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第十一話 魔物被害

 俺とイアは今日も訓練のために領主様の屋敷に向かっていた。

 村の様子を眺めながら道を歩く。

 

「……あんたのところもやられたか」


「となるとお前もか」


「ちょっと物騒だね」


 なんだか村の様子がいつもより物々しい気がした。

 何かあったのだろうか。

 師匠かラインにでも聞けばわかるかな。領主様の息子だし。

 

 俺たちは屋敷の門をくぐり、中庭に向かった。

 今日はラインとフレイに加えて、師匠も先に待っていた。


「「おはようございます」」


 俺とイアは頭をさげて挨拶した。


「よし、みんなそろったな。じゃあ話を始めよう」


「あの、ちょっといいですか」


「なんだい? ロエル」


 俺は挙手して質問をした。


「なんだか村の様子がいつもより物々しい気がします。なにかあったんですか?」


「ロエルは気づいたか。まあそれについても話すので待ってろ」


「はい」


 師匠は一度咳払いし、話し始めた。


「実はな、村の中でファビットが大量発生し、そいつらが畑の作物を荒らしまわってるらしい」


 ファビットというのは俺が昔木端微塵にしたウサギ型の魔獣だ。


「そして、エルフォードと話し合った結果、村でイベントをやることになった。ファビットを村人総出で倒し、倒した分だけ報酬を渡すというものだ」


 ファビットは、繁殖力はあるがそんなに強くなく、誰でもナイフがあれば倒すことができ、積極的に襲ってくることもない安全なやつだ。たまにセーラが食糧庫にひそんだファビットを棒で殴り殺しているところもみている。


「今日の訓練はそれに参加することだ」


「ちょっといいですか」


 ラインが挙手をした。


「その訓練の意味は何ですか? いや、別にやりたくないわけではないですけど……」


「よくぞ聞いてくれた。訓練の意味を意識しながらやることは大切だからね」


 師匠は笑顔で答えた。


「君たちに生き物を殺すということに慣れてもらいたくてね。ファビットは小さいし、血もあんまりでないから初級編に最適なのさ」


「「「「…………」」」」


 サイコパスにしか見えんぞ!

 まあでも確かに大事な局面で殺すことに日和った結果自分が殺されるとか嫌だもんな。


「ひっ怖い。私は本当にこの人について行って大丈夫なのかな……」


「大丈夫よ、イア。父様はこれでも狂人ではないから。……たぶん」


 おいおい実の娘に狂人なのか疑われているぞ。


「いや、これはけっして僕が狂ってるわけではなくてね。本当に大事なことなんだ。実際に戦場で迷ったせいで殺された兵を何人も見ている」


 すっごい必死に弁明してる。


「まあとにかく、そろそろエルフォードが広場で村人の招集をする。僕たちも広場にいくぞ!」


 ________


 俺たちは広場に移動した。

 広場には木で作られた即席の土台が置いてあった。

 しばらく五人で並んで待っていると、村人がだんだん集まってきた。


「おや? ロエルじゃないか」


 急に名前を呼ばれたので振り向くと、ダラスがいた。


「あ、父さんも参加するんですね」


「当然だろ、俺は狩人なんだから、本職が参加しないでどうするんだ。で、まわりにいるのはお前の友達か?」


「友達というか同門というか、まあそうですね。今は訓練の一環としてこのイベントに参加しています」


「こんにちは! おじさん」


 イアが前にでてきて挨拶をした。


「おおイアちゃんじゃないか。いつもロエルがお世話になってるね。ロエルに変なことされたらいつでも言うんだぞ」


「とんでもないです。いつも私がお世話になってばかりです」


「イアちゃんはロエルとちがってかわいいなあ」


 ダラスがイアをなでなでしてると師匠が前にでてきた。


「あなたがロエル君の父親ですね。いつもロエル君を預からせてもらってます」

 

 その瞬間はっとしてダラスが跪く。


「我が息子が公爵閣下の指導を受けれて光栄に思っております」


「よしてくれ、一目を集めてしまう。それに、あなたの教える機会を奪ってしまって申し訳なく思っているんだ」


「うちのロエルはうまくやれているでしょうか」


「ええ、とてつもなく優秀ですよ。特に魔法においては将来的には賢者をも超えるでしょう」


「それならよかった。今後とも、我が息子をよろしくお願いします。では、私はこれで。ロエルもしっかりやるんだぞ」


 そう言ってダラスは去っていった。


「へ~あれがロエルの父親か。ロエルとちがって男前だな」


「ええそう? ただのロリコンじゃない」


 ラインとフレイが後ろでこそこそ話している。

 ライン、俺は十分男前だろう?

 フレイの評価はダラスが聞いたら泣くぞ!


 またしばらく待っていると、今度はイアの父親であるエリックが来た。そういえば彼も狩人だったね。

 

「おおイアじゃないか! 元気にしてるか?」


「お父さん!!」


 イアがエリックのもとへ走っていき、抱きつく。


「こんにちは。イアのお父さん」


「お! ロエル君じゃないか。いつもイアが世話になってるね。今後とも仲良くしてくれよ」


 師匠が前に出てきた。


「あなたがイアちゃんの父親ですね。いつもイアちゃんを預か……」


「あなたがイアの師匠になったというアレクシアさんですね!」


 エリックが師匠の言葉を遮り、師匠の肩を掴んだ。

 この人、師匠が公爵ってこと知ってるのかな。


「……ええ、まあ、そうです」


 あの師匠が勢いに押されている!?

 一体何者なんだ!? エリックは!

 ……ただの馬鹿か。


「いやあ、いつもイアから話を聞いていますよ。まさかイアに師匠ができ、友達も増えるとは。もう感激で涙が止まりません! あなたには感謝してもしきれないです!」


「……どういたしまして。それは良かった」


「それでは今後ともイアをよろしく頼みますね! じゃあね! イア!」


 そしてエリックは嵐のように去っていった。


「……なんて無礼なやつなんだ。普通なら即打ち首だぞ」


「娘への愛情にあふれているわね!」


 後ろでラインとフレイが話している。

 もしかしてエリックは女の子には好かれるのかな?

 いや、フレイが特殊なだけか。

 

 そしてしばらく待っていると、台の上にエルフォード様がのぼり、演説が始まった。


「我が領民諸君! 諸君らの働きによって育てられたわが村の畑は今、憎き魔物によって荒らされている! これを放置すればこの村は食料危機に見舞われてしまう。我らはこの事態に対処せねばならない!だが、魔物の数は多く、衛兵だけでは人手が足りない。そこで、諸君らにこの魔物退治を手伝ってもらうことにした。もちろん報酬はだす。十匹につき小銀貨一枚だ。我らの手で、我らの村を守ろう!」


 おおおおおおお!!!!


 村人が集まっている広場が熱気に包まれる。

 ちなみに、小銀貨はこの村なら一枚で三泊はできる。害獣退治にしては破格の値段だ。

 そして、詳細な説明がされて、イベントが始まった。


「よし、ロエル! 討伐数で勝負しよう!」


 そう言ってラインは走っていった。


「私たちはゆっくり探しましょうね」


「うん!」


 イアとフレイは肩を並べて歩いていった。


 さて、俺もぼちぼち始めていくとしますかね。

 

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