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第二十六話 逃走計画

「試してみるといいだろう」


 う~~ん……速度強化で逃げるとしたら四、五人くらいなら一緒に逃げれるか? でも、古代龍の索敵能力と速度が分からないから速度強化で逃げれるかもわからないんだよな。


「というか、そもそもなんで古代龍はそんなに人を殺そうとしているのでしょうか?」


「……あんな奴の行動原理など私は知らん。だが、奴は過去に国を滅ぼしているんだ。ラーラスも滅ぼそうとしているんじゃないか」


 まあそりゃ分からないよな。

 古代龍にとっては人はご馳走だから、とかかな。

 ……そんな単純な理由なわけないか。


「そろそろ話は終わりだ私は民に説明しに行く。諦めて残るのも、逃げるのも自由にしてくれ」


 そして領主様は部屋から出ていき、後には俺たち子供四人が残された。


 そうか、これから俺たち死ぬのか……

 突然すぎるし古代龍がどんな奴なのかもよく分からないので全く実感がわかないのだが。でも、こんなに早く生を諦めたくない。逃げる方法を考えなくては。


 多分今から俺一人で逃げる分には簡単に成功できるだろう。隠蔽のマントで隠れながら速度強化で帝国の方に全力疾走すれば屍兵など簡単に突破できる。ただ、その場合帝国に着いた後の生活に困ってしまう。


 言語は昔領主様にもらった本のおかげで分かるが、知らない土地で、しかも密入国者として生きるのは無理だ。


 また、家族を含むこの村の人を全員見捨てることになる。それは嫌だ。


「ねえ、ロエル」


 俺が思考にふけっていたら、イアに話しかけられた。


「ん? なんだ?」


「あれ、使えるんじゃない?」


「え? あれってなんだ?」


「ほら、ロエルが作ろうとしてる……転移魔法陣? ってやつ」

 

 ……う~~んあれかあ……

 あれはまだ未完成で、挙動が全く分からないんだよな。


「あれはまだ未完成品だ。どこに飛ぶかもわからないし、人をとばしたことも、大量の物をとばしたこともない。かなり危険な賭けになる」


「でも、あれならみんなで助かるかもしれない」


「お? なんだ? 全員助かる方法があるのか?」


「そんなのがあるの?」


 ラインとフレイが俺とイアの話に食いついたので、俺は軽く転移魔法陣の説明をラインたちにした。村人全員で生き延びれる可能性に、ラインとフレイは顔を輝かせた。


「ロエル……また随分なものをつくったわね」


「さすがロエルだ! それなら全員助かる!」


「あのな、お前話聞いてたか? あれで人が転移するのはかなり危険だ。速度強化で逃げた方がまだ生き延びれる可能性が高い。俺たちだけなら俺がかけることができる」


 俺の言葉に、ラインの表情は暗くなり、肩を落としてしまった。


「……でも、絶対死ぬってわけじゃないんだろ?」


「……まあ、一応ファビットを用いた実験では八割ほどが生きていた」


「なら!」


「だが、それは少ない魔力で近くに転移した場合。村人全員を遠くへ転移するとなると相当な魔力を使う。その場合どうなるかはわからない。しかも、仮に転移が成功したとしても、転移先がどうなっているか分からない。もしかしたら上空に転移して転移した瞬間落下死ということもありえる」


「うっ……」


 ラインは黙ってしまった。

 やっぱり転移魔法陣は危険すぎる。ここは悲しいが何人かだけでも速度強化で逃げるしか……


「……私は、僅かでもみんなで生き延びれる可能性に賭けたいわ」


「うん。転移先の問題なら転移した後に魔法でなんとか解決すればいいと思う」


 フレイとイアは転移魔法陣を使うのに賛成なようだ。

 やはりみんなできることなら大勢で生き延びたいと思っている。俺もそうしたいのはやまやまなのだが……


「なあロエル……なんとかならないか?」


 ラインが縋るような目で見てくる。

 ぐぬぬ……せめて転移先の指定だけでもできれば。でもあれは俺の魔法研究の集大成。それでもできないのだから今からちょっと改良したところでできるようにはならない。やっぱり諦めるべきだ。


「……ロエルの魔法ならきっと大丈夫だよ」


 イアがつぶやいた。


「ロエルの魔法でみんなをたすけてよ!」


 くっ……イアの期待が重い。

 みんなを助けるっつったって、失敗したら最悪みんなを殺すことになる。俺の手で直接知人を殺すことになるリスクなんて負いたくない。


 ……だが、このままでは大勢が確実に死ぬ。

 助けられる可能性があったのにそれをしないのは実質殺しでは?


「……全滅するかもしれないぞ?」


「死者がでたらそれは次期領主として俺責任をとる。それに、どうせこのままだとみんな死ぬんだ。もしロエルが心配しているようなことになってもきっとみんな許してくれるよ」


「……分かった。早速準備に取り掛かろう」


 俺の言葉に、みんなは顔を輝かせた。

 承諾してしまった。もう後戻りは出来ない。俺も覚悟を決めてすべてがうまくいくことを祈ろう。


「魔法陣を描く場所だが、すでに人が集まっている屋敷でいいか?」


「ああ、それでいいと思う。父様への連絡も楽だしな」


「じゃあまずは道具をとりに俺の家に行こう」


「ふふふ、古代龍が来る前にちゃっちゃと逃げちゃいましょ!」


「私たちでみんなを助けちゃおう作戦開始だー-!」


 助けちゃおう作戦ってなんだよ、助けちゃおう作戦って。

 でもなんかそういわれるとわくわくしてきたな。


「よし、行動開始だ!」

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