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第十七話 怪しい会話

 リリメラの誕生から約二か月が経った。


 現在の季節は冬。

 外ではマントを羽織っていないとかなり寒い。

 まあ俺は魔法で体を温められるけどね。


 今日は雪が降っているので剣術の訓練はしない。

 だが、イアが朝から家に遊びに来ていた。


「リリ、いないいない~ばあ」


「わっきゃっきゃ」


 リビングでイアとリリメラが遊んでいる。

 リリめ、俺にはそっけないくせにイアとは仲良くしやがって……全くうらやましい限りだ。

 

 すると、掃除をしていたセーラがリビングに入ってきた。


「イアちゃん、いつもリリと遊んでくれてありがとね。リリもすごい喜んでるわ。今お茶淹れるから待ってて」


「リリがかわいいから私も楽しいです。お茶、ありがとうございます」


 セーラがお茶を淹れるために台所に向かった。


「あら、茶葉がきれてるわ。ロエル! ちょっと畑から採ってきてくれない?」


「はい!」


 俺は庭に出た。

 う~~さっむ。

 結構雪が積もっていて、庭は真っ白だった。


 きちっきちっと雪を踏みしめながら畑に向かう。

 畑にも当然雪は積もっているが、目的の植物はたくましく植わっていた。

 標高の高いところで育つ、寒さに強いタイプの植物なのだ。


 早速葉っぱを摘もうと植物に近づいたら、森に二つの人影が入っていくところが見えた。

 ん?

 今日は雪が降ってるから狩人は森に入らないはずだ。ということはあの人たちは狩人ではない。

 そして、村の中なのに周囲を警戒するように歩いている。

 実に怪しい。


「どうしたの?」


「うわ!」


 突然話しかけられて驚いて振り返ると、イアがいた。


「なんだイアか」


「ロエルが遅いから様子をみにきたの。それで、何してたの? ……てうわ!」


 し~~~~


 俺はイアの口をおさえて静かにさせると、さっきの人影を指さした。

 それにつられて、イアも人影の方に目線をおくった。


「あれ、なんか怪しくないか?」


 俺は小声でイアに問いかけた。


「怪しいって、何が?」


 イアも小声で応答する。


 ん~~何がって言われると何だ?

 でも、目的は分からないけど明らかに不審だよな。


「何かはわからない。とりあえずばれないように尾行してみよう」


「よくわからないけど面白そう!」


 俺は、イアと俺が羽織っているマントに、隠ぺいの魔法陣を書き込んだ。

 そして、二人してそれに魔力を込めながら並んで尾行を開始した。

 

 不審者たちは森の中へ入っていった。

 時々後ろを振り返りながら、どんどん奥へ進んでいく。

 俺たちは草木に身を隠しながら距離を保ち続けた。


 やがて、不審者たちが立ち止まった。

 周囲をしきりに確認している。

 目的地に着いたのだろう。


 しばらく観察していると、森のさらに奥から、もう一人でてきた。

 なにやら会話を始めている。

 俺は風魔法を使い、声を聞きやすくした。


「情報通り、今は剣聖はいないようです」


 なぜか師匠についての話をしているようだ。


「それは本当だな? 実は隠れているとかはないだろうな?」


「ええ、おそらくそれはないかと。どうやら今、剣聖の領地が強力な龍に襲われているようで、その撃退にむかったようです」


「なるほどな。龍については後で確認しておこう」


「いかにあの剣聖といえども、さすがに龍相手では疲弊するはず。攻めるなら今です」


 え? 攻めるって言った?

 物騒だな。これは領主様に報告したほうがいいな。


「まあそれは皇帝陛下の指示を待つとしよう。引き続き、情報収集に勤しんでくれたまえ」


「「は!」」


「それでは、帝国に栄光あれ!!」


「「帝国に栄光あれ!!」」


 そして奥からでてきた人はまた奥へもどり、俺たちが尾行していた二人はこちら側に戻ってきた。

 俺たちは静かに木の陰に身を潜めてやり過ごした。


 なるほど。相手はオロノア帝国か。

 となるとあの二人は斥候ってやつか。

 これは戦争になるかもな。

 まあ後で領主様に報告するとして、今はとりあえず……

 

 俺は斥候二人が俺たちの隠れ場所の近くを通る際に、こっそり土魔法で斥候の頭頂部の一部を石で覆い、マーキングした。

 ちょっと違和感はあったと思うが雪も結構強いからばれていないと思う。


 そして俺たちは家に帰還した。


 ________


「ロエルにイアちゃんも遅かったわね。一体何してたの?」


 家に着くなりセーラに質問された。

 まあそりゃ庭に葉を摘みに行ったきり二人して戻らなかったら気になるよな。


「ちょっと不審な人たちを見まして、尾行してました」


 俺が答えるとセーラは目を丸くした。


「え! 大丈夫なの? あんまり危険なことはしないでよね。それで、その不審者の正体はなんだったの?」


「どうやらオロノア帝国の斥候のようです。近々攻めてくるかもしれません」


「へ~そう。オロノア帝国の斥候か~。って、一大事じゃない! 領主様に知らせないと!」


「ええ、明日にでもそうするつもりです」


「本当になんでそんな危ないことしたのよ……ばれたら帝国に消されるわよ」


 帝国こっわ!

 実は二重尾行されてたとかないよな?

 なんか急に心配になってきたんだが。


「ロエルなら大丈夫だよ」


 イアが嬉しいことを言ってくれる。


「まあ、その時は徹底抗戦です。俺もイアも上位魔法を連発できるので斥候くらいなら勝てないこともないと思いますよ。そしてその後は師匠のところにでも逃げ込めばなんとかなります」


「そういえばあなたたちは二人とも化け物だったわね……あっイアちゃん? 今のは例えだからそんな悲しそうな顔しないで!」


 ははは。

 俺はともかくイアに化け物は禁句だよな。過去のトラウマもあるし。


 その後は、普通にお茶を飲んでイアも家に帰った。

 そして夜ご飯を食べるときにダラスにも斥候のことを報告した。


「はあ~……なんでお前はよく異常に遭遇するんだよ」


 ダラスが頭を抱えて言った。


「父さんの息子だからですかね」


「いやいや俺はそんな異常な人生を送ってきたわけではないぞ」


 そんなこと言って、全然話してくれないけど貴族時代の話とか絶対平凡じゃないだろ。

 いつかセーラとここに来た経緯とかも話してくれるといいな。


「まあとにかく。明日領主様と話し合うとしよう」

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