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第二十八話 対古代龍 

 俺の手から放たれた光の矢は、古代龍の下顎に直撃し、その顔を光で包み込んだ。だが、古代龍が未だ空中で堂々と佇んでいるところを見るに、殺れてはいないだろう。せめて、攻撃だけでも中断できていたらいいのだが。


「!!」


 しかし、即座に俺の願いは裏切られた。光から出てきた古代龍の顔に傷がついた様子はない。口の中も依然として光り輝いている。それはまるで、もう一つの太陽のようで……


「まずい!!」


 次の瞬間、古代龍の口からブレスが放たれた。赤黒い炎の波が、村に押し寄せる。家や畑は、その波に触れた瞬間に灰塵へと化し、村が黒煙に包まれた。


 俺は、瞬時に目の前に氷壁を多重展開した。だが、防ぎきれない。炎に触れた先から、氷壁が一枚、また一枚と四散していく。必死に氷壁を追加するも、僅かに供給が追い付かない。徐々に炎の波は俺たちに近づいてきた。覆いつくされるのも時間の問題だろう。


「ぐ、ぐぬぬ……!」


 やがて、氷壁が残り一枚になった。増えていくひびが、死へのカウントダウンのように見える。これはやばい。だが、ここで諦めたら後ろのイア達も死んでしまう。もうちょっと持ってくれ!


 だが、そんな俺の願いも虚しく、最後の氷壁もあっけなく砕け散った。せき止められていた炎が一気に押し寄せてくる。俺たちは炎に包み込まれ……


「やあ!!」


 なかった。イアが、髪留めを使って結界を張ったのだ。炎は一時的に結界に退けられるも、再び迫ってきた。だが、あの髪留めは俺が丁寧に作ったもの。それから作られる結界の耐久性は、即興で作った氷壁とは格が違う。僅かにひびをいれられつつも、炎を防げていた。


「よくやった! イア!」


 結界が炎を防いでいる間に、俺は再び氷壁をだしまくった。やがて、結界は砕け散ったが、そのときには氷壁がさっきの三倍くらい作られていた。炎と氷のぶつかり合いが再び始まる。そして、さすがに炎の威力も弱まってきて、氷壁を半分消し飛ばしたところで収まった。周囲を煙が漂っている。


「はあ……はあ……」


 距離はかなり離れていて、しかも広範囲に分散しているのにこの威力。古代龍はこれを何発も撃てる……とは思いたくない。


「だ、大丈夫か……?」


 俺は後ろのイア達に安否の確認をした。


「う、うん。大丈夫」


「え、ええ、まあ、なんとか」


「だ、大丈夫だ」


 どうやら全員怪我はないみたいだ。一応回復魔法をかけておく。その時、突然強い風が俺たちを横から殴った。


「まさか! また攻撃か!」


 俺はまた氷壁をだした。しかし、ただずっと風が吹くばかりで攻撃らしいものはこない。風によって煙が吹き飛ばされ、変わり果てた村の様子が見えてきた。それと同時に、俺の心配が杞憂だったことに気付いた。古代龍が別の方向にブレスを撃っていたのだ。風はその余波だろう。


 しかし、これは素直に喜べない。まず、古代龍があのブレスを連続で撃てることがわかってしまった。また、俺の神威魔法を無視した、つまり、神威魔法をもってしてでも古代龍の気を引くには値しないことが分かってしまった。古代龍、かなり想像以上に化け物である。


「は! や、屋敷は!?」


 ラインが叫び、屋敷があった方角を見た。

 そういえばそうだ。今屋敷には村人が集まっている。もしブレスがかすりでもしていたら大変だ。


 煙が晴れて見えてきた屋敷は、無事だった。どうやらブレスの範囲外だったようだ。ひとまずは安心である。だが、そう悠長にもしていられない。いつ古代龍が屋敷の方にブレスを吐いてもおかしくない。今から屋敷に転移魔法陣の準備をするとして、もし転移する前に吐かれたら全滅確定だ。


 ちっ、どうするか。屋敷に結界でもはるか? しかし、さっきの威力をみるにすぐに壊されてしまいそうだ。そもそも屋敷を覆える結界をはるのは時間がかかるし。


 う~~む、ならば古代龍の注意を屋敷からそらし続けるしか……仕方ない。


「みんな、これからについて話す。聞いてくれ」


「ん?」


 みんなが俺の方を見たので俺は話し始めた。


「さっきので分かった通りあいつのブレスの威力は絶大。屋敷は今は無事でも、燃やされるのは時間の問題だろう。そうなれば全滅確定だ。……そこで、俺が囮としてあいつの注意を引き付けようと思う」


 まあ、神威魔法を無視した古代龍が俺に注意を向けてくれるかはわからないけど……


「ロ、ロエル!? 何言ってるの!?」


「さすがに父様でも勝てないのに無理よ!」


「は!? そうだよ何言ってんだよ! ……だったら俺が囮になる!」

 

 みんなが俺を止めた。まあそうだろう。古代龍と俺が戦えるなんて俺も微塵も思ってないし。


「いや、ライン、あいつはさっき俺の神威魔法を無視した。だから、正直お前が出せる火力では注意をひきつけることはできない」


「でも……」


「俺だって死にたくはない。転移魔法陣の準備ができたらすぐに屋敷に行く。……このままいって全滅なんて嫌だろう?」


「……分かった」


「よし、じゃあ転移魔法陣を描くのはイアに任せるよ」


 俺は転移魔法陣が描かれた紙をイアに差し出した。だが、イアは受け取ってくれない。


「イア……」


「……だめだよ! さすがにあれはロエルでも無理! 絶対死んじゃう!」


 イアは俺を止めるのにかなり必死だ。泣きそうな顔になっている。


「大丈夫、絶対戻ってくる。絶対にこのミサンガが切れるようなことはないようにするから。それに、おまじないだってあるからな」


 俺はつけていた首飾りを握ってイアに見せた。これには冒険者のお店で買ったミサンガも括り付けておいた。これが切れないことは同じものをつけてる俺たち四人が生きていることを示す。俺の生死はいつでも確認できるのでちょっとは安心だろう。


「イアは俺が生き延びれる可能性を上げるために、少しでも早く魔法陣を描いてくれ。……じゃ」


「う、ううう」


 俺は、イアに紙を押し付け、ラインに魔石を入れた袋を投げ渡し、古代龍の方を見た。古代龍はちょうどブレスを吐き終えたところだった。次のブレスを吐き始める前に俺を認知させたい。俺は速度強化を使って古代龍の方へ走った。

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