表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/66

第二十九話 決戦

 俺は古代龍の方へ向かって全力疾走した。古代龍が、次のブレスのチャージをしているのが見える。今度こそはあのブレスを中断させたいところだ。そのためには、神威魔法を超える火力を出す必要がある。


「……我ながらなんて無茶ぶりだ」


 神威魔法でさえ今日初めて撃った。それを超えるとなると今まで到達したことのない領域にいくことになる。俺は、古代龍に敵とみなされることができるだろうか。……いや、やってやろうじゃないか。できなければ村もろとも全滅するだけだ。


 俺は、走りながら魔法の構築をはじめた。属性は雷。そして、光属性を付与した。瞬間火力特化の構成だ。


 やがて、神威魔法が完成した。だが、これではまだ足りない。さらにたくさんの魔力を込め続け、制御する。もっと、もっと火力が欲しい……!


 突然、魔力を集中させていた俺の右腕に、青い光の線が浮かび上がった。それと同時に、魔力量が爆発的に増加する。だが、不思議と制御は瓦解しない。むしろさっきより安定して操作できていた。


 こ、これは……? は、思い出した。イアと初めて会った時にも起こった現象だ。相変わらず発動条件は不明だが、今はすごくありがたい。


 気づけば青い線は右腕だけでなく全身に広がっていた。俺の体が破裂しないか心配になるほどの魔力が、全身から生み出されている。


 もっと、もっと火力を……。俺の体の中で大量に魔力が増えては、制御され、魔法の火力へと変わっていく。


 そして、ついに魔法が完成した。だが、古代龍の方もブレスのチャージが完了したようで、ブレスを吐くモーションに移り、持ち上げた首を前に下ろそうとしていた。早く撃たなければ!!


「くらええええ!!」


 俺が叫びながら右手を突き出すのと同時に、古代龍も口を開き、口内を輝かせた。次の瞬間にはブレスが放たれるのだろう。だが、僅かに俺の魔法の方が早かった。極太の光の柱が、天空から降りてきて、吐きかけのブレスごと古代龍の頭を包み込んだ。


 ゴオオ――――――――


 古代龍の黒い鱗がいくつかはじけ飛び、赤熱しているのが見えた。これはさすがにダメージになったはずだ。また、魔法の圧力により古代龍の口は無理やり閉じられ、行き場を失ったブレスのエネルギーが口内で大爆発を起こした。これが追い打ちとなり、古代龍は頭から地面に落下した。


「よっしゃ!」


 周囲を漂う威圧感が消えていないことから、古代龍をまだ殺れていないことが分かる。だが、これでさすがに注意は向いただろう。


「!!」


 突然、危機感が電流のようにかけぬけた。急いで防御魔法を構築する。全身の青い線が輝き、瞬時に魔法を完成させた。すぐに使用。目の前にできた氷壁に、俺を覆える大きさの火球がぶち当たった。結果は相打ち。氷壁も火球も爆発四散する。だが、俺は余波で大きく吹っ飛ばされた。三十メートルくらい離れたところに俺は風魔法で衝撃をやわらげつつ着地した。


 あっぶねええええ!! 防御に成功してもここまで吹っ飛ぶとは、もし直撃したらと思うと…… しかも、防御もかなりぎりぎり。青い線による補助がなかったら間違いなく死んでいた。


 しかし、俺が攻撃されたというのは喜ばしいことでもある。注意を引き付けるのに成功したということだからだ。後は転移魔法陣ができるまで生き延びるだけだ。……あれ? これ無理くね?


「うっ……」


 古代龍の着地地点から突風が吹いてきた。思わず顔を背ける。それと同時に、巨大な影が昇っていくのが見えた。古代龍が再び飛びあがったのだ。上を見ると、こちらを見下ろす古代龍と目が合った。


 暗くくぼんだ目が表す感情は怒りか、哀れみか、はたまた興味か。しばらく俺たちは見つめ合った。周囲が煙と静寂につつまれる。それによって、古代龍と俺しかいない世界に閉じ込められたように錯覚した。俺は、いつ戦闘が始まってもいいように、魔法の構築を始めた。


 静寂をやぶり、先に動いたのは古代龍だった。口が一瞬発光し、火球が発射される。俺は、用意しておいた氷魔法で迎え撃った。空中で炎と氷がぶつかり、一瞬で蒸発した水により水蒸気爆発が起きた。それが戦闘開始の合図だった。


 古代龍がいくつも火球を吐き出すのが見える。そのとき、俺の体中を駆け巡る青い線が一際強く発光し、世界が遅くなった。大量に増えた魔力を使い、全力で速度強化を使用。俺に迫る火球の波を、限界を超えた速度で回避した。


「こ、これは……!?」


 今、俺の体は青い線によって超強化されていた。今なら神威魔法だろうと連射できる。この状態なら、古代龍との戦いになんとか耐えれそうだ。


 俺の後ろで地面がえぐられるのを感じつつ、光の矢を何本か生み出し、古代龍に向けて放った。だが、それらは古代龍の長い前足による一閃で払われてしまう。一応一本一本が神威魔法なのだが。


 今度は古代龍が全身から魔力の衝撃波をだした。古代龍を中心に地面が吹き飛ばされていく。この攻撃範囲では回避できない。俺は、氷で自分の周りを覆いつくし、防ごうと試みた。


 衝撃波に触れた瞬間氷にひびがはいるのが内側から見える。だが、何とか防げた。あの衝撃波にあまり破壊力はないらしい。


 安心したのも束の間、目の前の視界が真っ黒な影に染められた。氷にさえぎられてよく見えないが、これは……古代龍の前足!? 衝撃波は目くらましか!


「ちっ! 仕方ない!」


 俺は氷の中で大爆発を起こし、氷を破壊しつつ自分を吹っ飛ばした。激痛が体にはしるが、ぎり避けるのには成功。鋭利な黒い爪は俺の肌を掠めて空を切った。


 ドゴー―――ン!!


 古代龍の巨体が勢いよく地面に衝突し、ここら一帯が窪む。もし避けれていなければ今頃俺はお煎餅になっていただろう。その前に細切れにされるが。


 吹っ飛んだ俺はきりもみ回転しながら地面に着地。爆発と着地の衝撃で体が悲鳴をあげている。すぐに回復魔法で癒した。


「ふう……。なんとか生きてるな」


 さっきから放たれる攻撃の威力がいちいち高い。本当に今生きているのが不思議だ。


 土煙の向こうで古代龍が立ち上がるのが見えたので身構えた。改めて近くでみるとめちゃくちゃでかい。あれが生態系の覇者であることを嫌でも理解させられる。


「さて……」


 俺は魔力を操作して次の行動の準備を始めた。


 第二ラウンドの開始だ。


 

 


 

ブックマークよろしく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ