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#006 追い出された後の生活も意外と余裕でした

 エレノラと二人で森を進む。


 行く当てはない。

 装備も整ってはいない。


 はっきり言って、こんな状態で旅を続けるのは無謀だ。

 普通の人間なら、一日も持たないだろう。


 しかし俺たちは普通じゃない。

 魔術師だ。


「だからこの程度のピンチ、どうってことはないだろう?」


 目の前の巨大な猪を見据えながら、冷静に俺が呟く。


「魔術の基礎ができていれば、なんてことはない相手だ」

「いや、どう考えても無理ですよ!?」


 血相を抱えながらエレノラが訴える。


「見てくださいよあの大きさ! 森に生えている木よりもデカい! そして太い! あんな化け物と戦うって言うんですか?」

「いいや、戦うのは俺じゃない。お前だ、エレノラ」


 聞いて、エレノラがキョトンとした顔で言う。 

 

「私……?」

「そうだ。帝国で俺が教えた魔術、どこまで上達したか見せてくれ」


 言って、俺が一歩後ろに下がる。

 すると慌てた様子でエレノラが俺の胸ぐらに掴みかかる。


「無理ですよぉ! 絶対に魔術で勝てるような相手じゃありませんって!」

「やる前から無理って決めつけるんじゃありません」


 言って、俺がエレノラを猪の目の前へ突き飛ばした。

 涙目のエレノラが、訴えかけるように俺を睨みつける。


「ここで死んだら恨みますからねぇ!」

「問題ない。ここでお前が死ぬはずがないだろう?」


 俺が言うと同時に、猪がエレノラに向かって猛スピードで突っ込んできた。


「ギャー! 来たぁ!」

「落ち着け。落ち着いて魔術の基礎を思いだせ」


 言って、俺が何もない手のひらの上に火球を作り出す。


「魔術を扱う上で必要になるのは、魔力。即ち生命エネルギーだ。このエネルギーは人の体内からも、自然からも生成することができる」


 聞いて、エレノラが右手に持つ杖の先端に魔力を集中する。


「ええい! もうどうにでもなれぇ!」

 

 ボウッ!


 エレノラの杖の先端に、俺の倍以上の大きさの火球が生成される。

 それを猪に向かって放つエレノラ。


「『火球(ファイアボール)』!」


 ドゴッ!


 火球が猪の顔面に命中した。

 怯む猪。


 しかし歩みは止まらなかった。

 一瞬の膠着の後、猪が再びエレノラに向かって突進してくる。


「やっぱり倒せなかったぁぁぁ!」

「攻撃の手を止めるな! エレノラ!」


 後方から一歩も引かず俺が指示を出す。


火球(ファイアボール)の長所は消費魔力の少なさだ! 連続で放て!」

「は、はい!」


 俺の言った通り連続で火球(ファイアボール)を放つエレノラ。

 そのほとんどが猪に命中した。


 怯む猪。

 しかし猪の足を止めるには至らなかった。


「ここまで、か」


 言って、俺がエレノラの前に立つ。


「しかしエレノラ。お前の成長、素晴らしかったぞ」

  

 手のひらを猪へ向け、そこに魔力を集中させる。

 作り出された火球(ファイアボール)は、エレノラの更に十倍。


「充分だ、ここからは俺に任せてくれ」

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