#002 逃亡
無抵抗のままなぶり殺しにされる。
という夢を見た。
時刻は早朝。
場所は王城内部に用意された自室。
寝室のベッドの上で、俺は悪夢から解放される。
「またこれか……」
体を起こし、ため息を吐く。
一体あれはなんだったのか?
あれは俺の見た夢だ。
正確には、俺の能力によるもの。
俺には未来に起こることを予知する能力がある。
つまり、今さっき見た映像は予知夢ということだ。
これから先本当に起こる、未来の映像。
「しかし今回のは酷かったな」
頭を抱える。
あれは今日、これから起こる出来事だ。
なにも行動を起こさなければ、あの未来は決定してしまう。
「長年尽くしてきた王に殺される、か……」
正直、かなり精神に来るものがある。
俺は物心ついた頃から、宮廷魔術師としてこの国に尽くしてきた。
これだけが俺の生きる理由。
ここだけが俺の居場所だと思って生きていた。
だから多少の理不尽は我慢していた。
明らかに俺のことを見下してくる同僚たち。
俺に必要以上の仕事を押し付ける上司たち。
そんな逆境にめげることもなく、俺は仕事を続けてきた。
それもこれも、全ては王へ忠誠を示すため。
それを、あろうことか主に全否定されたわけだ。
自暴自棄にならないだけ、まだ俺の精神は強いと言える。
「と、こうしてる場合じゃないな」
俺は悩んでいる間も無く、早速ベッドから降りる。
このままウダウダ悩んでいたって、俺は殺されるだけだ。
ならば、次に行動すべきことは分かっている。
「よし、逃げよう」
国外への逃亡だ。
このまま国に残っていても、予知夢通りに殺されるだけ。
なら逃げるのが得策だ。
今から反論の材料を揃えようにも、あまりにも時間が足りない。
なので早速、俺は逃げるために準備を開始した。
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