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第四話 弟子入り

「……エル! ……ロエル!」


 はっ!

 俺が目を覚ますと、目の前にイアの顔があった。

 どうやら俺は気絶してしまったらしい。


「イア、もう大丈夫だ。心配かけてすまなかった」


 俺は起き上がって周囲を見渡す。

 すると、少し離れた位置にアレクシアがいるのを発見した。

 しばらく見つめていたら、向こうも俺が起きたことに気付いたらしく、こちらに近づいてきた。


「いや~すまなかった、ロエル君。

 君が思ったよりやるものだから、ちょっと加減を間違えてしまったよ」


 ほんとだよ。父さんといい、この世界の人は子供の体を何だと思っていやがる。もっと大事にしてくれ。だが、負けてしまったか。結構本気でやったから悔しいね。


「あのおじさん、今は落ち着いてるけど、ロエルが寝ている間、ずっとうっかり殺してないか心配して挙動不審になってたよ。正直うっとうしかった」


「言ってくれるじゃないかお嬢ちゃん。そんなこと言う君もロエル君が寝ている間ずっと抱き着いて回復魔法を使っていただろう」


「友達を心配するのは当たり前。そもそもあなたが気絶させたのが悪い」


「それを言われちゃごめんとしか言えないね」


 ずっと心配してくれてたのか。さすがうちのイアだ。


「ありがとな、イア」


 イアにお礼を言うと、イアが顔を赤らめた。


「……だから当然のことをしただけ」


 照れてる女の子もかわいいね。

 

 さてと、俺は姿勢を正して、アレクシアと向き合った。


「アレクシアさん、先ほどの試合のことでいくつか質問があるのですが、いいですか?」


「もちろんだとも。試合の反省と分析は強くなる近道だ。何でも聞いてくれ」


「では、遠慮なく。まず、なぜ俺の魔法を生身で受けて無事なのでしょうか。あの石弾は連射用とはいえ一発一発が中位魔法の威力があるのですが、何かの防御魔法でも使ったんですか?」


「ああ、あれは魔法じゃないよ。闘気だ。これは武術を習うものが自然に操れるようになるものでね。速度強化、筋力増強、硬質化など、いろいろな身体強化ができるんだ。でも、君が闘気を知らないのは意外だね。速度強化とかしてたからてっきり使えるものかと思ってたよ」


「いえ、あれは魔法です。でも、闘気ですか。魔法を防ぐ手段をこの世界の武人みんながもっているとは、魔法も無敵じゃないんですね」


「いやいや、僕ほど闘気を扱える者は少なくとも国内にはいないから。君の魔法が僕の闘気を少しとはいえ貫通した以上、ほぼ全ての人間の闘気を貫通できると思ってていいよ。しかも君はあの石弾よりも威力の高い魔法を撃ってきたじゃないか。あれは僕の闘気でも防ぎきれないね」


「となると、最後のあれも闘気ですか?」


「いや、あれは闘気じゃない。闘気は魔法に耐えることはできても、魔法を打ち消すことはできないからね。あれは龍闘神気だ。その名前の通り龍に備えて培われてきた技術でね。魔法生物である龍の動きを阻害するために魔力を乱すことができるんだ。ちなみにこれも身体強化できるから闘気の上位互換だね」


「そんなものもあるんですか。魔法師殺しですね。ちなみにそれもたくさんの人が使えたりするんですか?」


「とんでもない! あれは闘気を極めるだけでなく、いろんな厳しい条件が必要だからね。使い手は一国に十人いるかいないかだよ。でも、下位互換の龍闘気ならそれなりに使える人がいるね。まあこれはせいぜい魔法の構築をちょっと妨害できる程度だから君にはほとんど関係ないね」


「なるほど。では、最後の質問を。……ラインはどうして土下座しているんですか?」


 そう、俺が起きた時からずっとラインがアレクシアにむかって土下座していたのだ。


「ははは、多分それは僕がホルザーク、つまり、ラーラスの四大公爵の一人だからだね。彼も貴族だから驚いているんだよ」


 ……は?

 こいつ公爵なの?

 めっちゃ身分高いやん


「……えっと、俺この後不敬罪とかで罰せられたりします?」


「いやいや、試合を挑んだのは僕だからね。そんなことするわけないじゃないか。ラインもそんなにかしこまらなくてもいいんだぞ。いままでみたいに師弟の関係でいてくれ」


「いえ、ホルザーク公に無礼をはたらくわけにはいきませぬ」


「はぁ、こうなるから正体は隠してたんだけどなぁ。まあ急に正体を表した僕も悪かった。慣れたらでいいから僕のことは師匠として扱ってくれ」


「ところで、どうしてそんな身分のあなたがこんなところにいるんですか?」


「いや~話せば長くなるんだけどね。

 まず、僕には娘がいるんだ。彼女は僕に似て非常に剣の才能に恵まれていてね。兄たちも圧倒して我が領内にライバルと呼べる存在がいなかったんだ。だから僕は彼女のライバルとなりえる存在を探していた。ライバルがいた方が剣は上達するからね。

 そんな中、去年寄子であるケーセネス家の誕生日パーティに出席したところ、ラインを発見してね。彼なら娘のライバルになりえると思ったんだ。いつもぼこぼこにしている君には信じられないだろうけど、ラインはかなりの槍の天才だよ。だから僕は彼を弟子にすることにしたんだ。そして今は仕事がないからこうして稽古にきているのさ」


「へ~~ラインってあれでも強い方だったんですね」


「ところで、君も僕の弟子にならないかい?」


「急ですね」


「ライバルは多い方がいいだろ。それに君がいれば対魔法師戦の訓練もできるし」


 ふむ、悪くない提案だな。

 この人の剣の腕前はすさまじい。

 肩書からして、国の最強格だろう。

 それに、剣聖の弟子というのはかなりいいネームヴァリューだ。公爵家が後ろ盾につくということなので国家や貴族に誘拐される危険が限りなく下がる。


「よし、その話受け……」

「だめ!!」


 イアが叫んだ。


「ロエルは私の魔法の師匠なの! 奪わないで!」


 イアよ、嬉しいことを言ってくれるではないか。


「いや~その年にして愛されてるね~」


 ……ははは

 だが、どうしよう。

 ん~~ちょっと提案してみるか。


「アレクシアさん、その話、受けたいところですが、一つお願いがあります。イアも弟子にしてください。弟子の弟子は弟子ということでいいでしょう?」


「僕は別に構わないよ。さっきも言った通りライバルは多い方がいいし、ラインの話によれば嬢ちゃんもラインに勝てるらしいしね」


「イアもそれでいいかい?」


「……うん」


「よし決まりだ!今日はもう遅いから訓練はしないけど、明日から来てくれ!」


 こうして俺たちは剣聖の弟子になった。


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