第十七話 決闘裁判
俺は今、この村で最も立派な建物である領主の館に両親と一緒に来ています。
そして、今俺の目の前に立って俺たちを出迎えているのは、この館の主で領主のエルフォード・ケーセネス様です。使用人を何人も動員して丁重に出迎えてくれています。
はあ…なんでこんなことに。
あのクソガキ、ぼろ負けしたからって家の名誉かけた約束あっさりやぶってんじゃねーよ。
それともこの世界では騎士の名誉って結構軽いものなのか?
「ダラスよ。お前は俺の友人だが、さすがにこれは許すわけにはいかない」
「はい、本当に申し訳なく思っております。
ロエルにはよく言い聞かせますのでここはどうかお許しください」
ダラスが頭をさげる。
「俺は驚いたぞ。何せ息子が急にぼろぼろになって帰ってきたのだ。腕の骨も折れていた。そして話を聞くと、村を歩いていたらお前の息子に後ろから急に襲い掛かられたという。こんな危ない人間は成長したら何をするか分からない。すぐに村から出てってもらう」
おいおい今の話何一つ真実がなかったぞ。あのクソガキどんな話をしたんだ?
「まだ息子は幼いのです。必ず私が教育しますのでお許しください」
頭を下げるダラスを見ていたらもっとイライラしてきた。
よし、どうせ追い出されるならちょっと抗議してみるか。
「領主様、俺の発言をお許しください」
「ロエル! 黙ってなさい!」
「何も知らない父さんこそ黙っててください!」
言い返されると思ってなかったダラスが怯む。ごめんよ。
「いいだろう。発言を認める」
「ありがとうございます。
では、領主様の発言の内容にいくつか事実と違う点がございましたので指摘および訂正をしていきます。
まず、俺が急に後ろから襲い掛かった、とのことですがこれは間違いです。
俺はあなたの息子がケーセネス家の名に懸けて決闘を申し込んできたので受けただけです。
また、その際に決闘中のいかなる暴力を罰しないとケーセネス家の名誉にかけて約束してもらいました。ギャラリーが何人もいましたし、村の中で大きな声で叫んでいたので村人に聞けば正否は確かめられると思います。
次に、息子がぼろぼろになって帰ってきたとのことですが、これもあり得ません。
俺は回復魔法を使えるので決闘終了後に、彼に中位回復魔法をかけました。これも複数人のギャラリーが目撃しています」
俺は事実を畳みかけた。
「…分かった。確認しておこう。ドヌス!」
おや?すんなり聞いてくれた。
もしかしたら結構いい領主なのかもしれない。
「はっ!」
使用人の一人が走っていった。
そして三十分後に戻ってきた。
「どうであった?」
「はい、話によると確かにラインフォード様とロクスウェルの決闘は行われたようです」
はい、勝ち確定。
「あれ、何だろう。
騎士家の名誉ってそんな軽いものなんすか?
僕こどもなのでわかんないです」
俺がドヤ顔で煽ったらセーラにはたかれた。
すいません調子に乗りました。
「…ぐぬぬ、ライン!
いますぐに来なさい!!」
エルフォードが大声をだした。
鼓膜が破けるかと思った。
たたたたたっと走る音が聞こえる。
「父上、悪人は成敗できましたか?」
ドアがバンと開いてクソガキがでてくる。
壊したいあの笑顔。
ラインは俺の顔を見ると露骨に嫌な顔をした。
「父上、なぜ罪人がまだいるのですか?」
ラインが問うがエルフォードは無言でラインに近づいていく。使用人も何も言わない。
「父上?どうしたので……」
パチンッ!!
ラインにエルフォードの平手打ちが炸裂する。
「ライン、本当のことを言いなさい」
「父上?俺は嘘など……」
「ケーセネス家を汚す気か!」
ラインはすべてばれたことに気付いたようだ。
だが、彼はまだあがく。
「…くそ!あいつのせいで!
ロクスウェル!俺と決闘しろ!
俺が負けたら全て認めてやる!」
「ライン!この期に及んで何を……」
「俺はべつにいいですよ。
ただ、いまは少々イライラしていましてね。
まあ家の名誉までかけた約束を破られたのだから当然ですよね。
前のように手加減はできませんがそれでもいいですか?」
「…強がりやがって」
そして俺たちは中庭に行き、決闘をした。
結果から言うと俺が圧勝した。
始まった瞬間大きめの石をぶつけて即終了だ。
いや~実にスカッとしたよ。
「すまなかった。俺の確認不足だ」
決闘が終わると、エルフォードに頭を下げられた。
ちなみにラインは気絶したので医務室だ。
「そんな!騎士様が平民の俺に頭を下げてはいけません!あげてください!」
とりあえず建前を言っておく。
「今回の件は全面てきにラインが悪かった。
なのになんの否もない君たちを追い出そうとしてしまった。
これはケーセネス家の恥だ。
なにかお詫びをさせていただきたい」
「お詫びですか、
強いて言うなら他国語を学べる本をください」
「理由を聞いても?」
「はい、今回の件でもし俺が他国に行くことになったらと考えまして、他国語も覚えないとやっていけないと思ったからです」
「いいだろう。勉強熱心なのはいいことだ。
ドヌス!言語辞典をもってこい!」
「はっ!」
しばらくすると、ドヌスさんがめちゃくちゃ分厚い本をもってきた。
「これにはこの世界のほぼ全ての言語がかかれている。マイナーなものはのっていないが役に立つだろう」
「ありがとうございます!」
これで今回の話は決着がついた。
俺はもらった本をかかえてうきうきしながら両親と家に帰った。
家に帰った後、両親に貴族に対する振る舞いをめちゃくちゃしつけられた。
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