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戦国天神伝~神騙りスローライフ~  作者: 菅原暖簾屋


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宴会を終えて広がる領地

 一五二八年(享禄元年) 十二月下旬 尾張国 天神領 十川廉次


 宴会という名の堅苦しい飯会から数日、俺は屋敷でゴロゴロしていた。やる気が、出ないのである! 何故ならもう今年分は働いたから!

 あの日、飯会から俺と山科が抜け出しサッカー勝負をしようとメンバー集めに宴会場となっている評定の間に向かうとそこは地獄絵図だった。半ケツの爺や全裸の若人が床の上に転がってたからな。俺と山科はこりゃ駄目だと、信秀に許可をとって小姓に参加してもらいフットサルに変更。ルールや球に慣れてもらい、いざ試合開始をすると意外と山科が上手くて苦戦。最終的に四対五でギリギリ勝利したが、何か一つ違えばボロ負けしていた。冷静に考えたら車やら電車やらで日頃大して運動してない現代人が、基本的に徒歩移動の戦国時代の人間に足腰の強さで勝てるわけないよね。はっはっは。

 そんなわけで山科に金を実際に見せつけて、なおこれは弾正忠家のもので城まで持ち運ぶのが面倒なので立て替えてもらったが既に返済済み、実物があるとわかった山科は意気揚々と各所に文を送った。内容は帝の即位式を来年執り行うので戦をやめろ、破った場合は朝敵とみなす、を雅な言葉で修飾した実質脅迫文だ。これで来年の即位式までは大きな戦は中止となるだろうな。細川のバカ二人も朝敵認定されたら一気に不利になるので下手に動けないはず。

 問題はといえば、俺と織田弾正忠家が目立つことかな。足利やら細川やらが金の無心に来かねない。山科が文の追認ついでに帝へ弾正忠家と天神村を守るための権威をくれるように頼んでくれるそうだが、それもどこまで役に立つやら。

 信秀には悪いことをした。まだまだ牙を研ぎたかっただろうが、この話が周りに広がると主家の大和守家に睨まれる。戦の準備がしにくくなるはずだ。


 はい、真面目な話はここまで。もうすぐ正月だが、まだ来てもいない来年の話をしてもしょうがない。今の村の状況をまとめよう。

 まず天神村の領地が増えた。約束通り信秀が蟹江の手前までを寄進地としてくれた。それに伴い、寄進地を天神領として俺が統括し、サポートとして織田弾正忠家から信秀の実弟である孫三郎とその家臣が出向してフォローをしてくれることになった。

 実質的な監視だが、まぁ、これだけ大きな領地になったしな。反抗を考えると目がある方がお互いに気にせずに活動できる。

 次に領地が増えたことで養わなければいけない住民が増えたこと。四百人と少しだった天神村にいきなり千二百人近くの人間が増えたんだ。保存庫に貯蓄しておいた食料がすごい勢いで目減りしていく。冬だから作物なんて大根ぐらいしかとれないってのもネック。現代からの輸入で預金が減っていきます。悲しい。


 そういえば領地を寄進してきた信秀だったが、それとは別に取引のお礼として黄金や刀を用意してくれているらしい。正月までに準備すると言っていたが、なるべくなら早くしてほしい。結構出費が手痛いのでさっさと刀を現金にしたいのだ。







「準備できました兄御」

「よし、餅つきやるぞおめーら!」


 わぁああ、と住民たちの歓声が周りを包む。この時代の餅は高級品だからな、人心をつかむにはこれが一番。そのために孫三郎と自来也に俺、そして護衛の兵たちはクソ寒い中、新たに傘下に入った村々を慰撫するために毎日各村を回って餅つき大会をしている。今日で四村目、毎日餅つきは飽きてきたな。


「十川、思ったより人数が多いぞ」

「計算違いだな、戸籍との引き換えだから足りないと困る。急いで竈を増やしてもち米を蒸してくれ」

「わかった。こういうときにこのマッチというのは便利だな」

「弾正忠がしこたま買い込むぐらいだからな」


 主に軍需品として。性能を確認して一瞬で戦につなげられるのは凄いよアイツ。

 ……ん? 竈を新しく組んでも他の竈から火をもらえばいいだけだよな。孫三郎の野郎、マッチを使ってみたいだけだな。別に安いもんだから構わんけどさぁ。


「兄御、なにをつけられます?」


 自来也がつきたての餅を俺に持ってきた。正直、四日目の餅は辛い。だが、村の支配者としての建前上食べないわけにはいかないので大根おろしをのせていただく。

 おいしいけどさ、身体が拒否してくるわ。体重計に乗りたくない。



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