#008 荒れる国内に怒り狂う王
レクトたちが国を出て行ってから数日後。
彼らの祖国はとんでもない状態に陥っていた。
突如として大量のモンスターが国を襲ってきたり、疫病が流行したり、極悪な事件が頻発したりして、国内はそれはもうえらいこっちゃな大惨事に見舞われていた。
「ええい! 騎士団長! 早くなんとかせぬか!」
玉座の間では、日夜国王の怒号が飛び交っている。
「貴様の仕事だろう! こんなことも解決できんとは、貴様もレクトと同じ無能なのか!」
「いいえ! 決してそんなことはございません! 国王陛下!」
国王の前で頭を垂れるのは、騎士団長ベンズ。
レクトを追い出し、立場を奪った男。
しばらくは美味しい汁をすすっていたベンズだったが、少しずつ状況は悪化していった。
過去に類を見ない災厄の応酬。
その対処に手一杯になっていたのだ。
「しかし現在の我々では、これだけの仕事量をこなすことはできません! もう少し人員と資金を!」
「ええい、黙れ!」
ドンッ!
「甘えたことを言うな! レクトはこんなことで弱音は吐かんかった! しかも貴様は大勢の部下を連れてこの成果だが、レクトは一人でこの程度の仕事は片付けていたぞ!」
国王の言葉を聞いて、唖然とするベンズ。
一人でこれだけの仕事をこなしていただって?
そんなもの人間技じゃない……。
「レクトにできていたことをできぬなど、貴様は無能以下ではないか! ベンズ!」
聞いて、ベンズの中の何かが切れた。
自分は無能以下?
実力的にレクトに劣っていたのか?
今まで自分が出来損ないと見下してきた、あの男にか?
無表情で愛想もなくてノリも悪くて、協調性皆無のあのクソド陰気野郎に?
既にベンズの自尊心はボロボロになっていた。
おまけに連日徹夜での仕事による疲れ。
肉体も精神もとうに限界を越していたのであった。
もう何も言い返す気力も湧かない。
「役に立たない部下はいらないと言っておるだろうが! さっさとなんとかしろ! 国の問題を全て解決しろ! それまで貴様には休息を取ることすら認めん! 直ちにこの問題を解決できなければ、貴様の首をはねるからな!」
国王の罵声を散々浴びた後、ベンズはとぼとぼと自室に戻っていった。