表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/66

第十八話 五歳の誕生日

 騎士様とのごたごたから数日が経った。

 あれ以来クソガキ三人衆は来なくなったが、代わりに週二ぐらいでラインが決闘を挑んでくるようになった。

 もちろん毎度一瞬で撃退している。

 たまにイアにやらせてみたが、危なげなく勝っていた。

 ラインのプライドはぼろぼろだろう。

 ほんともう諦めればいいのに……


 さて、今日は俺の五歳の誕生日だ。

 五歳の誕生日は特別だ。この日から子供が労働力としてみなされるのだ。

 うちは裕福なので俺はまだ働かないが他の家では働く者もでてくるだろう。

 故にこの日はパーティをする。


 食卓の上には大きな肉やチーズ、香辛料を贅沢に使ったスープなどの高級品の数々が置いてある。

 前世に食べていた食事に比べたら劣るが、いつもより数十倍贅沢だ。

 そしてその食卓を囲むのは両親と俺、さらにイアも招待されていた。


「さあ、始めようか。

 皆さんお手元のコップをもって!」


 ダラスの掛け声に合わせてみんなコップを持つ。ちなみに両親のコップにはワインが、俺とイアのコップには果汁百パーセントオレンジジュースが注がれている。この辺の気候は地中海性気候なのだ。


「ロクスウェルの五歳の誕生日を祝って、

 かんぱーーーーい!!」


「「「かんぱー-い!」」」


 ごくごくごく…ぷは~~

 滅多に飲めないものは美味しいね。

 皆一斉に料理を自分の皿に盛りつけて食べ始める。


「いや~早いものでロエルももう五歳か~」


「ほんとそうよね。しかも私たちが何もしなくても勝手にいろんなことできるようになっちゃったし、

子育てとしたら楽だけどちょっとつまらないわ」


「いえいえ、父さんと母さんからはいつもいろんなことを教わってますよ。

 この前だって貴族相手のふるまい方とか教えてくれたじゃないですか」


「お世辞はいいからもっと俺たちを頼ってくれよ」


 ははは……

 ふとイアの方を見ると、彼女のお皿にあまり料理がのっていないことに気付いた。

 彼女はスリムだが少食ではない。

 多分遠慮しているのだろう。

 ということで、俺は風魔法をつかい、チーズと肉を削り取ってそのまま器用にイアのお皿に盛りつけた。

 イアが驚いてこちらを見る。


「イア、遠慮しないで食べてくれ。

 どうせ俺たち家族だけじゃ食べきれないから。

 それとももしかして口に合わなかった?」


「ううん、そういうわけじゃないよ!いただきます!」


 イアがあわてて首を横にふって食べ始める。

 よかったよかった。


「へ~、魔法ってそんなこともできるんだな」


 ダラスが感心した様子で言った。


「はい。ですが、かなり繊細な魔力操作が必要になるので、今のを詠唱したとしたら儀式魔法になりますね」


「…儀式魔法を一人でつかえんのかとか、儀式の無駄使いだとかいろいろツッコミどころがあるが俺はつっこまないぞ」


 つっこんでんじゃねーか。

 ちなみに、儀式魔法とは本来複数の魔法師が協力して詠唱して使うものだ。


「まっ、要するにロエルは天才ってことね!」


「ん、そういうことです」


 いや違うだろ。


 そんなことを話しながら食事は進んだ。

 たくさんあったご馳走は跡形もなく食卓の上から消え去った。


「よし、食事も済んだし、次にうつるぞ。

 プレゼントの時間だ。

 俺とセーラとイアで用意した物だ」


 そう言ってダラスが取り出したのは丸い五百円玉ぐらいの大きさの入れ物だった。


「水竜の逆鱗でできてるからかなり丈夫だし、防水性防腐性共に抜群よ」


「デザインは私が考えたんだ」

 

「なるほど。ところで中には何が入っているのですか?」


「髪の毛だ」


「…は?」


「いや、だから髪の毛よ?」


「すいません髪の毛と聞こえた気がするのですが俺の耳が変なんですかね?」


「合ってるよ。私たちの髪の毛が一本ずつ入ってるの」


「…マジか」


「「「マジだ(よ)(だよ)」」」


「あの~俺を呪おうとでもしてるんですか?」


「失礼だな。おまじないの一種だよ」


「ずっと一緒にいられますようにとかそういう類のおまじないよ」


「最後にロエルのをいれれば完成するんだよ」


「なるほど。まあ理解しました」


 そして俺は自分の髪の毛を引っこ抜いて入れ物に入れた。


「それは一歳のときにあげたペンダントにでもつけておけ」


 ダラスがそう言う。

 入れ物にはひもを通す穴がついていた。


「はい、そうします」


 こうして俺の誕生日パーティは終わった。


 ____


 その日の夜、五歳になったことで俺に部屋が与えられたのでそこで寝ていた。

 ところで覚えているだろうか。

 俺が五歳になったらダラスとセーラがナニかを解禁するのだ。

 両親の寝室からナニかをする音が聞こえる。

 普通なら両親の部屋の前をあえて通って脅かしたいところではあるが今日は二人とも久しぶりのナニかだ。我慢してやろう。

 弟か妹ができるのもすぐだな。


 翌朝、俺は四年前に悔しくも言えなかったセリフを言う。


「昨晩はお楽しみでしたね」


 二人は何のことか分からないようで戸惑っていた。



 

ロエルの誕生日は日本で言うとだいたい九月くらいです。


ブックマークよろしく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ