメガミスモで、俺は畑仕事用の道具を見繕いに来たのである。


 今日買い求めるのは耕運機、散水機、自動運搬車、セルトレイに野菜の種と肥料だ。肥料に関しては事前に電話して山のように仕入れてくれており、後日配送してもらうので今日は金を払うだけ。他の道具はカタログを参照して目ぼしいものにチェックを入れているので、店員さんに具体的な説明を聞くだけ。つまり、ミスモの店舗で決めるのはあちらで栽培する種の種類。これだけだ。


 いつものスーパーのショッピングカートより二回りほど大きいカートに事前に狙っていた手動式の散水機を三つ載せ、店員さんと相談して決めた耕運機と自動運搬車を取り置いてもらい、目的の種苗ゾーンにたどり着く。ラックに飾られた種たちを見ていると、なんともまぁ、ぶっとんだ名前の多いこと多いこと。うげ、トマトの品種なのに神の生き血なんて名前つけてんなよなぁ。


 さて、今回の種まきで育てる予定の春まきの作物たち、天神領の南側、つまり孫三郎たちに任せている地域はトウモロコシを集中して育て、俺の目が届く範囲の北側は様々な種類を少しずつ育てるつもりだ。理由は一つ、治め始めて間もない南側にあちらでは希少な種を渡すと何が起こるかわからないから。トウモロコシが収穫できると製粉して日持ちする食料にすることができるというのも大きな理由ではあるが、それ以上にまだ彼らを信用はできない。

 俺に土地を寄進するにあたって、寄進地にある寺社や土豪で悪評の立っている者たちは弾正忠家が秘密裏に『掃除』してくれているので、そこまで心配することではないのだが、それでも美味しい餌が転がっているとコロりと腹を見せるのが人というものである。しばらくは様子見だ。


「はい、お会計が九十八万と七千円ですね」


 ちょっと財布のひもが緩みすぎている。もう少し自制しなければな……





 買い物も済ませて、家でゴロリの休憩中。配達は明日にしているのでゆっくりとした後、軽自動車に積んで帰ってきた道具だけを車庫に置く以外は今日はもう何もする気はない! 煎餅と茶を啜ってしょうもない情報番組でも見流すのだ。

 ところで、あちらも大事だがこちらでの生活も大事である。こちらでの俺の世間的な評価はいわゆるプー、無職の成人男性で収入がないと思われている田舎で引き継いだ土地を持った脳無しと言ったところだ。最悪だな。

 このままではまずい、というより金などを売った収入が誤魔化せなくなるのでペーパーカンパニーを作ることにした。これはジャンヌさんからの提案で、金などを売りさばくつもりならば俺の持っている裏山から採掘されたことにして、そこから税金を払えば痛い腹を探られなくなると以前の行いを正論で正されたのである。本人はウチの婆さんにも似たようなことを言ったと溜息を吐いていた。氏より育ちというが俺は氏も育ちも婆さんだからな、似通ってしまったのは申し訳なく思う。


 そんなペーパーカンパニーを作るにあたって、金属を精錬しなおしてくれる会社をジャンヌさんが紹介してくれた。つーか、彼女の経営する会社の傘下らしい。銅や銀、金や真鍮にプラチナまで精錬して買い取ってくれるとのことなので、俺の金策はとりあえずだが安定する目途が立った。もうすぐ信秀たちが集めた金を渡してくれるらしいので、諭吉の左団扇で札束の海で豪遊ってなもんよぉ!


 と、そこで俺は思いつく。銅も買い取ってくれるということは、天神村で腐っている永楽銭も買い取ってもらえるかもしれない。完璧な計画を思いついた俺は急いで立ち上がろうとして、


「明日でいいかぁ」


 畳の上に再び寝転がるのであった。やる気のない男にとって一日の行動はコスト制なのである。



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