第73話
「・・・。あれはどういう意味なんだと思う?」
僕が困惑しながらも後ろの仲間の勇者たちに尋ねると、後ろの勇者たちも疑問をこぼしながら相談し始めた。
「分からん。全く分からん。あの〈大鬼将軍〉はいったい何をしたいんだ?」
「うーん、まったくわかんない。工藤君だけに剣を向けている、というのが答えの切り口になりそうではあるけど。」
あーでもないこーでもないと相談しているうちに1人が、ふと思いついたように言う。
「もしかして、決闘とかだったりして・・・?」
「まさか。いくら指揮個体だとは言え、〈大鬼〉がそんなこと考えると思う?」
「だよなぁ。それに仮に決闘だったとして、それをする〈大鬼〉側のメリットって何よ。全然思いつかねーんだけど。」
反対意見が次々と上がる中、また別の一人が言う
「・・・いや、意外とあるかも。」
「「「え?」」」
「いやだって、さっきは指揮個体でも〈大鬼〉だからって否定したけど、相手は指揮個体の内でも、都市一つを戦略的に滅ぼせる指揮個体の中でも上位の指揮個体である将軍級が相手だよ。それを考えれば少なくともそこらの人間よりは、全然頭は良いと思うけど。」
「それに決闘の意味だって、いきなり出てきて2体も〈大鬼〉を倒した相手を正面から倒すことでこっちの士気低下や〈大鬼〉側の士気上昇やらを招くことができる。相手の知能レベルを考えれば、もっと考えがあってもおかしくはないと思うよ。」




