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#001 超絶有能な宮廷魔術師、なにもしていない無能と呼ばれ追放される

 新作始めました! 


 コテコテの追放ざまあテンプレです!

 よろしくお願いします!

「貴様を国家反逆罪で、我が国から追放する!」

「え……!?」


 王城の玉座の間に呼び出されて、俺は突然国王からそんなことを告げられた。


 俺の名前はレクト・スラスタ。

 王族直属の宮廷魔術師として働いている。


 人並み以上の国家に対する忠誠心を持ち、仕事とは誠実に向き合って、数多くの実績を残してきた。

 だと言うのに、まるで家畜を見るような蔑んだ目で国王が続ける。


「我が国に役立たずはいらん! 貴様、仕事中もロクに働きもせずサボっているそうではないか!」


 覚えのない事を、さも事実かのように述べられて絶句する。


 俺が仕事をサボっている?

 そんなことはあり得ない。


 俺は毎日、宮廷魔術師として充分すぎる仕事をこなしてきた。

 否、押し付けられていたのだ。


 誰に?

 上司や同僚、数を挙げればキリがない。


 ともかく俺は、一人じゃとても抱えきれないような仕事をこなしていた。


 しかし俺は優秀だった。

 人の数十倍の仕事でも、パパッと終わらせることができる。


 だから仕事をしていないように見えたのかもしれない。

 だとすれば、証人を用意すれば良いだろう。


 そのことについて俺が国王に意見する。


「お待ちを! 証人なら用意できます! ですから王! 私の話を聞いてください!」


 俺が言うと、国王が苛立たしく椅子を殴りつける。


「黙れ!」

 

 ドンッ。


「言い訳など聞きたくないわぁ! そも、貴様が働きもしない愚図だということは大した問題にもならん! 問題は、貴様らが国家転覆を企てているという点だ!」


 なんだって?

 俺たちが国家転覆を企てているだって?


 いや、あり得ない……。

 少なくとも俺はそんな大層なこと、これっぽちも企んじゃいない。


 魔術師隊のみんなも、国家のためにと喜んで働いているはずだ。

 国家転覆だなんて、そんなデマは一体どこから流れてきた?


 これは早急に調べてもらう必要がありそうだ。


「そんなはずはない! 調べれば分かることだ!」

「黙れッ!」


 ドンッ。

 再び国王が俺の言葉を遮る。


「馬鹿か貴様は! 調べがついているから、こう言ってるんだろうが! 我々は、動かぬ証拠を手に入れている! そして証人もだ! 入ってこい!」


 国王が促すと、部屋の隅から一人の女性が現れる。

 それは俺の婚約者であり、貴族の娘ナターシャだった。


「ごめんなさいレクト。あなたの部屋から、恐ろしい国家転覆の計画書を見つけてしまったの」


 言って、俺に向かって深く頭を下げるナターシャ。


 何を言ってるんだナターシャ……。

 そんなもの、俺は作った覚えがないぞ?


 すると、ふと。


 プフッ。

 

 と、ナターシャが吹き出す声が聞こえる。

 見ると、下を向きながらナターシャは笑っていた。


 何がおかしいんだ?

 俺にはまるで状況が理解できない……。


 更に追い討ちをかけるように、もう一人の証人が現れる。


「国王様! 私からも意見宜しいでしょうか!」


 会話に割って入ってきたのは、若き騎士団長のベンズ。


「ふむ、言ってみろ」


 国王の赦しが出ると、早速ベンズが証言を始めた。


「我々騎士団が調査したところ、この者は敵国と繋がりを持つスパイであることが判明しました」


 だから俺はそんなことは知らない。


 何かの悪い冗談か?

 しかしその場で罪を否定するのは俺だけで、他の全員は俺を悪人と決めつけていた。


「なん……だと」


 怒りでプルプルと手の震えが止まらない国王。

 そして大きく手を振りかぶりながら、国王が言った。


「貴様には追放すら生ぬるい!」


 ドゴンッ!


 そのまま手を振り下ろし、肘掛けを破壊した国王。 

 そして近くに待機する兵士たちに命令を下す。


「即刻! その者の首を刎ねよ!」


 聞いて、十を超える兵士たちが俺の周りを取り囲む。


「お待ちください! 国王!」


 そんな俺の必死の反論虚しく、国王の判断は変わらない。


「うう……」

「かわいそうに、ナターシャ。罪人とはいえ、目の前で元婚約者を殺されるなんて」


 言って、俺に見せつけるようわざとらしくナターシャとベンズが抱きあう。

 当然のように、二人の顔は笑って見えた。


「まさか……」


 それを確認して、俺は察した。


「お前たちが仕組んだのか! 俺を貶めるために! 偽の証拠まで作って!」


 俺は叫ぶが、もう誰の心にも響かない。

 もうやけになって、俺がひたすらに暴れていると。

 

 グサッ!


 その前に、兵士の持つ槍が俺の心臓を貫く。

 続いて、他の兵士の持つ槍が同時に俺の全身に風穴を開けた。


「ゴプッ……」


 俺の口と傷口から大量の血液が溢れ出る。


 ああ、こりゃダメなヤツだ。

 痛みを感じるより先に、意識が遠のく感覚を味わった


 何よりこの怪我と出血では、どう考えても助かりようがない。

 俺はここで死ぬ。


「無様だなぁ、レクト・スラスタ!」


 そんな俺を見下すように、国王が下卑た笑いを浮かべながら言う。


「この私に逆らうからこうなるんだ! あの世で悔いるんだな!」


 その言葉を最後に、俺の意識は完全に途絶えた。

読了、お疲れ様です!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、

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