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第一話 異世界きたけどいきなりつみじゃね?

 うっ……

 目覚めるとそこは見たこともない森の中だった。

(どこだよここ…なんでこんなところにいるんだ?)

 自分の記憶の中を探ってみてもまるで長い夢を見た後のようにもやがかかってなかなかおもいだせない。

(たしか…学校にむかってたんだっけ?それで教室についてそのあとは…)

 あっそうだ変な爆発に巻き込まれたんだった。

 でもなんでそこからこの状況につながるんだよ?

 いくつか考えられるとしたら


 一つ目はあの爆発でここまで吹っ飛ばされた説。

 でも学校の近くにこんなでかい森はなかったし、だいたい吹っ飛ばされる威力なら俺はいまごろ痛みに悶絶しているはずだ。

 俺の体に痛みはなく、むしろいつもより軽くて快調な気がした。

 この説はないだろう。


 二つ目は誰かに運ばれた説。

 でも誰かって誰だよ。

 救助隊?いやいや病院につれていかれるだろ。

 誘拐犯?いやいや誘拐したならこんな逃げられる可能性のある森に一人で放置しないし俺を誘拐する目的も不明だ。

 俺の家庭は裕福でもなく権力があるわけでもない。

 これも考えにくい。


 三つめはあの爆発で死亡し異世界に転生した説。

 いやいや非現実的すぎるだろ。

 俺は自分の中二病の重さに嫌気がさした。


 …っとまあ考えるだけ考えても分からないものは分からない。

 俺は考えるのを止めて何か手掛かりがないか周辺を散策することにした。

 というわけで立ち上がろうとする。


 …………??あれ??


 立ち上がれない。

 どれだけ足に力を入れて踏ん張っても立ち上がれない。

 足を無理に伸ばそうとするとどうしても尻もちをついてしまう。

 俺はひどく混乱した。

 あれ?俺こんな足腰弱かったっけ?もしや爆発の影響か?

 そして俺は自分の足を見て異変に気付いた。

 そのままの流れで手を見る。

 そして顔を触る。

 そして近くの葉についた雫に写る自分をみると、そこには銀髪青眼の坊やが写っていた。


 …………………………………………


 これって!!異世界転生っってやつ~~~!!?


 俺の体は赤子になっていた。





 ひとまず落ち着こう。

 俺の体が幼児化したということはあまり信じられないが三つ目の説が当たりだったことが確定した。

 体が幼児退行するとか転生以外考えられない。

 この事実はうけいれるしかないだろう。


 …にしてもだ。なんで俺は転生したんだ?

 ふつうこういう場合ラノベだと女神やら召喚士やらから説明を受けるところだがそういうのもない。

 というか俺を転生させたやつ性格悪すぎだろ。

 目覚めたらいきなり森の中で説明もなく歩くこともできないとかいきなりつみじゃねえか。

 まあそういうやつがいるかどうかもわからないのだが。


 そんなことを考えていたら小さな風が俺を撫でた。

 少し寒気がしておもわずくしゃみをしてしまう。

(まずいな…夜までに住居を見つけないと凍死してしまう)

 もう一度立ち上がろうとしたがやはりそれはかなわなかったので地を這って移動することにした。


 とりあえず周囲を見渡す。

 前方には深い森が広がっているが、後方はすぐに森を出れて平野につながっているようだった。もちろん俺は平野を目指して進む。

(もしかしたら集落があるかもしれないからな。なかったらつみだが。)

 十分ほど進むと建物と人影が見えてきた。

 俺はとりあえず助かる可能性が高まったことに安堵しスピードをあげた。

 人影に近づくにつれて俺はあることに気付いた。

 どうも人影は何かをさがしているらしい。

 まるで何かの名前を呼んでいるような様子を見るにおそらく探しているのは人だろう。

 さらに近づくと段々人影の顔がわかるようになってきた。

 どうも人影の正体は若い女性らしい。

 長い銀髪でスタイルもいいなかなか美しい女性だ。

 きっと人妻で子供でもさがしているのだろう。

 ここで俺はある可能性に思い至った。

 もしや彼女は俺の母親で俺を探しているのでは?

 根拠は髪の毛の色だ。

 まあ彼女が母親であろうとなかろうと発見してもらわないと困るので声をあげて呼んでみることにした。

「ああああうあああああああ(ままー--)」

 声がうまく出せない。まあ出せたとしても伝わらないだろうし気づいてもらえればいいだろ。

「ああああうあああああああ(ままー--)」

 向こうも気づいたようだ。

「んvなぉんらbヴぉfなじゃtjgrじゃj」

 意味は分からないが何か聞こえる。

 やはりというか当然というか言語は日本語ではないらしい。

「ああああうあああああああ(ままー--)」

「んvなぉんらbヴぉfなじゃtjgrじゃj」

「ああああうあああああああ(ままー--)」

「んvなぉんらbヴぉfなじゃtjgrじゃj」

 何度か叫びあっているうちに遂に向こうもこちらの居場所を特定したようだ。

 こちらに向かって一直線に走ってくる。

 そして俺のもとに到着するや否や俺を強く抱きしめて泣き出した。

 どうやら彼女が俺の母親であるという推測はあたっていたらしい。

 こうして俺は無事母親に回収され、転生当日にいきなり死ぬ事態を回避したのだった。






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