表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

白猿さんと子狸くんのお茶会

その事実はつゆしらず

うどんに入っている汁は、関西では色の薄い『うどんだし』で関東では色の濃い『めんつゆ』がよく使われます。『だし』と『つゆ』の違いをご存知でしょうか。

江戸時代、関西ではミネラル分の少ない軟水を使い、昆布から旨味を抽出した『だし』が作られました。

火山灰の多い関東の水は昆布のだしが出にくい硬水でした。

そこでカツオブシと濃口醤油をつかった『つゆ』がつくられました。

大阪で昆布だしが使われたのは、江戸時代の西回り航路の影響もあると言われています。

北海道の昆布が日本海から九州を経由して運ばれ、大阪には江戸よりも早く届きました。

 その森ではマタタビの木が白い花を咲かせていた。

小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。

二人の間にあるお皿には、梅を模した外郎(ういろう)があった。

皿の横には湯気のあがる湯呑(ゆのみ)も置かれていた。

 

挿絵(By みてみん)

「んとね。白猿さん。地上界の日本では、6月に雨がよく降るの」


挿絵(By みてみん)

梅雨(つゆ)の季節だからな。北からの冷たい空気と南からのあたたかい空気がぶつかって、前線(ぜんせん)という境界線のようなものができるんだな。そこは雨が降りやすい。6月ごろには梅雨前線というのが日本上空に居座って、長期にわたって雨が降りやすくなるんだ」


挿絵(By みてみん)

「梅の雨って書いて『つゆ』って読むんだよね」


挿絵(By みてみん)

「『ばいう』とも読むぜ。もともとは(カビ)が多い季節で『黴雨(ばいう)』と書いたらしい。いいイメージじゃないので、梅の実が熟する季節で『梅雨(ばいう)』に変えたみだいだな」


挿絵(By みてみん)

「そうだったんだ。じゃあ『つゆ』は、雨の水のことかな」


挿絵(By みてみん)

「つゆの語源は、湿っぽいという意味の古語で『(つゆ)けし』とか、湿気で食べ物が痛む『(つい)ゆ』からきたって説があるな」


挿絵(By みてみん)

「さっき言ってた梅雨前線のせいで雨が降り始めたら『梅雨入り』で、梅雨前線の影響がなくなったら『梅雨明け』になるんだよね」


挿絵(By みてみん)

「厳密にいうと少し違う。日本の気象庁は、それまでの天気と一週間ぐらい先の天気を見越して、雨の日が続くことが予想されたら『梅雨入り』を発表するんだ。逆に雨が多い状況から晴れが多い予測ができたところで『梅雨明け』が発表される。住民の感覚とズレがあるかもな。『梅雨明け』の宣言が出されなかった年もある。8月に梅雨明けしなかったら、今度は台風シーズンだしね」


挿絵(By みてみん)

「『つゆ』ときくとお味噌汁を思い出すの」


挿絵(By みてみん)

「たしかにみそ汁が『おつゆ』と呼ばれるな。地域によってはスープとか汁物全般がおつゆと呼ばれることもあるぜ」


挿絵(By みてみん)

「んとね。僕、梅雨って梅干しを作る時期だと思ってたの」


挿絵(By みてみん)

「間違っちゃいないぜ。だいたい6月前半に収穫して、6月後半から梅干しづくりを始めるみたいだ。ただ、天日干しは晴れた日を選んでやんないとな」


挿絵(By みてみん)

「んとね。梅の実は生で食べちゃいけないって聞いたの」


挿絵(By みてみん)

「うん。梅の実には青酸っていう毒物があるんだ。まぁ、1個か2個たべただけで体調をくずすことはない。種の方は実の十倍ぐらい毒があるから注意だな。でも、梅干しを作る過程で毒は抜けるぜ」


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

「生で食べない方がいいってことだね」


挿絵(By みてみん)

「もし知らずに生の梅の種を大量に食べると、腹痛や下痢、吐き気や呼吸困難などの症状で、最悪は死に至るかもな」


挿絵(By みてみん)

「うわ、結構怖いんだね」


挿絵(By みてみん)

「それに『梅の毒』で救急搬送されると、『梅毒(ばいどく)』っていう伝染病と誤解されるかもな」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アホリアSSの別作品はこちら
新着投稿順
人気順
― 新着の感想 ―
[良い点] 梅雨について、色々な知識を学ばせて頂きました。 植物の梅とは無関係なのかなとなんとなく思っていましたが、あながち無関係というわけでもないのですね。 「梅干しにすれば毒は抜ける」と発見した人…
[一言] 北前船! ですねー。 富山に行った時、岩瀬の豪商のお屋敷とか見ました……。
[一言] 盛り沢山でつゆだくな感じの内容でした。 情報の種類は豊富なのに タイトルから 締めの言葉まで 一貫して「つゆ」に関するお話ってところも また凄いですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ